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プロローグ
全部クレアのせい
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クレアはバルジ王国の王城に登城したが、国王陛下が外遊中により宰相を始めとした重鎮と謁見し、このたびの騒動について申し開きをしていた。
相当に厳しい意見が噴出する中、ただただ頭を下げ謝罪するクレアは、実に6時間に及ぶ針の筵状態によって既に疲労がピークに達していた。
帰りは計らいで馬車を手配してもらったが、クレアは疲労困憊のためにキャビンの座席でぼうっと無心で天井を眺めていた。
(どうしてこんなことになったんだろう)
ふと、そう考える。
勇者パーティーを結成して2年ほど。最初は不慣れながらも、着実にパーティーとして前進してきた。冒険者ランクを上げ、実績を積み重ね、多くの先輩方を出し抜いて王都の冒険者パーティーの中でもトップ争いをするレベルにまでこのパーティーは躍進した。
だが、勇者として与えられた使命は冒険者として一番になることではない。いずれ復活すると言われる魔王を討伐するために、自分達の力を蓄え続けることにある。王都だけではなく、世界で1番でも足りない。魔王は伝承のよればそれだけ強力で恐ろしい存在であるというのだから。
しかし、従来のその使命は今着実に履行出来ているとは言いづらい。ここ最近は勇者パーティーのイメージアップのための宣伝活動ばかりで、ゴウキが憤っていたのも実に良くわかる状況だ。彼はリフトが自分の立場のためだけにやりたいだけだと言ったが、クレアはそれは違うと否定した。宣伝活動を推すリフトとて、彼なりに勇者パーティーのことを考えてのことだと信じていた。実際に勇者パーティーの存在意義について懐疑的な意見が少なからず出ていることも事実だからだ。
冒険者としての本分を全うする派のゴウキ、宣伝活動を通してまずは国民の理解と協力を得るべきだと考える派のリフトと、二つの派閥がいつの間にか誕生していた。
マリスは比較的早めにリフトに迎合した。ミリアはおろおろと戸惑っている期間があったが、今ではリフトの側についている。
こうしてパーティーメンバーの半数が宣伝活動を推すという形勢になると、クレアも本来のリーダーとしての決定権を行使することに抵抗が生まれ始める。
クレアは和を重んじるタイプだったので尚更だった。
(こうして状況に流されて決断を鈍らせたせいだ・・・)
王城に出向いたクレアに対し、重鎮達の意見の中には「宣伝活動ばかりで勇者らしいことをしていない」「仲違いを起こすなど、リーダーとして管理が出来ていないのではないか」「仲間に寄り添って話をきちんと聞いているか」などと言うものがあった。この言葉は深くクレアの胸を突いた。
クレアとて、ゴウキの意見と同調のときがあった。いや、むしろ考えとしてはリフトよりもゴウキに近い。だから間違っているとクレアが考えたのなら、例えパーティーの半数の意見を退けてでも、きちんと主張しなければならなかったのだ。
(でもどうしてだろう。リフトに意見をしようとすると、どうにも抵抗がある・・・)
クレアも最初はするべき主張はしてきたが、いつからかリフトと意見と違わせることに抵抗を感じるようになっていた。それが何であるかは彼女自身にもさっぱりわからなかった。
そしてその状態が続き、リフトの意見を押し通されるようになると、結果としてクレアはみすみすリフトによるパーティー掌握を許してしまったことになった。
(私のせいだ・・・)
今回の仲間割れの最大の原因は、自分の情けなさにあるとクレアは自分を責めていた。
自分の情けなさと、ゴウキに対する申し訳なさとで、クレアは少しだけ悔し涙を流した。
相当に厳しい意見が噴出する中、ただただ頭を下げ謝罪するクレアは、実に6時間に及ぶ針の筵状態によって既に疲労がピークに達していた。
帰りは計らいで馬車を手配してもらったが、クレアは疲労困憊のためにキャビンの座席でぼうっと無心で天井を眺めていた。
(どうしてこんなことになったんだろう)
ふと、そう考える。
勇者パーティーを結成して2年ほど。最初は不慣れながらも、着実にパーティーとして前進してきた。冒険者ランクを上げ、実績を積み重ね、多くの先輩方を出し抜いて王都の冒険者パーティーの中でもトップ争いをするレベルにまでこのパーティーは躍進した。
だが、勇者として与えられた使命は冒険者として一番になることではない。いずれ復活すると言われる魔王を討伐するために、自分達の力を蓄え続けることにある。王都だけではなく、世界で1番でも足りない。魔王は伝承のよればそれだけ強力で恐ろしい存在であるというのだから。
しかし、従来のその使命は今着実に履行出来ているとは言いづらい。ここ最近は勇者パーティーのイメージアップのための宣伝活動ばかりで、ゴウキが憤っていたのも実に良くわかる状況だ。彼はリフトが自分の立場のためだけにやりたいだけだと言ったが、クレアはそれは違うと否定した。宣伝活動を推すリフトとて、彼なりに勇者パーティーのことを考えてのことだと信じていた。実際に勇者パーティーの存在意義について懐疑的な意見が少なからず出ていることも事実だからだ。
冒険者としての本分を全うする派のゴウキ、宣伝活動を通してまずは国民の理解と協力を得るべきだと考える派のリフトと、二つの派閥がいつの間にか誕生していた。
マリスは比較的早めにリフトに迎合した。ミリアはおろおろと戸惑っている期間があったが、今ではリフトの側についている。
こうしてパーティーメンバーの半数が宣伝活動を推すという形勢になると、クレアも本来のリーダーとしての決定権を行使することに抵抗が生まれ始める。
クレアは和を重んじるタイプだったので尚更だった。
(こうして状況に流されて決断を鈍らせたせいだ・・・)
王城に出向いたクレアに対し、重鎮達の意見の中には「宣伝活動ばかりで勇者らしいことをしていない」「仲違いを起こすなど、リーダーとして管理が出来ていないのではないか」「仲間に寄り添って話をきちんと聞いているか」などと言うものがあった。この言葉は深くクレアの胸を突いた。
クレアとて、ゴウキの意見と同調のときがあった。いや、むしろ考えとしてはリフトよりもゴウキに近い。だから間違っているとクレアが考えたのなら、例えパーティーの半数の意見を退けてでも、きちんと主張しなければならなかったのだ。
(でもどうしてだろう。リフトに意見をしようとすると、どうにも抵抗がある・・・)
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そしてその状態が続き、リフトの意見を押し通されるようになると、結果としてクレアはみすみすリフトによるパーティー掌握を許してしまったことになった。
(私のせいだ・・・)
今回の仲間割れの最大の原因は、自分の情けなさにあるとクレアは自分を責めていた。
自分の情けなさと、ゴウキに対する申し訳なさとで、クレアは少しだけ悔し涙を流した。
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