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プロローグ
忍者ですから
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勇者パーティーの自宅待機が決まったその夜、ゴウキは自室で強めの酒を飲んでいた。
「はぁ~~~、やっちまった」
コン、と空になった入れ物をテーブルに置く。買い置きした酒が無くなり、ゴウキは大きく溜め息をつく。
「畜生・・・酔いたくても酔わせてくれねーってのか・・・」
「いや、別にゴウキって飲んでも酔わねーじゃん」
一人ナイーブに浸ろうとするゴウキに、少し前に部屋に訪ねてきたスミレが呆れて言った。
ゴウキの超回復体質はアルコールも高速で分解する。強めの酒をそこそこ飲んでも一時間も間を開ければお釣りがくるほどの速さでシラフに戻ってしまうのだ。
それでも雰囲気だけでも、一瞬だけでも酔いたいと酒に手を付けることがあるが、今のように自棄になって酒に溺れたいなどと考えているときは困りものである。しかも酒臭さだけは残るのでパーティーメンバーに飲酒はバレるという損な体質である。
「なぁスミレ、ちょっと酒買ってきてくれない?俺謹慎中だし事情が事情だから万が一にも酒買ってるところメンバーに知られたくないし・・・」
「いや、アンタ忘れてるかもしれないけど、アタシが堂々とここで酒買ってるほうが問題だから」
酒の買い出しを頼み込むゴウキに、スミレはそう言って釘を刺した。
スミレは本来第1区に入る資格を持っていないのだ。ではなぜ1区にあるゴウキの部屋にまで来られるかと言うと、実は不法侵入しているからである。見つかれば重罪として裁かれる身だしそもそもどうやって?と聞くと「いや、アタシ忍者だし」と答えのような答えにならないような返答が来た。
何度注意してもやってくるため、いつしかゴウキは何も言わなくなった。きっと捕まらないし、捕まっても何とななるのだろう「忍者だから」。
ちなみにリノアとデニスも1区には入ることができない。
「いつまでそんなグズついてんのさ・・・やっちまったものはしょーがないじゃん。むしろ誇れよ。ついにやっつけてやったぞって」
スミレがうじうじしているゴウキを彼女なりに励ます。しかしゴウキの気は晴れないままであった。
ゴウキはリフトを怒りのあまり蹴とばしたことを後悔していた。正確には蹴とばしたこと自体ではなく、それが憲兵に見つかり騒ぎになったこと。
頭は冷えて落ち着いていると思っていたが、まぁ全然そんなことはなかったなとゴウキは思い返す。
最初の頃は「やっちまったものは仕方ねー」くらいに考えていたが、自室でベッドに横になって考えていると、次第に自分のしでかしたことの責任の重さが心にのしかかってきた。
「なに?なんだかんだってムカつくそのリフトとかいうやつノシちまったのが悪いと思ってんの?」
「いや、それは別に良いんだ」
「良いんだ・・・」
ゴウキが悪いと思っているのは憲兵沙汰と新聞沙汰にして勇者パーティーの信用に傷をつけてしまったこと。
普段戦い方が悪いだの、買い物の仕方がどうだのとリフトに注意される分には言いがかりだと思い、聞き流していた。だが、今回の件は傍目には明らかにゴウキに非があるのだ。今回のことによる信頼低下の埋め合わせのためにまたメディアに派手に取材をさせようなどとリフトが言い出したら、またパーティーの本来の役目がおろそかになってしまう。
「あぁ、クソ、なんであの場にいなかった新聞記者が俺がリフトをノシてたことを知ってたんだ?意味がわからねーんだけど・・・誰かリークしたんか?」
あれさえ知られなければまだ世間体がなーとゴウキは嘆く。
その嘆きを聞いてスミレはほくそ笑んだが、それをゴウキが知ることはなかった。ゴウキが疑問に思っているその情報をリークしたのは、今彼のすぐ近くにいたのだった。
「はぁ~~~、やっちまった」
コン、と空になった入れ物をテーブルに置く。買い置きした酒が無くなり、ゴウキは大きく溜め息をつく。
「畜生・・・酔いたくても酔わせてくれねーってのか・・・」
「いや、別にゴウキって飲んでも酔わねーじゃん」
一人ナイーブに浸ろうとするゴウキに、少し前に部屋に訪ねてきたスミレが呆れて言った。
ゴウキの超回復体質はアルコールも高速で分解する。強めの酒をそこそこ飲んでも一時間も間を開ければお釣りがくるほどの速さでシラフに戻ってしまうのだ。
それでも雰囲気だけでも、一瞬だけでも酔いたいと酒に手を付けることがあるが、今のように自棄になって酒に溺れたいなどと考えているときは困りものである。しかも酒臭さだけは残るのでパーティーメンバーに飲酒はバレるという損な体質である。
「なぁスミレ、ちょっと酒買ってきてくれない?俺謹慎中だし事情が事情だから万が一にも酒買ってるところメンバーに知られたくないし・・・」
「いや、アンタ忘れてるかもしれないけど、アタシが堂々とここで酒買ってるほうが問題だから」
酒の買い出しを頼み込むゴウキに、スミレはそう言って釘を刺した。
スミレは本来第1区に入る資格を持っていないのだ。ではなぜ1区にあるゴウキの部屋にまで来られるかと言うと、実は不法侵入しているからである。見つかれば重罪として裁かれる身だしそもそもどうやって?と聞くと「いや、アタシ忍者だし」と答えのような答えにならないような返答が来た。
何度注意してもやってくるため、いつしかゴウキは何も言わなくなった。きっと捕まらないし、捕まっても何とななるのだろう「忍者だから」。
ちなみにリノアとデニスも1区には入ることができない。
「いつまでそんなグズついてんのさ・・・やっちまったものはしょーがないじゃん。むしろ誇れよ。ついにやっつけてやったぞって」
スミレがうじうじしているゴウキを彼女なりに励ます。しかしゴウキの気は晴れないままであった。
ゴウキはリフトを怒りのあまり蹴とばしたことを後悔していた。正確には蹴とばしたこと自体ではなく、それが憲兵に見つかり騒ぎになったこと。
頭は冷えて落ち着いていると思っていたが、まぁ全然そんなことはなかったなとゴウキは思い返す。
最初の頃は「やっちまったものは仕方ねー」くらいに考えていたが、自室でベッドに横になって考えていると、次第に自分のしでかしたことの責任の重さが心にのしかかってきた。
「なに?なんだかんだってムカつくそのリフトとかいうやつノシちまったのが悪いと思ってんの?」
「いや、それは別に良いんだ」
「良いんだ・・・」
ゴウキが悪いと思っているのは憲兵沙汰と新聞沙汰にして勇者パーティーの信用に傷をつけてしまったこと。
普段戦い方が悪いだの、買い物の仕方がどうだのとリフトに注意される分には言いがかりだと思い、聞き流していた。だが、今回の件は傍目には明らかにゴウキに非があるのだ。今回のことによる信頼低下の埋め合わせのためにまたメディアに派手に取材をさせようなどとリフトが言い出したら、またパーティーの本来の役目がおろそかになってしまう。
「あぁ、クソ、なんであの場にいなかった新聞記者が俺がリフトをノシてたことを知ってたんだ?意味がわからねーんだけど・・・誰かリークしたんか?」
あれさえ知られなければまだ世間体がなーとゴウキは嘆く。
その嘆きを聞いてスミレはほくそ笑んだが、それをゴウキが知ることはなかった。ゴウキが疑問に思っているその情報をリークしたのは、今彼のすぐ近くにいたのだった。
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