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プロローグ
超忍者スミレ
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「はぁ・・・久しぶりの酒がうまいな」
ゴウキはビールを一気に飲み干すと、溜め息交じりにそう漏らした。
「あー、勇者様パーティーって世間体があるから催し物以外の時はお酒は駄目なんだっけ?」
「酒なんて贅沢品だからな。そんなことに金を使っているのが知られるのは世間体が悪い・・・とさ」
この国では飲酒は15歳から認められているが、勇者パーティーでは原則飲酒禁止がルールとなっていた。王家からの支援金ではなく自分達で稼いだ金であっても飲酒は望ましくないということだ。
だが、それはただ自分が下戸であることが知れ渡るのを恥ずかしいからと、リフトが理由をつけて半ば無理矢理ルール化したものというのがゴウキの認識だ。一応は尤もらしい理由であるためか、クレアもこれに頷いてルールが定められたのは今でもゴウキにしてみれば悔しい思い出である。
お陰で勇者パーティーの目に触れそうな第1区ではどの店でもゴウキは飲酒ができなくなってしまった。
その点、今いる第2区のこの酒場ではまずパーティーメンバーに会うことはない。
彼らは普段から第1区でしか行動せず、まずオフの時に第2区に足を踏み入れること自体がないからだ。そんなわけでゴウキにとってこの店は安全にこっそり酒を飲める息抜きの場であった。
「そんなに形見が狭い思いをしているなら、もういっそのこと辞めちゃえばいいじゃん。それでアタシとパーティー組もうよ」
「辞めねぇよ」
スミレの勧誘に対し、ゴウキは迷うことなく即座に言い切った。「はいはい、わかってましたよ」と言ってスミレはブスッとしてビールをチビっと口にする。これまで何度もあったやり取りだったが、ゴウキはただの一度も首を縦に振ったことはなかった。
「俺なんか勧誘してくるってことは、スミレはまだソロでやってるのか?」
「そーだよ。ゴウキが組んでくれればソロじゃなくなるけどね」
不機嫌そうな顔をしながらそうゴウキの問いかけに答えるのを見て、ゴウキはフッと苦笑いをする。申し訳なさと、少しだけ嬉しい気落ちの複雑な感情がゴウキに湧いていた。
スミレは王立学園でのゴウキの同級生だった。ひょんなことから仲良くなり、良くつるんでいたが、ゴウキが学園卒業とともに勇者パーティーに所属してからは一人で冒険者として活躍していた。
ソロでいるのは口が悪く性格も攻撃的だからかろくに友人が寄り付かないというのもあったが、それ以上にスミレはあらゆる能力がずば抜けていて釣り合う冒険者がゴウキの他に中々いないのだ。斥候も工作も戦闘も人並み以上にこなせる逸材・・・彼女は「忍者」と呼ばれる東方の隠密職の天才だった。
スミレは元は東方の国から他国の視察も兼ねて留学しにきたが、ゴウキと知り合うことでいろいろと考えが変わり、帰国することなくバルジ国へ残っている。
ちなみに一度ゴウキは「そんなに俺と組みたいなら」と、勇者パーティーとしてスミレを推薦したいと言ったことがあるが、本人が拒否した上に国からも「能力に不足は有らずとも、性格に著しく問題があり」として門前払いされている。
(まぁ、スミレは一人の方が伸び伸びと活躍出来ていいか)
半端な仲間を作ると足を引っ張ってかえってスミレの能力を引き出せなくなってしまうだろう。そう考えるほどゴウキはスミレのことは買っていた。
勇者パーティーにさえ属していなければ、スミレと組んでみたかったなと思っていた。
ゴウキはビールを一気に飲み干すと、溜め息交じりにそう漏らした。
「あー、勇者様パーティーって世間体があるから催し物以外の時はお酒は駄目なんだっけ?」
「酒なんて贅沢品だからな。そんなことに金を使っているのが知られるのは世間体が悪い・・・とさ」
この国では飲酒は15歳から認められているが、勇者パーティーでは原則飲酒禁止がルールとなっていた。王家からの支援金ではなく自分達で稼いだ金であっても飲酒は望ましくないということだ。
だが、それはただ自分が下戸であることが知れ渡るのを恥ずかしいからと、リフトが理由をつけて半ば無理矢理ルール化したものというのがゴウキの認識だ。一応は尤もらしい理由であるためか、クレアもこれに頷いてルールが定められたのは今でもゴウキにしてみれば悔しい思い出である。
お陰で勇者パーティーの目に触れそうな第1区ではどの店でもゴウキは飲酒ができなくなってしまった。
その点、今いる第2区のこの酒場ではまずパーティーメンバーに会うことはない。
彼らは普段から第1区でしか行動せず、まずオフの時に第2区に足を踏み入れること自体がないからだ。そんなわけでゴウキにとってこの店は安全にこっそり酒を飲める息抜きの場であった。
「そんなに形見が狭い思いをしているなら、もういっそのこと辞めちゃえばいいじゃん。それでアタシとパーティー組もうよ」
「辞めねぇよ」
スミレの勧誘に対し、ゴウキは迷うことなく即座に言い切った。「はいはい、わかってましたよ」と言ってスミレはブスッとしてビールをチビっと口にする。これまで何度もあったやり取りだったが、ゴウキはただの一度も首を縦に振ったことはなかった。
「俺なんか勧誘してくるってことは、スミレはまだソロでやってるのか?」
「そーだよ。ゴウキが組んでくれればソロじゃなくなるけどね」
不機嫌そうな顔をしながらそうゴウキの問いかけに答えるのを見て、ゴウキはフッと苦笑いをする。申し訳なさと、少しだけ嬉しい気落ちの複雑な感情がゴウキに湧いていた。
スミレは王立学園でのゴウキの同級生だった。ひょんなことから仲良くなり、良くつるんでいたが、ゴウキが学園卒業とともに勇者パーティーに所属してからは一人で冒険者として活躍していた。
ソロでいるのは口が悪く性格も攻撃的だからかろくに友人が寄り付かないというのもあったが、それ以上にスミレはあらゆる能力がずば抜けていて釣り合う冒険者がゴウキの他に中々いないのだ。斥候も工作も戦闘も人並み以上にこなせる逸材・・・彼女は「忍者」と呼ばれる東方の隠密職の天才だった。
スミレは元は東方の国から他国の視察も兼ねて留学しにきたが、ゴウキと知り合うことでいろいろと考えが変わり、帰国することなくバルジ国へ残っている。
ちなみに一度ゴウキは「そんなに俺と組みたいなら」と、勇者パーティーとしてスミレを推薦したいと言ったことがあるが、本人が拒否した上に国からも「能力に不足は有らずとも、性格に著しく問題があり」として門前払いされている。
(まぁ、スミレは一人の方が伸び伸びと活躍出来ていいか)
半端な仲間を作ると足を引っ張ってかえってスミレの能力を引き出せなくなってしまうだろう。そう考えるほどゴウキはスミレのことは買っていた。
勇者パーティーにさえ属していなければ、スミレと組んでみたかったなと思っていた。
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