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29話 最後の試練の始まり
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クライマックスの始まりです。あらすじのとおりですのでご安心くださいませ。ですが、あらすじ通りならどう終わるのか……ぜひお楽しみください。
「と、いうか、だ」
「ん、何ですか?」
………………………………よし。
クセなのかどうかは知らないけど、実にあざとい感じにこてんと首をかしげる早咲を見ても、今は何とも思わない。
……うん、やっぱり昨日のあれは気の迷いだったんだろう。
そうに違いない、うん。
「何ですか、じゃない。 お前がやらかしたからって俺のところに逃げてくるなよ……ここに来られたらどうするんだよ」
「大丈夫ですって、この棟は特別な許可がなければ入れませんから。 だから逃げてきたんじゃないですか」
「じゃないですか、ってなぁ……」
「だってー、経験則で分かるんですもん。 ああいう感じの子は……ずぅっとずぅっと重ーい深ーい気持ちを月単位、年単位で押し込む子って、時間を置いて落ち着いてもらわないと「あなたを殺して私も死ぬ」とか言って、あるときぶすり、なんですもん」
「ここはお前のための避難所じゃないぞ? それはお前がやらかしたんだから、お前がケリをつけるべきじゃないか?」
「細かいこと言いっこなしですよー」
「いや、かなり大きな問題のように聞こえるけど?」
ぱりぱりと……話している最中にも新しい菓子の封を切り、音を立てて食べ始め……俺が見ているのに気がついて、ひとつまみ差し出してくる。
いや、そうじゃない。
……もらうけどな、もともとそれは俺に用意されているもんなんだし、なんだか癪だ。
「………………………………でも。 でも、ですねぇ。 直人?」
「な、なんだよ」
「僕、これまでずぅっと。 それこそ初めて会ったときからあの夜、そのあともずぅっとずぅっと直人を助けてあげてきたと思うんですけどー? それこそスニーキングミッションしたり絶対にばらせないヒミツ教えてあげたり? ついさっきだって、直人のちょろさをきちんと教え直してあげたでしょう?」
「……それは……そうだけど。 ………………………………。 いや、まて、ちょろさって」
「や、この世界基準では頭ゆるゆるふわふわ系ってことになるでしょう? 怪しいおじさんに声かけられて、なーんにも疑わずにふらふら車に乗り込んじゃう女の子的な? それも、いい年して」
だからこのお菓子もぜんぶいいですよね? とか聞いてくる。
「もぐ。 ……お菓子もそうですけど、そういう貸しというものをちょーっと何日かここにいさせてもらうだけで、ぜんぶじゃないですけどチャラにしてあげるんですよ? いいんですかぁ? 友人に貸しを作ったままで。 ねー、直人?」
「…………………………………………卑怯だぞ」
「世の中は貸しと借りで動いているんですよ?」
薄々分かっていたけど……こいつ、かなり計算ずくというかぶっちゃけ腹黒いよな?
それも、男の理性と女の勘を合わせて都合よく駆使しているもんだから質が悪い。
「……はぁ――……いいけどさ、別に」
「ほんとうですか!? 言質取りましたよ!?」
「ああ……確かに俺も、今が平気だからって言って、不意にあのときの記憶とかで困らないとも限らないしな。 あと、部屋に戻って来てもすることがあんまりないし」
この世界の娯楽は、早咲が持ってきて置いておいてくれているもの以外はつまらない。
やることと言えばリビングに置いてくれているそれをするか、勉強をするか。
ほんとうに、それくらいしかない。
だらだらとテレビを観るって言ったって、やっぱり感性が違う人たちが作っているものな以上どうしても声を聞いているだけっていう感じになるだけだし。
それに、今日は1日を外で過ごしたおかげでだいぶ気晴らしできたしな。
それもあるし、何より今の会話で……早咲を目の前にしても何ともなくなったし。
「嬉しいですっ! やっぱり持つものは友だちですよねっ! つまりは親友!」
「貸しで脅迫してきたけどな?」
「嫌ですねぇ、事実を言っただけじゃないですかー。 あ、ついでになんですけど」
「まだなにかあるのか?」
「いえ、逃げてきた話に戻って」
「認めるのか、逃げてきたって」
「そればかりは事実ですからねー。 あ、で、直人のところって、ほんとうに都合がいいんです。 だって、癇癪起こしている子から逃げるときに別の女の子のところに逃げちゃいますと、匿ってくれる子が「私の方が好きなんだ」ってかんちがいしたりして……追ってきた子を煽ったりして泥沼になったりすることあるんですもん」
「………………………………お前はそのときどうやってその場を収めるんだ?」
「そういうわけで、こういうシェルターってとっても大事だなって思うんです」
「お前、シェルターって言い切ったな?」
「隠れ家、避難先って大事」
「言い方変えただけだぞ?」
「直人、僕たち、親友、ですよね?」
「ほんとうにそう思っているのか?」
「本音を言うくらいにはですよ?」
「お前………………………………」
なんだか、ああ言えばこう言うっていう感じの……それでいて居心地の悪くないやりとりをしているうちに、なんだかもうどうでもよくなってきた。
……はたしてこれが素でやっていることなのか、それとも計算ずくなのかは分からない。
なにせ、早咲だからな。
「……というわけでもうしばらくここにいますね。 お世話になりますっ。 主に豪華なごはんとお菓子とかで」
「……まあ、そういうのでしょっちゅう来るとかだったら怒るけど、たまにならいいよ、そういう理由でも」
「わぁ、直人がデレました。 僕、男を堕としたことってないんですけどね」
「気色悪い冗談言うなよ、お前の中身は完全に男だろうが」
今みたいな冗談は止めてほしい。
……せっかく収まったって思っていた気持ちが、また起きるところだったじゃないか。
「……俺も今日は夕方まで出ていたから疲れた。 どうせ早く寝るだろうし、お前もうるさくするわけじゃないしな」
「家主の負担になることはしませんよ、さすがにこどもじゃないんですから」
「いや、お前、これまでのお前の言動を」
「ああそうです、どうせなら直人が頼んだと言ってひととおりのゲーム機とかも揃えます? 実はまだ持ってきていないソフトとかもあるんですよ」
「………………………………はぁ……」
「あ、あのっ。 いいじゃないですか、あったって! そうすればふたりで……レーシングとかシミュレーションとかして暇つぶしできますし! どんなソフトなら楽しめるのかも僕なら知っていますし!」
「……ああ、いいぞ。 もう、好きにしてくれ……」
「!! なんでもいいんですね!! ならさっそく」
「限度というものは弁えろよ?」
そんなことを言いつつ……昨日のように、いや、昨日よりは節制して体に良さそうな料理を届けてもらってふたりで食べ、眠くなるまで適当な話をしながらゲームをして。
早々に眠くなった俺は一足先に眠りについた。
○
………………………………ん。
今は、……夜中、1時前か。
よく寝たと思ったけど、まだ……3、4時間しか寝ていなかったらしい。
なら、早咲がうるさくて目が覚めた?
………………………………。
……音はなにもしないし、そもそも部屋は真っ暗だ。
というか、これはトイレに行きたかったからか。
寝る前、早咲に釣られる形でずっとジュース飲んでいたもんな……やっぱり気をつけないとな、こんな生活していたら絶対に太る。
体によくないこと間違いなしだもんな……っと。
暗いながらもカーテンからの光でなんとなく分かるから、そのままベッドから下りて慎重に廊下へ出る。
早咲は、……ものすごく静かだし、きっと寝ているんだろう。
起こしたら悪いし、なるべく静かに歩いて……電気もつけないでおこう。
こういうところは共同生活の難しいところだな。
修学旅行とかでも少し窮屈って思った覚えがあるし。
だけど、ほんの数日だろうし我慢しておこう。
なに、友だちが泊まりに来ているって思えばいいんだしな。
……あいつが言うように、親友かどうかはまだまだ分からないけど。
そんなことを思いながら……長い廊下を歩き、眠気が覚めてくる頃になって洗面所の方まで来た。
……やっぱりここ、広すぎるよなぁ。
ひとりで住むには……いや、それにしたって広すぎる。
美奈子さんに言ってもう少し狭いところに変えてもらおうか……、と。
あれ、洗面所の電気、つけっぱなしじゃないか?
ドアは閉めてあるけど、その隅から明かりがかすかに漏れている。
……なんだ早咲のやつ、やっぱり女関係だけじゃなくて全体的にだらしないんじゃないか。
そういえば昼間も夕方もひたすら食べてばかりいたし、マンガとかゲームソフトとかは雑な感じで置いていたしな。
なんというか、ぱっと見もいろんな仕草も上品って感じがあるから騙されていたけど、やっぱりあいつも男なんだな。
こういう点に関してはむしろ俺の方が几帳面なまであるな、まちがいない。
○
……思ったよりも限界が近かったらしい。
寝る前の……えっと、たしか2時間くらいだったか、ジュースとかは遠慮しておこう。
体にも悪そうだしな。
というわけで、さっさと手を洗って……目も覚めちゃったし、軽くお湯で顔を洗ってから寝よう。
疲れているのは間違いないし、現に今もぼーっとしているし……適当な本でも読みながら眠気が来るのを待とう。
そんなことを思いながら……俺は電気のついていた洗面所……風呂のある、その扉を開けてしまった。
「………………………………あれ? な、なおと?」
――――――なぜこんなに夜遅くに入っていたのかとかなぜ鍵を閉めていなかったのかとかいろいろと聞きたいけど、とにかく。
風呂上がりらしく……髪の毛を拭いていたらしく、その。
明らかに男とは違う、スレンダーな体つきをした女子の姿をした、それも全裸の……早咲が、風呂上がりで顔は赤く全身の肌からは雫が垂れている姿の早咲がそこにいて。
俺はどうすることもできなくなって、ただ硬直しながら……風呂上がりで全裸で艶めかしくって……ぽかんとしているはずなのに欲情をかき立てる表情をした早咲を、見ているしかなかった。
「と、いうか、だ」
「ん、何ですか?」
………………………………よし。
クセなのかどうかは知らないけど、実にあざとい感じにこてんと首をかしげる早咲を見ても、今は何とも思わない。
……うん、やっぱり昨日のあれは気の迷いだったんだろう。
そうに違いない、うん。
「何ですか、じゃない。 お前がやらかしたからって俺のところに逃げてくるなよ……ここに来られたらどうするんだよ」
「大丈夫ですって、この棟は特別な許可がなければ入れませんから。 だから逃げてきたんじゃないですか」
「じゃないですか、ってなぁ……」
「だってー、経験則で分かるんですもん。 ああいう感じの子は……ずぅっとずぅっと重ーい深ーい気持ちを月単位、年単位で押し込む子って、時間を置いて落ち着いてもらわないと「あなたを殺して私も死ぬ」とか言って、あるときぶすり、なんですもん」
「ここはお前のための避難所じゃないぞ? それはお前がやらかしたんだから、お前がケリをつけるべきじゃないか?」
「細かいこと言いっこなしですよー」
「いや、かなり大きな問題のように聞こえるけど?」
ぱりぱりと……話している最中にも新しい菓子の封を切り、音を立てて食べ始め……俺が見ているのに気がついて、ひとつまみ差し出してくる。
いや、そうじゃない。
……もらうけどな、もともとそれは俺に用意されているもんなんだし、なんだか癪だ。
「………………………………でも。 でも、ですねぇ。 直人?」
「な、なんだよ」
「僕、これまでずぅっと。 それこそ初めて会ったときからあの夜、そのあともずぅっとずぅっと直人を助けてあげてきたと思うんですけどー? それこそスニーキングミッションしたり絶対にばらせないヒミツ教えてあげたり? ついさっきだって、直人のちょろさをきちんと教え直してあげたでしょう?」
「……それは……そうだけど。 ………………………………。 いや、まて、ちょろさって」
「や、この世界基準では頭ゆるゆるふわふわ系ってことになるでしょう? 怪しいおじさんに声かけられて、なーんにも疑わずにふらふら車に乗り込んじゃう女の子的な? それも、いい年して」
だからこのお菓子もぜんぶいいですよね? とか聞いてくる。
「もぐ。 ……お菓子もそうですけど、そういう貸しというものをちょーっと何日かここにいさせてもらうだけで、ぜんぶじゃないですけどチャラにしてあげるんですよ? いいんですかぁ? 友人に貸しを作ったままで。 ねー、直人?」
「…………………………………………卑怯だぞ」
「世の中は貸しと借りで動いているんですよ?」
薄々分かっていたけど……こいつ、かなり計算ずくというかぶっちゃけ腹黒いよな?
それも、男の理性と女の勘を合わせて都合よく駆使しているもんだから質が悪い。
「……はぁ――……いいけどさ、別に」
「ほんとうですか!? 言質取りましたよ!?」
「ああ……確かに俺も、今が平気だからって言って、不意にあのときの記憶とかで困らないとも限らないしな。 あと、部屋に戻って来てもすることがあんまりないし」
この世界の娯楽は、早咲が持ってきて置いておいてくれているもの以外はつまらない。
やることと言えばリビングに置いてくれているそれをするか、勉強をするか。
ほんとうに、それくらいしかない。
だらだらとテレビを観るって言ったって、やっぱり感性が違う人たちが作っているものな以上どうしても声を聞いているだけっていう感じになるだけだし。
それに、今日は1日を外で過ごしたおかげでだいぶ気晴らしできたしな。
それもあるし、何より今の会話で……早咲を目の前にしても何ともなくなったし。
「嬉しいですっ! やっぱり持つものは友だちですよねっ! つまりは親友!」
「貸しで脅迫してきたけどな?」
「嫌ですねぇ、事実を言っただけじゃないですかー。 あ、ついでになんですけど」
「まだなにかあるのか?」
「いえ、逃げてきた話に戻って」
「認めるのか、逃げてきたって」
「そればかりは事実ですからねー。 あ、で、直人のところって、ほんとうに都合がいいんです。 だって、癇癪起こしている子から逃げるときに別の女の子のところに逃げちゃいますと、匿ってくれる子が「私の方が好きなんだ」ってかんちがいしたりして……追ってきた子を煽ったりして泥沼になったりすることあるんですもん」
「………………………………お前はそのときどうやってその場を収めるんだ?」
「そういうわけで、こういうシェルターってとっても大事だなって思うんです」
「お前、シェルターって言い切ったな?」
「隠れ家、避難先って大事」
「言い方変えただけだぞ?」
「直人、僕たち、親友、ですよね?」
「ほんとうにそう思っているのか?」
「本音を言うくらいにはですよ?」
「お前………………………………」
なんだか、ああ言えばこう言うっていう感じの……それでいて居心地の悪くないやりとりをしているうちに、なんだかもうどうでもよくなってきた。
……はたしてこれが素でやっていることなのか、それとも計算ずくなのかは分からない。
なにせ、早咲だからな。
「……というわけでもうしばらくここにいますね。 お世話になりますっ。 主に豪華なごはんとお菓子とかで」
「……まあ、そういうのでしょっちゅう来るとかだったら怒るけど、たまにならいいよ、そういう理由でも」
「わぁ、直人がデレました。 僕、男を堕としたことってないんですけどね」
「気色悪い冗談言うなよ、お前の中身は完全に男だろうが」
今みたいな冗談は止めてほしい。
……せっかく収まったって思っていた気持ちが、また起きるところだったじゃないか。
「……俺も今日は夕方まで出ていたから疲れた。 どうせ早く寝るだろうし、お前もうるさくするわけじゃないしな」
「家主の負担になることはしませんよ、さすがにこどもじゃないんですから」
「いや、お前、これまでのお前の言動を」
「ああそうです、どうせなら直人が頼んだと言ってひととおりのゲーム機とかも揃えます? 実はまだ持ってきていないソフトとかもあるんですよ」
「………………………………はぁ……」
「あ、あのっ。 いいじゃないですか、あったって! そうすればふたりで……レーシングとかシミュレーションとかして暇つぶしできますし! どんなソフトなら楽しめるのかも僕なら知っていますし!」
「……ああ、いいぞ。 もう、好きにしてくれ……」
「!! なんでもいいんですね!! ならさっそく」
「限度というものは弁えろよ?」
そんなことを言いつつ……昨日のように、いや、昨日よりは節制して体に良さそうな料理を届けてもらってふたりで食べ、眠くなるまで適当な話をしながらゲームをして。
早々に眠くなった俺は一足先に眠りについた。
○
………………………………ん。
今は、……夜中、1時前か。
よく寝たと思ったけど、まだ……3、4時間しか寝ていなかったらしい。
なら、早咲がうるさくて目が覚めた?
………………………………。
……音はなにもしないし、そもそも部屋は真っ暗だ。
というか、これはトイレに行きたかったからか。
寝る前、早咲に釣られる形でずっとジュース飲んでいたもんな……やっぱり気をつけないとな、こんな生活していたら絶対に太る。
体によくないこと間違いなしだもんな……っと。
暗いながらもカーテンからの光でなんとなく分かるから、そのままベッドから下りて慎重に廊下へ出る。
早咲は、……ものすごく静かだし、きっと寝ているんだろう。
起こしたら悪いし、なるべく静かに歩いて……電気もつけないでおこう。
こういうところは共同生活の難しいところだな。
修学旅行とかでも少し窮屈って思った覚えがあるし。
だけど、ほんの数日だろうし我慢しておこう。
なに、友だちが泊まりに来ているって思えばいいんだしな。
……あいつが言うように、親友かどうかはまだまだ分からないけど。
そんなことを思いながら……長い廊下を歩き、眠気が覚めてくる頃になって洗面所の方まで来た。
……やっぱりここ、広すぎるよなぁ。
ひとりで住むには……いや、それにしたって広すぎる。
美奈子さんに言ってもう少し狭いところに変えてもらおうか……、と。
あれ、洗面所の電気、つけっぱなしじゃないか?
ドアは閉めてあるけど、その隅から明かりがかすかに漏れている。
……なんだ早咲のやつ、やっぱり女関係だけじゃなくて全体的にだらしないんじゃないか。
そういえば昼間も夕方もひたすら食べてばかりいたし、マンガとかゲームソフトとかは雑な感じで置いていたしな。
なんというか、ぱっと見もいろんな仕草も上品って感じがあるから騙されていたけど、やっぱりあいつも男なんだな。
こういう点に関してはむしろ俺の方が几帳面なまであるな、まちがいない。
○
……思ったよりも限界が近かったらしい。
寝る前の……えっと、たしか2時間くらいだったか、ジュースとかは遠慮しておこう。
体にも悪そうだしな。
というわけで、さっさと手を洗って……目も覚めちゃったし、軽くお湯で顔を洗ってから寝よう。
疲れているのは間違いないし、現に今もぼーっとしているし……適当な本でも読みながら眠気が来るのを待とう。
そんなことを思いながら……俺は電気のついていた洗面所……風呂のある、その扉を開けてしまった。
「………………………………あれ? な、なおと?」
――――――なぜこんなに夜遅くに入っていたのかとかなぜ鍵を閉めていなかったのかとかいろいろと聞きたいけど、とにかく。
風呂上がりらしく……髪の毛を拭いていたらしく、その。
明らかに男とは違う、スレンダーな体つきをした女子の姿をした、それも全裸の……早咲が、風呂上がりで顔は赤く全身の肌からは雫が垂れている姿の早咲がそこにいて。
俺はどうすることもできなくなって、ただ硬直しながら……風呂上がりで全裸で艶めかしくって……ぽかんとしているはずなのに欲情をかき立てる表情をした早咲を、見ているしかなかった。
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