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5章 戦いの前の休息

147話 おしゃけ

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「う゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ーん……ゆずきしぇんぱーい……なぁんでそのきになってくれないんですかぁー……こぉんなにいろじかけもしてるのにぃー……うぇぇぇぇ……」

【草】
【理央様……】
【理央様の、魂の叫び……】

【理央様? 酔いの回るのが早いのではなくて?】
【そりゃジュースの勢いで1缶一瞬で飲み干せばそうなるよ……】
【淑女失格ですわ!!】
【草】

【飲み慣れてないほどやっちゃうよね、こういうの】
【飲みやすいほどに酔いやすいからな……】
【こういう系のアルコールはねぇ……】

【お酒の失敗……良かったね、これが大学の新歓とかじゃなくって……】

【おろろろろろろ】
【おろろろろろろ】
【草】

【やめろ!! 百合っ子理央様がぽっと出のサークルの男ろろろろろろ】
【ろろろろろろろ】
【気持ちは分かる  分かるぞ】
【せめて……せめて女相手ならまだ……】

【特にこの子たち、田舎っ子だからなぁ……】
【話す内容的にも、免疫ゼロだもんなぁ……】
【ちゃんとおしゃけに対するいろいろも、安全圏で練習しとかないとねぇ……】

【この配信見てる女子たち? 特に高校生まで  おしゃけはね、警戒心ゼロにしちゃうから気をつけようね? こんな感じで  いろいろと台無しになるからな!】

【げろげろしまくってる末裔どもはともかく、本当にそうだからな? 覚えとけよ?】
【これ以上なく良い見本がここにあるぞ!】
【草】

【ま、まあ、この程度ならまだ……】
【理央様は泣き上戸?】
【からみ酒かもしれんな】

「どっちでもないですぅー! 台無しじゃないですぅー!」

【草】
【一応コメントは追えてるのね】
【その程度の酔いでここまでか……】
【カメラ掴んで言わないで! ガチ恋距離でキュンってしちゃうから!】

「ダメですー、私の体は柚希先輩にしか捧げませんー、私は柚希先輩専用ですー、柚希先輩にしかいじらせませんー!」

【!?!?】
【百合の塔が成層圏を越えましたわ!!】
【バベルの塔かな?】
【人類を統べる百合が統一言語ですわ!】
【草】

【しかしこの百合っ子、とんでもないこと口走ったぞ】
【この配信、あとで削除した方が良いと思うよ?】
【末裔もそう思います】
【草】
【末裔言うな草】
【末裔……良い響きだよな……】

さっきからずっと光宮……理央ちゃんが、マイクをむんずとつかんで話しかけてる。

話の内容は良く分かんないけども、楽しそうだからいいや。

「そうですー、柚希先輩はだぁれにも……」

元気に、でもちょっとだけふらふらしながら楽しそうな理央ちゃん。

その背中は、普段僕が見てるのとはちょっとだけ違う気がして。

「………………………………」

もう、楽しそう……ずるいなぁ。

僕もあんな風におしゃべりできたらなぁ。

そういう、普段は考えないようにしてるいろいろが、ふわっと出て来ちゃう。

「理央ちゃんったらぁ……んくっ」

そういうときはお酒が良いんだって、お母さんが言ってた。

だから、もう一口飲んでみてるけども……んー。

なんか変な匂いが上がってくる。
フシギな感じ。

【そして我らがユズちゃん】
【ぼーっとしておる】
【何も思考の表れていないこの顔が好き】
【分かる】

【完全に空っぽな顔が良いんだよな】
【ひでぇ】
【草】

【……ユズちゃん、ちょっとしか飲んでないよね……?】
【ああ、ほんのちょびっとだ】
【でも、お顔赤くなってきてるよ……?】
【でも、ちょうちょよ……?】
【草】

【元から眠かったみたいだし、寝起きはいつもこうなるみたいだし……】
【もしかして:ユズちゃんのデフォルトがこれ】
【草】
【そういやおねむのユズちゃん、顔赤くなってたねぇ……】

【おこさまか!】
【おこさま以外の何だと?】
【ああ……こんなの至近距離でしょっちゅう浴びてたらガチ恋もするよなぁ、理央様も……】
【そらそうよ……】
【だからこそ、ほら  他のふたりも……】

お酒。

お母さんが元気な日には夕飯の後に飲みながらテレビ観てて、普段とは違ってとっても嬉しそうになるやつ。

「意味もなく楽しくなるのよー! お父さんもお母さんもお酒は強いから、ゆずも飲んじゃえば?」って、いつも飲まされそうになるんだ。

……全然強くないじゃん。

お酒に強いってのは、飲んでも普段通りでいられる人のことだよね?

お母さんは全然変わっちゃってるじゃん。
嘘つき。

「……ゆずきちゃーん……」
「? なぁに、ひなたちゃん」

さっきからうとうとしてるひなたちゃん。

「ゆずきちゃん……どこにもいかないでね」
「うん、行かないけど……」

「もう寝る?」って何回も聞いたけども「まだ」って意地張ってる。

お酒飲んだわけでもないし、本当に眠いんだろうね。
お家は厳しいって言ってたし、多分早寝だからなんだ。

【あのさ……】
【ああ……】
【ひなたちゃん、多分……】
【場の空気か、みんなから放出されるアルコールか】
【それとも甘酒で……】

【ひなたちゃん、甘酒で……】
【小学生だからなぁ……】
【一応、レベルのおかげでちょっとは耐性ついてるはずだが……まぁ子供で初めてだからなぁ……】
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