上 下
115 / 311
4章 初心者ダンジョン卒業、中級者ダンジョンへ

115話 【悲報】ユズちゃんのテンションがおかしい

しおりを挟む
なんかふらふらするけど、僕、そんなに疲れてたかなぁ……ぐっすり寝た気がするのに、まだ体がふらふらするー。

【よろよろユズちゃん】
【大丈夫? 夢遊病とかじゃない??】
【ま、まあ、ユズちゃんだから……】

「……そ、そうだ、柚希さん! 君は――」

「あ、あやしゃんあやしゃん、カメラ、あっち向けて? みっつとも」
「え? あ、はい……」

僕はごそごそと、ポーチの中を漁る。

そうだ、忘れてたんだ。

ずっと渡してあげたいって思ってたのに、ずっと忙しかったから。

【え、ちょ】
【見えない】
【なんにも見えない】
【岩なんて見てどうしろって言うんだユズちゃん……】
【草】

【カメラ! カメラ戻して!!】
【ユズちゃん……今度は一体何をしでかすんだ……】
【ユズちゃんユズちゃん、もう戦いは終わったのよ……?】

「……あったぁ」

僕の手が、慣れた感触をつかむ。

女の子の必需品。
学校で、良く「持ってない?」って聞かれるやつ。

僕自身が使いもしないのに、いつも予備で持ち歩くようになったそれを1個あげると何個かもらえるってループで、1ヶ月くらいすると結構貯まってお母さんと理央ちゃんに渡すやつ。

僕自身は必要ないけども、お母さんから見せられて使い方とかも知ってるし、なんなら興味本位で僕も使ってみたことあるし、使ってるし。

あれってぱんつに貼り付けるんだよね。
テレビのCMよりずっとちっちゃいんだよね。

で、つけてるとなんかもどかしい感覚がしてこそばゆいんだ。

でもぱんつが汚れないからなんかしあわせなんだ。
持ちきれないくらいで余ってるときは、よく自分で使うんだ。

女子たちからいろんなメーカーのもらうし、バイト先でお客さんに聞かれることあるし、知っといた方がいいなって。

どうせいつも女の子のぱんつだし、つけててもおかしくないし。

ううん、むしろ女の子のぱんつだからこそ、男のでもっこりしちゃうのを抑えられるこれはすごいんだ。

ほんと、ぱっと見るとぱんつの上からなら生えてないように見えるんだもん。

男なのに。

……ぼくは男なのに!

「ゆ、柚希さん!? なぜわた――俺のズボンに」

「――おかしくないのにぃー!!」
「わ゛――――――――っ!??」

なんかむかついたから、物陰に引きずり込んで下ろそうって思ってた優さんのズボンを思いっ切り下げる。

ちょうどベルトの硬いとこも壊れてたから、しゅるんって靴下まですぽんって。

「柚希さん!?」

【何が起こってる!?】
【草】
【月岡の声で草】
【ユズちゃん、謎の絶叫】

【何が起きたんだ本当に】
【あやちゃん! 見せてくれあやちゃん!!】
【月岡が女みたいな声上げてて草】
【本当、何が起こったんだ】

【今、月岡のズボンって】
【カチャカチャいってたし……まさか!?】
【いやいや……いやいやいやいや!?】
【あやちゃん! 現状報告を!!】
【理央様がさらに発狂しだしたから報告を!!】
【草】

【あ、ほんとだ、理央ちゃんの配信で音割れするレベルの声で叫んでら】
【すげぇ……ゲート前のみんなが耳押さえながらガン見してる……】
【あ、マイクが壊れた】
【草】
【いつもの】

「もうっ! ケガして! ゆうさんのばか!」

「    」

「ちょ、ちょっと柚希さん、さすがに……、え……?」

僕は怒った。
僕は怒ってるんだ。

僕たちを守ろうとして、よく見たらおへその近く切れてるじゃん。

傷は浅いみたいだけど、でも痛いじゃん!

――「女の子」だからお腹は大切なのに、おまただけじゃなくってお腹からも血が出てるじゃん!!

「ばか。 ばか」

僕はポーチから包帯を取りだして、お腹をぐるぐる巻きに。

最初は頭を抑えられてたけども、なんだか力が抜けてるからささっとね。

いくら治癒魔法で、後で治るって言っても痛いものは痛いはず。

なのに、「女の子」なのに、無理して。

しかもお腹だよ!?
おへその下だよ!?

女の子にとっていちばん大切な場所でしょ!?

「ばか。 優さんのばか」

「    」

「え……えっ」

せっかく僕が手当てしてあげてるのに、何もしない優さん。

「え、あの、柚希さん、さすがにそこは――」
「……こっからの血はちょっとだけ……でも我慢よくない!!」

理央ちゃんがよくいたずらでしてくるみたいに、勢いよくぱんつを下ろす。

「きゃあっ!?  ……え……あの、優、さん……?」

「……せめて、見ないで……」
「あ、はい……」

優さんのぱんつ。

ピンク色でかわいいやつだから僕もほしいけど、残念なことに下のとこが赤くなっちゃってる。

もう、血は落ちにくいんだから気をつけないといけないのにさ。

そこが1番汚れやすい場所なのに。
お母さんのぱんつとか、そこだけ手洗いしなきゃいけなくなるのに。

だから理央ちゃんとか、よくこれ忘れて「持ってないですか……?」って聞いてくるんだから。

めんどくさがって「つけてください」って、女の子なのにぱんつ下ろしてきたりするから慣れてるけどさ。

だから男のくせに付け方もばっちりなんだ。

……理央ちゃんのばか。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~

椿紅颯
ファンタジー
目標である登録者3万人の夢を叶えた葭谷和昌こと活動名【カズマ】。 しかし次の日、身に覚えのない大炎上を経験してしまい、SNSと活動アカウントが大量の通報の後に削除されてしまう。 タイミング良くアルバイトもやめてしまい、完全に収入が途絶えてしまったことから探索者になることを決める。 数日間が経過し、とある都市伝説を友人から聞いて実践することに。 すると、聞いていた内容とは異なるものの、レアドロップ&レアスキルを手に入れてしまう! 手に入れたものを活かすため、一度は去った配信業界へと戻ることを決める。 そんな矢先、ダンジョンで狩りをしていると少女達の危機的状況を助け、しかも一部始終が配信されていてバズってしまう。 無名にまで落ちてしまったが、一躍時の人となり、その少女らとパーティを組むことになった。 和昌は次々と偉業を成し遂げ、底辺から最速で成り上がっていく。

俺だけ展開できる聖域《ワークショップ》~ガチャで手に入れたスキルで美少女達を救う配信がバズってしまい、追放した奴らへざまあして人生大逆転~

椿紅颯
ファンタジー
鍛誠 一心(たんせい いっしん)は、生ける伝説に憧憬の念を抱く駆け出しの鍛冶師である。 探索者となり、同時期に新米探索者になったメンバーとパーティを組んで2カ月が経過したそんなある日、追放宣言を言い放たれてしまった。 このことからショックを受けてしまうも、生活するために受付嬢の幼馴染に相談すると「自らの価値を高めるためにはスキルガチャを回してみるのはどうか」、という提案を受け、更にはそのスキルが希少性のあるものであれば"配信者"として活動するのもいいのではと助言をされた。 自身の戦闘力が低いことからパーティを追放されてしまったことから、一か八かで全て実行に移す。 ガチャを回した結果、【聖域】という性能はそこそこであったが見た目は派手な方のスキルを手に入れる。 しかし、スキルの使い方は自分で模索するしかなかった。 その後、試行錯誤している時にダンジョンで少女達を助けることになるのだが……その少女達は、まさかの配信者であり芸能人であることを後々から知ることに。 まだまだ驚愕的な事実があり、なんとその少女達は自身の配信チャンネルで配信をしていた! そして、その美少女達とパーティを組むことにも! パーティを追放され、戦闘力もほとんどない鍛冶師がひょんなことから有名になり、間接的に元パーティメンバーをざまあしつつ躍進を繰り広げていく! 泥臭く努力もしつつ、実はチート級なスキルを是非ご覧ください!

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

最強のコミュ障探索者、Sランクモンスターから美少女配信者を助けてバズりたおす~でも人前で喋るとか無理なのでコラボ配信は断固お断りします!~

尾藤みそぎ
ファンタジー
陰キャのコミュ障女子高生、灰戸亜紀は人見知りが過ぎるあまりソロでのダンジョン探索をライフワークにしている変わり者。そんな彼女は、ダンジョンの出現に呼応して「プライムアビリティ」に覚醒した希少な特級探索者の1人でもあった。 ある日、亜紀はダンジョンの中層に突如現れたSランクモンスターのサラマンドラに襲われている探索者と遭遇する。 亜紀は人助けと思って、サラマンドラを一撃で撃破し探索者を救出。 ところが、襲われていたのは探索者兼インフルエンサーとして知られる水無瀬しずくで。しかも、救出の様子はすべて生配信されてしまっていた!? そして配信された動画がバズりまくる中、偶然にも同じ学校の生徒だった水無瀬しずくがお礼に現れたことで、亜紀は瞬く間に身バレしてしまう。 さらには、ダンジョン管理局に目をつけられて依頼が舞い込んだり、水無瀬しずくからコラボ配信を持ちかけられたり。 コミュ障を極めてひっそりと生活していた亜紀の日常はガラリと様相を変えて行く! はたして表舞台に立たされてしまった亜紀は安らぎのぼっちライフを守り抜くことができるのか!?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

底辺ダンチューバーさん、お嬢様系アイドル配信者を助けたら大バズりしてしまう ~人類未踏の最難関ダンジョンも楽々攻略しちゃいます〜

サイダーボウイ
ファンタジー
日常にダンジョンが溶け込んで15年。 冥層を目指すガチ勢は消え去り、浅層階を周回しながらスパチャで小銭を稼ぐダンチューバーがトレンドとなった現在。 ひとりの新人配信者が注目されつつあった。

ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~

むらくも航
ファンタジー
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。 配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。 誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。 そんなホシは、ぼそっと一言。 「うちのペット達の方が手応えあるかな」 それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。 ☆10/25からは、毎日18時に更新予定!

処理中です...