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2章 ダンジョン配信、始めます

51話 みんなが優しい報酬の分配

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「理央さん、普通のパーティーだと分配はどうするのですか?」

「はいっ、普通はパーティー共有のお財布を最初に用意しておいて、それに入れる金額を除いてみんなで均等にですかねぇ。 その日の活躍……あんまりにも何もできなかったりするときとかは申し訳ないから、ちょっと少なめにしてもらったり、逆に多くしてあげたりとか」

「あ、でもひなた知ってる! 前衛の人の方が危険がいっぱいだからちょっと増やしてあげるんだよね!」
「そういうものですか……危険度を考えたらそうですね」

【ひなたちゃんかしこい】
【無知っ子お姉さん……いい】
【いや、これは無知シチュに入るのか?】
【なんかどことなくユズちゃん風味ない?】
【そういえば……】

【ぽわぽわした雰囲気って、もしかして何も考えてない……?】
【ユズちゃんと一緒に放置したらそのままのんびり過ごしそう】
【よく分からない流れの会話があさっての方向に続きそう……】
【突っ込み不在の不思議な空間が形成されそう】
【それはそれでありだな】
【世界でいちばん平和な空間になりそう】
【草】

【まぁでもガンナーとかも居ないし、MPのためにポーションがぶ飲みしながら戦うタイプでもなさそうだしな、あやちゃんも。 実際コストはあんま掛からない組み合わせだし】

【あるとすれば、おまんじゅうちゃんに固定砲台でがんばってもらうためにユズちゃんか……】
【理央ちゃんでも厳しかった、下の階層の敵をたったの2発で倒したしな】

【理央ちゃん&ひなたちゃんがガードしてユズちゃんに砲台になってもらう簡単なレベリングです】
【一緒にあやちゃんも魔法のスキル上げできるね!】
【ユズちゃんに、涙目になるまで飲ませるって!?】
【水分でお腹が膨らんだユズちゃん……ふぅ……】

すらすらと、ここからどうすればいいのか出てくる理央ちゃん。

そうだよね、何回か……どころじゃなくて、年に何回か他の同級生たちのサポートで入ってるもんね。

僕たちのこれだって多分サポートって形だし、ずっと居るわけじゃない。

なら、今のうちに彼女からいろいろ教えておいてもらわないと。

「で、えっとね? もしみんなが良いなら……最初は装備品とかで持ち出しが多いだろうから、しばらくは共有のお金は最低限。 みんなの装備が整ってきたらそこそこにして、消耗品とかはそっちからって形にしたらどうかな。 私の友だちのパーティーの受け売りだけど」

「うん、良さそう。 どのくらいに?」
「んー。 しばらくは5%くらいで良いんじゃないでしょうか。 そんなに深いところ、潜る予定ないでしょ?」

「そうだね、僕たち、まだ初心者だし」

5%って聞いて「少なくない?」って思ったけども、積み上がった金額……100万円ってことを考えたら多いよなぁ。

【やだ、お金の話がリアル】
【普通の配信だとオフにするからな】
【そもそも普通はダンジョン出るときが配信終わりだし】
【そらそうよ】

【じゃあなんで俺ら観れてるの?】
【だってユズちゃんだよ?】
【ユズちゃんだもんなぁ……】
【そうだった】
【草】
【安定のオチ担当ユズちゃん】

「あ、でも、理央ちゃんは僕たちよりレベルも高い経験者。 しかも今日は特に、1番危険なところを引き受けてくれたし、ほとんど君が倒したようなものだよね」

「あ、そうだね。 ゆずきちゃんかしこい!」
「えへへ……」

【かわいい】
【ロリとロリが戯れている】
【でもユズちゃん、「かしこい」って小学生に褒められて喜ぶ高校生は居ないのよ……】
【もしかして:やっぱり飛び級で実年齢は……】
【それしかないな】
【身長もロリの範囲だし、雰囲気もロリだし……もうロリだろこれ】

「だから理央ちゃんが多めに……3倍4倍の分け前でも良いよね?」
「ねー」

「ゆずきちゃん、かしこいからなでなでー」
「もう……しょうがないなぁ」

近づいて来て片手を上げてたから、多分撫でたいんだろうなって思って腰を落とした僕の頭をなでなでしてくれるひなたさん。

「いえ、私は別に……それに、そんなには」
「いけませんよ、理央さん」

そんな僕たちの真上で、あやさんがちょっと真面目なトーン。

……ごめんね、真剣な話しようとしてるのに、僕たち撫でて撫でられてて……タイミングが悪かったんだよ、うん。

「危険と負担に見合ったお手当を。 そうでないと……今は良くとも、そのうちにふと、理央さんの中で不公平感が芽生えてしまいます。 ……それは、ずっと一緒に続けていけたらと思っている私たちにとっても、良くありません」

確かにそうだよね。

元々3人のところに入ってもらったとは言っても、今日のなんてほとんど理央ちゃ……光宮さんがやってくれたもんだもん。

僕たちは、ただ面倒を見てもらっただけ。
むしろ全額彼女の分で良いくらい。

でも、それだと多分彼女の方が納得できないから……だって良い子だから……だから、こういう形にしようとしているんだろう。

なら。

「そうですね、僕もあやさんに賛成です」
「柚希先輩……」

立ち上がって、軽くスカートの裾をはたいてから彼女の人懐っこい顔を見る。

「僕たちはパーティーなんだ。 だから、ここでみんなが納得できる分け方にしておかないと……ね?」

「……はい、柚希先輩がそう言うなら……」

【尊い】
【良い……】
【何が良いって、みんな良い子なのがな……】
【初々しさが実に良い】
【しかも、理央ちゃんがユズちゃんにだけは……】
【ああ、乙女な顔してるのがな……】

……昔から、この子は僕の言うことに強くNOって言わない。

それを知ってるからちょっと強引に決めさせちゃったけども……多分、こうした方が良い気がする。

「きゅい」
「じ、じゃあ、具体的には……」
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