85 / 157
第四章 求道
第四章 求道 4
しおりを挟む
数日後、那覇・東村――
晴れた朝、街の中心部では多くの人々が通りを行き交い、賑わいを見せていた。
そんな中、光永家の屋敷の離れ家では、光永が自席に座っている。
光永は、机を挟んで目の前に立つ世璋や守央と話をしていた。
「今回は、赤田村で泡盛を製造している時雨酒造からの依頼だ。先日の夜、時雨酒造の輸送隊が盗賊団に襲われ、馬方1人が負傷した。幸い、商品の泡盛が奪われることはなかったが、盗賊団は神出鬼没な上、最近は他の酒造所も同様の被害に遭っているらしい。そこで、我々が各地で聞き込みを行い、盗賊団の出没傾向を調査することになった。時雨酒造は盗賊団の行動範囲や出没時刻を鑑みて、安全な輸送経路を新たに検討したいそうだ」
「泡盛の輸送隊を狙う盗賊か。王朝時代からよくいるんだよな」
「光永さん、警察は一連の事件について把握しているんでしょうか? 治安の維持を考えるなら、対処もなるべく早い方がいいと思いますが……」
「各酒造所は被害を警察に届け出ているそうだが、肝心の捜査は進んでいないらしい。盗賊団は逃げ足が速く、足取りを掴むことも困難だ。とはいえ、捜査の進展を待っていては、泡盛の市場取引にも悪影響が及ぶ。まずは、時雨酒造から話を聞こう。その後、手分けして各酒造所から情報を集めるぞ」
光永は椅子から立ち上がり、コートラックに掛けられた中折れ帽を被った。
晴れた朝、街の中心部では多くの人々が通りを行き交い、賑わいを見せていた。
そんな中、光永家の屋敷の離れ家では、光永が自席に座っている。
光永は、机を挟んで目の前に立つ世璋や守央と話をしていた。
「今回は、赤田村で泡盛を製造している時雨酒造からの依頼だ。先日の夜、時雨酒造の輸送隊が盗賊団に襲われ、馬方1人が負傷した。幸い、商品の泡盛が奪われることはなかったが、盗賊団は神出鬼没な上、最近は他の酒造所も同様の被害に遭っているらしい。そこで、我々が各地で聞き込みを行い、盗賊団の出没傾向を調査することになった。時雨酒造は盗賊団の行動範囲や出没時刻を鑑みて、安全な輸送経路を新たに検討したいそうだ」
「泡盛の輸送隊を狙う盗賊か。王朝時代からよくいるんだよな」
「光永さん、警察は一連の事件について把握しているんでしょうか? 治安の維持を考えるなら、対処もなるべく早い方がいいと思いますが……」
「各酒造所は被害を警察に届け出ているそうだが、肝心の捜査は進んでいないらしい。盗賊団は逃げ足が速く、足取りを掴むことも困難だ。とはいえ、捜査の進展を待っていては、泡盛の市場取引にも悪影響が及ぶ。まずは、時雨酒造から話を聞こう。その後、手分けして各酒造所から情報を集めるぞ」
光永は椅子から立ち上がり、コートラックに掛けられた中折れ帽を被った。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ヴィクトリアンメイドは夕陽に素肌を晒す
矢木羽研
歴史・時代
カメラが普及し始めたヴィクトリア朝のイギリスにて。
はじめて写真のモデルになるメイドが、主人の言葉で次第に脱がされていき……
メイドと主の織りなす官能の世界です。
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる