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第二章 真意 前篇

第二章 真意 前篇 9

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首里・山川村――

琉球建築の人家が並ぶ住宅街は、人通りの少ない閑静な雰囲気に包まれていた。

そんな中、とある人家の畳敷の一番座(客間)では、守央と世璋が中年の男と向かい合って正座している。

男は黒髪を短く整えており、山吹色の上衣と同色の細帯、白い長ズボン状の琉球袴を身に着けていた。

彼らの目の前には、それぞれさんぴん茶が入った素鼠色の汲み出し茶碗が置かれている。

男は守央と世璋に対し、軽く会釈した。

「本日はわざわざお越しいただき、誠にありがとうございます。改めまして、わたしはこの度依頼をさせていただきました、筑登之親雲上の長嶺善良ながみね ぜんりょうと申します」

善良と名乗る男が丁寧に挨拶すると、守央も自ら氏名を名乗った。

「わたしは光永探偵事務所の新垣あらかき守央、こちらは同じく平良たいら世璋です。本日は所長の光永が別件対応中のため、代わりにわたしたちがお話を伺います。早速ですが、人探しのご依頼について詳しいお話を……」

「探していただきたいのは、同じ山川村に住む、島袋真加しまぶくろ まかという15歳の少女です。数年前、わたしは彼女のご両親から依頼を受け、自宅で真加にティーを教え始めました。とても才能のある子で、わたしが指導し始めるとすぐに型を覚えてめきめきと腕を上げていきました。我が弟子ながら、大したものだと思います。ですが数日前、真加がティーの稽古に突然来なくなってしまったので、心配になったわたしは彼女のご両親のもとへ相談に伺いました。何せこの数年間、稽古の日となると欠かさずわたしの家を訪れては、熱心にティーの修業に励んでいた真加が急に来なくなってしまったものですから……しかし、どうやら真加は夜の間に突然姿を消してしまったらしく、ご両親も行方がわからないと心配なさっていたのです。警察にも相談しましたが、事件性がないという理由でろくな捜索もしてもらえず、単なる年頃の少女の家出として扱われている次第です。ですがわたしは師として、やはり真加のことが心配でなりません」
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