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71 ご提案

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「突然ですが、お姉さんたちのそのお話、ワタシにもお手伝いさせてくださいな?」

ケイト「どういうことでしょう?」

「ワタシ、商売としてやってみたいことがあるのです」
「それを皆さんと一緒にできたらいいな~って思って、ご提案したいのです」

そんな感じで、とりあえずワタシが考えている商売の構想を、

ジェニー姐さんも含め、皆さんにざっくり説明してみます


「まずはですね、お昼ご飯とか、おやつとか、そういった文化を広めたいですね」

ケイト「え? お昼にお食事をするんですか?」

「ですです」
「この辺りでは食べないみたいですけど、お昼ご飯、いいものですよ?」
「ね? ジェニー姐さん?」

「そうね、とってもいいものよね」
「慣れちゃうと、お昼に食事をとらないと苦痛に感じるくらいには大切に感じられるものよ?」

「まずは、軽食とか、甘いお菓子だとか、そういう感じから始めたいですね」

ケイト「甘いものですか? いいですね~♪」

一日二食のこの地域の習慣を、もう少し多彩にしたいと思っているワタシです



「あとは、アミューズメントといいますか、体を使って気楽に遊べる場所の提供かな?」

クロエ「遊技場か~、楽しそうだよね~」
クロエ「でも、お金持ちじゃないと、なかなか通えないんじゃない?」

「まあ、時間とお金に余裕がないと、なかなか通えないかもですけど」
「でも、たまにふらっと息抜きできる場所があるって、大切だと思うのです」

クロエ「そっか、毎日じゃなくても、たまに遊べる場所があるだけでもありがたいか」

「ですです」

いつもジェニー姐さんを見ていると、楽しいこととか、遊びに飢えている気がします

(長く生きている?)ジェニー姐さんでさえ、そうなのですから、普通のひとは、お察しです

(おっといけない、ジェニー姐さんお歳のことを考えると!?)
(ちょっとジェニー姐さん、ワタシを見つめる目つきが怖いんですけど・・・)



「それからこれが一番重要なのですが、女性第一」
「女性が気兼ねなく来ることができる、そんなお店というか、場所というか」
「そういうところを目指したいですね」

プリシラ「女性第一?」

「ですです。お食事とか、息抜きって、人目が気になるでしょ?」
「特に男性がいると、女性は気になってしまうと思うんです」
「だから、ワタシが目指すのは、女性優先、むしろ女性専用でもいいと思うんですよね」

プリシラ「たしかに、女性は男性の視線を気にしてしまいますもの」
プリシラ「女性優遇の施設があっても、いいと思いますわ」

「まあ、権力だったり、暴力沙汰だったり、そういったトラブル回避も理由なんですけどね」
「権力者って大概男性でしょ? それに暴力を振るうのも男性ばっかりだし」

プリシラ「否定できませんわね」


「ワタシが考えているのはこんな感じなんですけど、どうです?」
「初期投資や資材、食材等の仕入れは、全てワタシ持ち」
「皆さんに金銭的負担はありません」
「それと、みなさんの衣食住もワタシが面倒を見ます」
「皆さんには接客を中心に労働してもらうことになると思います」
「お給金は歩合制というか、その日の売り上げ次第という感じですかね」
「条件としてはこんな感じですけど、どうです?」
「ワタシと一緒にやってみませんです?」


ケイト「甘いものは魅力的ですね~」
ケイト「それでお金が稼げるのなら、是非ともお願いしたいです」

クロエ「アタシもアタシも!」
クロエ「遊技場も興味あるしね~」

プリシラ「女性優遇施設、いいと思いますわ」
プリシラ「私も参画したいですわ」


(お? お姉ちゃんズ、脈ありですね?)

そんなことを考えていると、クロちゃんからお声がかかりました

クロエ「女性優遇なんだけどさ、子連れだったら? 子供の男の子はどうするの?」

「う~んそうですね~、ちっちゃい男の子は受け入れましょう」

クロエ「何歳までならいいの?」

「う~ん、どうしよう」

「スキニー、あなたより背が低い男の子はいいにしたら?」
「目で見て判断できた方が、具体的でいいでしょ?」

「え? ワタシ基準?」

クロエ「そもそもお嬢はいくつなの?」

「え? お嬢? ワタシのことです?」

クロエ「そうそう。で? お嬢の歳は?」

「ワタシは自称、15歳です」

クロエ「え? そのふくふくした見た目で成人してるの?」

ケイト「うそ・・・信じられません」

プリシラ「自称って、自分で自称って言ってますわよ?」

「また自称って、あなた・・・」
「まあ、細かいことは、あとでいいんじゃない?」

「そうですね、ここで具体的なお話してもしょうがないですよね」
「詳細はもっと具体的になった段階で詰める、ということで」


とりあえず、お三方からは前向き発言いただきました

あとはワタシのお目付け役、ジェニー姐さん次第です

「ところでジェニー姐さんはワタシの構想、どうです?」

「スキニーの考えはわかったわ」
「トラブル回避とかもちゃんと考えてるみたいだし、いいと思うわよ?」
「ただし、あなたはみんなに指示を出すだけ、いい?」
「あなたは療養中だということを忘れないでね?」

「了解なのです」


そんな感じで大筋でOKをいただきました


「あ、ジェニー姐さんはワタシのお手伝いをお願いしますね?」

「もちろんよ」
「でも、私はお給料いらないわよ?」

「え? でも」

「私はあなた側、だからいらないの、いい?」

「ハイです♪」

(私はあなた側、それって、ワタシの身内ということでしょうか?)
(うふふっ♪ なんだかとても、うれしい言葉ですね)
(ジェニー姐さんもお姉ちゃんズ3人も概ねOKそうですね)
(あとは細かいところをどう詰めていこうかな?)


そんなことを考えていると、ジェニー姐さんがお三方に向かって話し始めました

「それからあなたたち、そんな簡単にヒョイヒョイついて行ってはダメよ?」
「舟の荷物の件もそうけど、もう少し、危機感を持ちなさいな」
「私達があなたたちを騙すかもしれないじゃない?」


クロエ「え? 騙す気だったの?」

「違うわよ。騙すつもりなら、こんな警告するわけないでしょ?」
「言われた言葉を鵜呑みにして真に受けないの」
「そういうところをもっとちゃんと考えなさいと言っているのよ?」

クロエ「うっ」

ケイト「そうですよね」

プリシラ「返す言葉もありません」


人生の先輩、ジェニー姐さんによるお説教タイムは続きます


「とにかく、あなたたちにはもっとしっかり考える時間が必要だと思うの」
「それに、判断材料だって少なすぎるでしょ?」
「この子の、スキニーの言葉だけで判断していいの?」
「私はこの子の凄さを知っているから、十分納得できるけど」
「あなたたちは、もっと確信が持てる証拠というか、拠り所が欲しいのではなくて?」


ケイト「たしかに、そうですよね」


「ということだから、結論は明日以降、そういうことでどうかしら?」


クロエ「異議なし!」

ケイト「そうさせていただきます」

プリシラ「ご配慮ありがとうございます」


「そういうことだから、スキニーは、この子たちにあなたの言葉の根拠を見せてあげなさい?」


「そうですね、そうですよね」
「それじゃあとりあえず皆さん、明日1日ワタシにくださいな?」

ケイト「え? どういうことでしょう?」

「皆さんの不安解消というか、ワタシの話の根拠というか、それを明日お見せします!」



こんな流れで、明日もここ、大きな中洲に滞在することが決定したワタシたち

明日1日かけて、ワタシの構想が絵に描いた餅ではないことを、お姉ちゃんズに証明して見せましょう


(それにしてもジェニー姐さん、頼りになりますね)
(やっぱり、本当の意味で大人なひとがいると、いろいろ心強いです)



とりあえず、ここまでで今日のお話は終了

ワタシは今晩の寝床セッティングに移ります

(それじゃ、今晩寝る場所をご用意しちゃおうかな)
(とりあえず、いつものユニットハウスでいいかな?)

そんなことを考えていると、仕事熱心ないつもの声

24時間戦っちゃていそうな営業のスズキさんが話しかけてきました

『お客様すいませ~ん』
『手前どもにご提案がございま~す』

そんなセリフと共に目の前に現れる、【買い物履歴】画面

その中央[あなたにお勧め]には、



【リゾートハウス 総重量鉄骨造 4LDK+ロフト 土地133坪 25,000,000円】


これはアレです。ワタシが住んでいた別荘地にあるお家です

このお家はリゾート物件だけに、普通の住宅よりかなり贅沢な仕様のお家です

1階には、ふかふかな絨毯が敷き詰められた12畳の洋室が3部屋とトイレ、そしてシャンプードレッサー

2階には、20畳のLDKと、ちょっと小上がりになっている12畳の和室、もちろんトイレもあります

シャワー室2部屋と、更にその先には、テラスに張り出した石造りの温泉浴室も2階にあります

LDKの隅には螺旋階段があり、それを昇ると、屋根の三角スペースを利用した、屋根裏部屋的な横長のロフトスペース

某アルプスの女の子が麦わらのベッドでくつろいでいそうな出窓付きのその空間は、壁こそありませんが、

縦2.5メートル横6メートルほどで高さも一番高い所で2メートル弱、低い所で1メートルほどあり、

充分居室にできるゆとりのあるスペースになっています


そしてこのお家の一番の特徴は、テラススペースの広さ

1階東側には、上から見るとかまぼこ型になっている20畳ほどのコンクリート打ちっぱなしのテラス

1階南側には、東のテラスと続きになっている12畳の長方形型のこれまたコンクリート造りのテラス

東と南の連結地点にはコンクリートの階段があり、2階のテラスに繋がっています

吹き抜けになっているその階段を上がると、2階は1階と同じ造りで同じ広さのテラスになっています

この広々としたテラスを有効活用して、週末はバーベキューをしたり、

たまに知人を招いてガーデンパーティーなんて催したりしていました


個室以外の全ての照明はセンサーで自動式だったりして、装備もかなり充実しています

ワタシはこのお家が中古物件として売り出されていた時に即決で購入しました

その時の不動産屋さんには、かなり驚かれたと同時に、かなり有難がられました

どうやらこの物件、その不動産屋さん的に、かなり不良債権化していたようで、

立地やお値段等を考慮すると、あまり人気のないお家だったようなのです

山間地の別荘地のリゾート物件としては、その土地の広さも、建物の広さも、そしてそのお値段も

かなり中途半端という評価だったようで、中々買い手がつかなかったみたいです

不動産屋さん的には、売れ残り続けると固定資産税等の負担も馬鹿にならないため、

早急に処理してしまいたかったようです

なので、ワタシが買う意思を示した時にはかなり喜ばれました

(最終的にかなり値引きをしてくれましたし、ワタシ的には大変満足なお家なのですけどね)
(ていうか、お家? お家を買うの? このタイミングで?)


お家の思い出をつらつらと語ってしまいましたが、そもそもこのお家を買うというお話だったことを思い出したワタシ

人生最大級のお買い物をこのタイミングでしていいものなのか、悩んでしまいます


『お客様すいませ~ん』
『チャージに余裕がある今、ご購入のチャンスでございま~す』
『逆に今しかご購入いただけないかもしれませんですよ?』
『今後何かの要因で、今あるチャージがなくなるかもしれませんでしょ?』
『そうなる前に、いかがでしょ~か?』

営業のスズキさんによるセールストークが始まりました

(う~ん、たしかにそうなんですけど、金額がね~)

そんなことを思いつつ、チャージ魔力量を確認してみます



【買い物履歴】画面のチャージ魔力量【59520985】


(このお家を買うと、半分近く使っちゃうのか~)
(でも逆に考えると、半分以上は残るのか~)


『お客様すいませ~ん』
『チャージを残しておいても、どうせ【買い物履歴】でしか使えないのです』
『有効なモノはドンドン買っていきましょう』
『だってお客様の場合、チャージをモノに変えておいても、何ら損はございませんでしょ?』

(言われてみればそうかも)
(元々チャージ魔力量はタダみたいなものだし)
(モノに変えてしまったとしても、ワタシに損はないのかも)
(それに【インベントリ】に収納できるから、使い捨てにはならないだろうし)
(そうか、それならいいかな?)
(思い切って、買っちゃおうかな?)


『そう、女は度胸でございま~す』


そんな感じで、営業のスズキさんにうまく丸め込まれるワタシなのでした

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