83 / 84
83 戦力の集中運用
しおりを挟むクラリッサ「スキニー様、ぜひ、このワイン、売り出しましょう」
クラリッサ「スキニー様のご慈悲で、この貧乏教会を救うと思って、ぜひ、ご協力くださいませ」
(ワタシがこの貧乏教会を救う、ね~)
(ん? それって、ワタシがこの教会をプロデュースしてイイってこと?)
(いろいろ好き勝手やらかしてもイイってことかな?)
ちょっとばかりほろ酔いな感じのシスターさんことクラリッサさんの
『ワインを売って儲けましょうぜ!』的なお誘いの言葉を
自分の都合に合わせて脳内変換し、イイ感じな解釈をしたワタシ
「クラリッサさん、ワインを売るのは勘弁ですけど、この教会の立て直しのお手伝いなら、ワタシにお任せです!」
クラリッサ「スキニー様が、この貧乏教会を救ってくださる、ということでしょうか?」
「ですです!」
という感じで、お酒が入って気の大きくなったシスターさん戯言? に、全力で乗っかる気満々なワタシなのでした
翌朝、孤児院の食堂に集合したワタシたちと、初顔合わせの孤児院のみんな
『あれ? 新しい子?』
『新入りか?』
『仲良くしてあげよ~』
そんな孤児院のキッズたちの歓迎ムードな眼差しを全身に受け、
クラリッサ「こちらはスキニー様。今日からこの教会を盛り立てていただくことになりました」
クラリッサ「みなさん、くれぐれも失礼のないようにね?」
「只今ご紹介にあずかりました、スキニーです」
「気軽に、スキニーちゃんと呼んでくださいね?」
そんな、気分は転校初日のHRなワタシ
背丈が同じぐらい、むしろワタシより高い子が数人いる状況なので、
キッズA「よろしくな!」
キッズB「仲良くしてね!」
そんなフレンドリーな会話で『孤児院の新入りウェルカム』な歓迎を受けたのでした
その十数分後、
キッズC「お嬢、オレに何でも言いつけてくれ」
キッズD「お嬢のために、私もがんばるね!」
明らかにワタシに対する態度が変わったキッズたち
その理由は、ワタシが朝食に用意した
【フルーツたっぷりグラノーラ 400g 550円】
【ごろっとチョコとナッツグラノーラ 360g 520円】
【低糖質調整豆乳 1000ml 168円】
これを食べたキッズたちは、まさにイチコロなのでした
(さっきまで、ワタシのことを孤児院の新入りとみなして、タメ扱いだったのに・・・)
クロエ「うめぇ~、朝からお嬢のご飯は、甘くてうんめぇ~」
ケイト「あんま~い、おいし~、お嬢大好き~」
プリシラ「お嬢、どんだけですの?」
アレッタ「こんなに甘くて美味いモノ、朝から体に染み渡るわ~」
クラリッサ「こちらも絶対売れますわ」
こんなオトナの会話を耳にしたキッズたちは、ワタシのことを『お嬢』呼ばわりし、敬いはじめちゃった、という感じなのです
そんな感じで朝からこの教会のオールスターキャストを掌握したワタシは、まずは教会の見てくれをどうにかすることにします
「それではみなさ~ん、全員集合~!」
「「「「「「は~い!」」」」」」
大人組は無言で、キッズたち6人は元気なお返事と共に、教会の入り口に集合です
ん?
8時じゃないよ?
えんやぁこらよっと?
「え~、まずは、この教会をキレイにしたいと思います」
「とりあえず、元気に生い茂っている雑草さんたちをどうにかしちゃいましょう」
「大人組にはとっても便利な道具を渡すので、それでお庭を除草しちゃってください」
「子供組には手袋を渡すので、塀とかに絡まっている草をとっちゃってください」
「あ、教会の建物に絡まってる蔦は、いい雰囲気なんで、そのままにしておいてくださいね?」
「「「「「「は~い!」」」」」」
ということで、まずは便利な道具をご用意です
【エンジン式草刈り機 4サイクル26cc 両手ハンドル 40枚歯チップソー 重量6kg 16,800円】
これはアレです。田舎の農家御用達のガソリンエンジンで動く草刈り機です
夏場の田舎に行くと、あぜ道やら畑の隅やらで使われている例のヤツです
夏場、地域によっては一日中「ブゥイ~ン」とエンジン音が鳴り響いていることがある、その原因のヤツです
電気モーター式と違って、どこででも使える便利さが魅力
ワタシも、中途半端に広い自宅の草刈りの為に、休日に「ブィンブィン」いわせていました
あとは、
【軍手 12双 298円】
【園芸用 背抜きゴム手袋 98円】
各自の手を保護する為に、手袋をご用意です
軍手をして、その上にゴム手袋をしてもらいます
二重に手袋をしてもらうのは、ゴム手袋だけだと凄く蒸れてしまうのと、棘がある雑草対策です
という感じで準備完了です
「この教会、お庭だけはけっこう広いですね~」
アレッタ「あぁ、それは、隣接している牧場と畑があるからだね」
「え? 牧場と畑?」
クラリッサ「そうです。以前、羽振りが良かったときに、購入しましたの」
「それって、めちゃくちゃ広くないです?」
アレッタ「あぁ、雑草が生えてる一帯は、全部敷地だね」
「・・・」
見た感じ、まさに見渡す限り雑草が目に入ってきます
これはのんびりやっていたら日が暮れるどころの話ではありません
なので急遽、【エンジン式草刈り機】を大人の人数分用意して、叱咤激励するワタシ
「それじゃ、大人は全員、草刈り機を使って、敷地全体を除草なのです!」
「草刈りが終わるまで、他の作業は、一切禁止なのです!」
そんな感じで、ノートパソコンをいじりたがっていたジェニー姐さんも含め、
全員で草刈りに勤しむことにしました
ちなみにワタシは、
ジェニー「スキニー、あなたにはこの道具は危ないからダメよ?」
ジェニー「どう見ても、あなたにはこの道具、大き過ぎだもの」
キッズE「それじゃあ、お嬢は私たちと一緒ね?」
キッズF「一緒にがんばろう?」
ということで、お子様組に回されてしまいました
リニューアルした復活のワタシ的には、大人と同じ最前線作業でも全然いけると思っていたのですが、
見た目が、ちょっとだけおチビなワタシは、多数決により後方支援組になったのでした
そんな感じで全戦力を草刈りに集中運用した結果、牧場と畑を含む敷地全ての除草は、なんとか3日で終えることができました
その間、『ノートパソコンをいじりたい症候群』に罹患しているジェニー姐さん以外からは、誰一人として文句は出ませんでした
これもひとえに、ワタシの日頃の行いが良かったから
それはすなわち、ずっとみんなを餌付けしてきた賜物なのでした
(ワタシに文句言ったら、ご飯あげないぞ~!?)
(そして、お残しは許しまへんで~!!)
ん?
忍術学園?
食堂のおばちゃん?
1
お気に入りに追加
190
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる