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24 試食と新キャラ?

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「うめぇ、うめぇよ嬢ちゃん!」
「こりゃ、一杯やりたくなっちまうってもんだぜ!」

洗浄(ウォッシュ)のお礼に持っていった焼き鳥を一口でほうばるザックさん


大きな紙皿の上に焼きとうもろこし2本と、焼き鳥各5本ずつをのせて管理小屋を再訪問

「さっき言ってた洗浄(ウォッシュ)のお礼です、召し上がれ?」

そうワタシが言葉をかけた直後、ザックさんはすかさず、ねぎまの塩を手に取り、口へ
そして冒頭のセリフなのです

(ふむふむ、肉か、やはり肉なのか・・・)

2本目のねぎま、今度はたれへと手を伸ばすザックさんを見ながら考察するワタシです



「いい匂いがすると思ったら、ザックってば、何ひとりで美味しそうなもの食べてるのかしら?」

赤髪をたなびかせたクール系美女さんが音もなく背後から登場です

焦げ茶色のワンピースに濃紺のエプロン、
エプロンというよりはオシャレな作業用の前掛け? と呼びたいモノを身に付けています

「(もぐもぐ)おぉジェニー、いい所に来た。美味いぞ、お前も食ってみろよ!」

「いいの? それじゃ、遠慮なく?」

(この気安い感じは仕事仲間なのかな?)
(でも美女さんの服装は制服じゃないみたいだし・・・)

そうして、ワタシを置いてけぼりにしてはじまった2人の試食会

赤髪美女さんは、迷いもなく焼きとうもろこしに行った模様です

(ふむふむ、女性はお野菜ってことなのかな? それとも別の理由?)
(・・・って、それにしたって、ワタシの存在はスルーですか?)

なんて思っていたら、焼きとうもろこしにかじりつきながら、ワタシに流し目をよこした赤髪美女さん

「それで? このカワイイのは迷子なのかしら?」

「(もぐもぐ)いや、自称訳アリの異邦人だ。ひとり旅とシャレ込んでるらしい」

(おや? これは自己紹介フラグですね? わかります)

という訳でご挨拶

「こんにちは! 只今ご紹介にあずかりました、ここではないところから来た、訳アリ少女です」

「?ふふっ、面白いわね。私はジェニファー、ジェニーって呼んでちょうだい?」

「了解ですジェニー姐さん。私のことはスキニーと!」

「スキニーちゃんね? よろしく。カワイイ娘は大歓迎よ?」

そんな感じで新キャラ登場

この管理小屋の管理人さんは、ザックさんひとりだけではありませんでした


よくよく聞いてみると、何と、この公共休息場の駐在員は総勢6名いることが判明しました

こんな小さな小屋に6人も? と疑問に思いましたが、どうやらこの小屋には地下室があるらしいのです

「万が一魔物の大群が攻めてきたときでも避難できるように、地下に部屋があるんだ」

そんな感じで、地下にはお部屋が複数作られているらしいです


駐在員のメンバーは、
 リーダーでザックさんことヨザック剣士

見回りに行って今は不在なのは、
 カルロさんことカルロス弓士と、
 マックスさんことマクシミリアン盾士

夜勤に備えて今は寝ているのは、
 ジャンさんことジャンジャック闘士と、
 レオさんことレオナルド魔法士

そして紅一点、
 ジェニーさんことジェニファー薬師

この管理小屋は、そんなオールスターキャストでお送りしているらしいです


彼らは兵士や公務員的な身分ではなく、
傭兵ギルドからここでの仕事を斡旋されただけの雇われ駐在員さんのようです

ジェニー姐さん以外のみなさんは、ここでの仕事の前は、パーティーを組んでダンジョンアタックしていたお仲間

今は休息を兼ねてこの仕事をしているそうです

「休息つっても、何もしないと体が訛っちまうだろ?」

傭兵は体が資本

完全休養してしまうと、戻すのが大変なのだそうです

「それに金も稼がねぇとだろ?」

生活するにはお金が必要

どうやら、働いたら負け的な、働きたくないでござる的な、そんなことは許されないようです



ジェニー姐さんは別口、薬師ギルド所属で、たまたまここでのお仕事を斡旋されて引き受けただけのようです

「こういう人が集まる場所って、薬師が必要でしょ?」

怪我人とか病人とかへの対応要員、そんな感じらしいです

(保健室の養護教諭って感じかな?)

ん?
保健室ってなに?
養護教諭?
んん?


ザックさんたち駐在員さんのお仕事の契約期間は3ヶ月で、今は2ヶ月ちょっと経過したところだそうです
ジェニー姐さんの任期は1ヶ月で、あと1週間で満了を迎えるみたいです

短期派遣社員とか、役場の臨時職員とか、そんな風に理解したワタシでした


あれ?
派遣社員?
臨時職員?
また知らないのに理解できるような、
分かるような分からないような、
そんな単語が勝手に出てきたよ?

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