1 / 84
1 プロローグは突然に
しおりを挟む突然仄暗い空間に集められた数十人の人間
その集団には何の統一感もなく、ただ単にランダムに選ばれた、そんな感じ
下は10代後半から、上は50代ぐらいまで、男女比は半々ぐらいだろうか
彼らの頭上には、自称「神」と名乗る存在
その形は人型なのかすらも分からない、たぶん認識阻害
その声は言語なのかすらも分からない、たぶんテレパシー
その「神」なる存在からもたらされた提案という名の命令は、集団異世界転移
『好きな能力をくれてやるから、異世界で生活せよ』ざっくりこんな感じ
行先の異世界は地球の平行世界で、魔物がいたり、魔法が存在したりするファンタジックな世界らしい
自分の周囲にいる人たちは、悲嘆にくれたり、叫んだり、ちょっとしたパニック
(急に拉致されて、危険かもしれない異世界へ行けと言われれば、普通はそうなるのかな)
(まあ、自分は今の人生にもう夢も希望も見いだせない状況だったので、渡りに船だと感じたのだが・・・)
天涯孤独とまではいかないが、生活を共にする家族もない中年男性としては、この世に何の未練もないようだった
「神」による異世界転移に伴う我々に対するご慈悲は3つあるらしい
異世界転移特典 その1
好きな能力(但し、過度なモノは調整)
異世界転移特典 その2
現在の記憶、またはスキル【インベントリ】(物質情報化管理)
異世界転移特典 その3
現在の知識、またはスキル【言語理解】(但し、人語に限る)
異世界転移特典 その1は個人の要望を聞いて調整してくれるらしい。
自分は
「現代の物品をネット通販的に何でも購入できる能力が欲しいっす!」
と、ちょっとへりくだる感じでお願いしてみました
すると、
『何でも購入できちゃうと、あっちの世界のバランス的にアウトだからダメ!』
即答だった
「ちょっと制限かけてもいいんで、何とかなりませんでしょうか!」
未知の異世界に行くのである
食べ物とか、色々不安があるので、必死になるアラフォーのオッサン
『う~ん、それじゃ、今まで購入したことがあるモノだけを通販できるようにしてあげる』
「やった! あざぁ~っす!」
こうして、【買い物履歴】なるスキルをゲットしたのであった
異世界転移特典 その2は、今の記憶か【インベントリ】の能力か、どちらかを選べということらしい
【インベントリ】とはアイテム収納のことらしく、アイテムをデータ化して保存できる能力らしい
(物質のデータ化保存だから、質量もなく時間経過もなくなるのかな?)
『その通りです』
考え事をしていたら、「神」からご丁寧なお返事をいただきました
今の記憶が異世界に引き継がれたとしても何のメリットも感じなかったため、ソッコーで【インベントリ】を選択したオッサン
(むしろ、ありがたいよ、だって記憶を消してくれるんでしょ?)
今までの人生に何ら喜びも楽しみもなかったオッサン的には、今の記憶など不要だった
異世界転移特典 その3は、今の知識か【言語理解】の能力か、どちらかを選べということらしい
【言語理解】はその名の通り、言葉を1から学習せずとも、すぐに理解できる能力らしい
これも何のためらいもなく【言語理解】を選択
(学者だとかすごい技術者だったら悩むかもだけど、フツーのオッサンの知識なんて、異世界で大して役立ちそうもないよね)
現代知識無双なんて夢のまた夢とばかりに、悩む素振りさえ見せないオッサンだった
そうこうしているうちに、自分以外の人たちも準備が整ったようだ
さすが「神」
全員に対して同時進行で作業を進めていた模様
「神」によると、集団異世界転移ではあるが、転移先はバラバラでかつランダム、とのこと
単身でどこかランダムに飛ばされる模様
つまり、転移先ですぐに周りの皆さんとチームを組むことはできないようだ
(それって、場合によっては、すぐに身の危険があるかもってこと?)
『即死レベルの危険地帯には行かぬから安心するように』
我が心の声に「神」からの返答
『一応、あちらの世界で不都合がないよう、お前たちの体を調整してから転移する』
(え? 体をいじられるの?)
『それでは皆、息災で』
その瞬間、仄暗かった視界が一変した
11
お気に入りに追加
194
あなたにおすすめの小説
異世界に来たようですが何も分かりません ~【買い物履歴】スキルでぼちぼち生活しています~
ぱつきんすきー
ファンタジー
突然「神」により異世界転移させられたワタシ
以前の記憶と知識をなくし、右も左も分からないワタシ
唯一の武器【買い物履歴】スキルを利用して異世界でぼちぼち生活
かつてオッサンだった少女による、異世界生活のおはなし
異世界召喚され、話したこともないクラスメイトと冒険者になる。
きんさん
ファンタジー
授業中事故に巻き込まれて、4人だけが異世界召喚される。
話したこともない美人優等生とペアをくむことになり、冒険者を始める。
神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく
霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。
だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。
どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。
でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!
異世界に迷い込んだ俺は異世界召喚された幼馴染と再会した
たたたかし
ファンタジー
俺〈中森ゆうた〉が8歳の頃ある日突然異世界へ迷い込んだ。
そんな俺が8年後に異世界召喚された幼馴染〈八条夏目〉に再会する話
あぁ、なんかこんな話しあったらいいなと思って見切り発車で作った話しかも初めて書いた小説。誤字も脱字も意味もわからないと思います。そこは何とか説明修正させていただきます。
落ちこぼれ盾職人は異世界のゲームチェンジャーとなる ~エルフ♀と同居しました。安定収入も得たのでスローライフを満喫します~
テツみン
ファンタジー
アスタリア大陸では地球から一万人以上の若者が召喚され、召喚人(しょうかんびと)と呼ばれている。
彼らは冒険者や生産者となり、魔族や魔物と戦っていたのだ。
日本からの召喚人で、生産系志望だった虹川ヒロトは女神に勧められるがまま盾職人のスキルを授かった。
しかし、盾を売っても原価割れで、生活はどんどん苦しくなる。
そのうえ、同じ召喚人からも「出遅れ組」、「底辺職人」、「貧乏人」とバカにされる日々。
そんなとき、行き倒れになっていたエルフの女の子、アリシアを助け、自分の工房に泊めてあげる。
彼女は魔法研究所をクビにされ、住み場所もおカネもなかったのだ。
そして、彼女との会話からヒロトはあるアイデアを思いつくと――
これは、落ちこぼれ召喚人のふたりが協力し合い、異世界の成功者となっていく――そんな物語である。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
死に戻り公爵令嬢が嫁ぎ先の辺境で思い残したこと
Yapa
ファンタジー
ルーネ・ゼファニヤは公爵家の三女だが体が弱く、貧乏くじを押し付けられるように元戦奴で英雄の新米辺境伯ムソン・ペリシテに嫁ぐことに。 寒い地域であることが弱い体にたたり早逝してしまうが、ルーネは初夜に死に戻る。 もしもやり直せるなら、ルーネはしたいことがあったのだった。
精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します
カオリグサ
ファンタジー
病で幼いころから病室から出たことがなかった少年
生きるため懸命にあがいてきたものの、進行が恐ろしく速い癌によって体が蝕まれ
手術の甲斐もむなしく死んでしまった
そんな生を全うできなかった少年に女神が手を差し伸べた
女神は少年に幸せになってほしいと願う
そして目覚めると、少年は少女になっていた
今生は精霊王女として生きることとなった少女の
チートクラスに強い仲間と共に歩む旅物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる