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Ⅱ.未編集
第49夜 爽side
しおりを挟む(さて、この兄をどうしてくれようか)
先ほどから彗は無自覚に爽の嫉妬心を刺激しているのだが、残念ながら当の本人は気づいていない。
学校でも貴重な笑顔を振りまき、僕はモヤモヤしていたというのに…この天然タラシはどうにかならないだろうか。
確かに優しいのは彗の長所だ。
けれどーー僕以外の人に優しくする必要はないよね?
今も旭の手当てをしてあげて、さらに柔らかな笑みと言う名の攻撃を仕掛けてきた。
みんなの胸がキュンとしたのが伝わる。
いわゆるギャップ萌を体験した瞬間だった。
(彗は僕のものなのに…)
彼を見つめる人も、彼が笑いかける人も全部が気に食わない。
胸のあたりがギュッとなって苦しくて、今すぐこの場から連れ出したい想いに駆られた。
「彗くん…」
頬を赤らめながら旭が兄を見つめる。
やめろ!
そんな表情で、瞳で彗を見るな!!
ギリっと唇を噛み締め、嫉妬の炎で心を焦がす。
もう限界だった。
(彗が悪いんだよ…。僕には滅多に笑ってくれないのに…)
爽の中でナニかが切れた。
先ほどまで彗が混ぜていたボールを掴み、それを彼へと投げつける。
「爽!?おまっ…」
モロに頭から被り、クリーム状の生地が彗を汚した。
「あ、手が滑っちゃった」
わざとらしいくらいの完璧な笑顔で言い切り、彗の腕を引っ張る。
「ごめんね!ほら、すぐ着替えてこよう!皆んなは料理を続けてて?ついでに参考になる本がないか探して来るから」
「おい、爽!」
戸惑いを隠せない彗を無視して、強制的に退場した。
「何のつもりだ」
「だから、手が滑っちゃったんだって。思ったよりベトベトだね。どうせだからお風呂に入りなよ」
と、そのまま風呂場まで連行し、彼を押し込めた。
「ちょっ…待てよ!着替えとかーー」
「僕が用意してあげるから、彗は気にしないでシャワー浴びてて」
彼の言葉を遮り、有無を言わさぬ笑顔で押し切った。
さすがに学習したのか警戒する素振りを見せるものの、クラスメイトがいる中で仕掛けては来ないと判断したらしい。
素直に「じゃあ頼む」と僕にお願いして彗はシャワールームへと姿を消した。
(ふぅ。本当にチョロくて心配になるな…)
己の身体を狙っている者がいるのに、鍵もかけず、無用心に裸になる彼の甘さに苦笑する。
けれど、こちらにとっては好都合。
しばらく様子を伺っていたが、彗は完全に警戒を解いていた。
(もうちょっと自覚して欲しいところだけど…手加減はしてあげないからね)
黒い笑みを浮かべ、制服を着たまま彗のところへ突撃する。
「…っ!?」
ビクッとして彼が振り返ったが、ちょうどシャンプーをしていて目は瞑ったままだった。
「彗ってば相変わらず無用心だね」
「おまっ…何しにきた!?」
「決まっているでしょ?お仕置きだよ。彗が誰のものか分からせてあげなきゃね?」
彼が泡を流し、厳戒態勢をとるよりも先に背後から抱きしめて急所を握る。
「くっ…爽、お前何考えて……他の奴もいるんだぞ!?」
慌てて抵抗するものの、ぎゅっと彗のオスを握り締めればその動きは止まった。
「…あっ……ふぅん…っ」
そのままゆっくり扱けば彼の口から甘い声が漏れ始める。
シャワーの音にも負けず響く彗の嬌声に僕のモノも元気になっていく。
濡れるのも構わず片手は下半身を、もう一方で胸をイジリ回す。
「…んんっ……も、はな…せっ!」
「いいの?声抑えないと皆んなに聴こえちゃうよ?ここ防音じゃないし」
僕の言葉にはっとして彗は口を抑えるが、それでも漏れる吐息は隠せていない。
「……くっ……やめ、アアッ…ん」
一際高い声が出た瞬間、シャワーを止めた。
「これでもっと声が響いちゃうね?」
攻める手は休めずに確実に限界へと追い立てる。
(お楽しみはここからだよ…)
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