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39 腕を上げたな
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「来いや、おらあ!」
リョウさんが〈威圧〉を発し、魔物のヘイトを集める。
側面に回った俺は、双剣を手に群れの中に突っ込む。無防備なところへの不意討ちは効果絶大で、群れを駆け抜ける間に五体のオークを斬り捨てた。
そうなると、ヘイトは俺に移る。駆け抜けた俺を追って視線が動く。
よそ見したオークに今度はカズサさんとユキノさん、リョウさんが痛撃を加える。
三人にヘイトが移ったところで、反転した俺がもう一度突っ込む。
この繰り返しで、俺が五回目の突入を敢行したところで、五十体を超えていたオークの群れは全滅した。
「いやあ、こんな簡単にいくとはなあ」
リョウさんが満面の笑みで言う。
「この数をこの短時間で、っていうのはちょっと記憶にないわね」
カズサさんはやや呆れたような口調で言った。
「韋駄天って、すごいのね」
ユキノさんには褒められた。最初のうちは本当に足を引っ張るばかりだったので、戦力になると認められたのは素直に嬉しい。
「この戦い方、わたしたちは楽だけど、コータローに負担がーーって、けろっとしてるわね」
「体力的には問題ないっすよ」
強がりではなく、余裕は本当にあった。もう二つ三つは連戦できる。
実際にこの後、同じくらいの規模の群れを二つ潰した。
「…稼げるのはいいんだが、ちょっと数が多すぎやしないか?」
「そうだね。前に比べて、魔物の数は確実に増えてるね」
「それに、街の近くまで来るようになったわ」
俺は以前を知らないので何とも言えないのだが、三人の表情、口調から察するにあまり芳しくない現状があるのかもしれない。
「いよいよわたしらが喚ばれた理由ってやつが出てくるのかもしれないねぇ」
最近、冒険者の間で魔物の増加が確認されている。そこに魔王の復活を絡めた説が流布されているのだ。
そうなんだよな。俺はちょっと特殊なもんでついつい忘れがちなんだが、今後顕れる魔王を倒すってのが召喚勇者の役割なんだよな。
いまいち現実味に欠ける話なんだが、それを言い出すと、今のこの状況そのものがファンタジーだもんな。
魔王、ねえ……
本当に顕れたら、戦闘要員として喚ばれたわけではないが、しらんぷりはできないよな。
それならば、少しでも生き残れる確率は上げておきたい。シルヴィアをこんなに早く未亡人にするわけにはいかんからな。
というわけで、日々レベルアップに勤しむのであった。
リョウさんが〈威圧〉を発し、魔物のヘイトを集める。
側面に回った俺は、双剣を手に群れの中に突っ込む。無防備なところへの不意討ちは効果絶大で、群れを駆け抜ける間に五体のオークを斬り捨てた。
そうなると、ヘイトは俺に移る。駆け抜けた俺を追って視線が動く。
よそ見したオークに今度はカズサさんとユキノさん、リョウさんが痛撃を加える。
三人にヘイトが移ったところで、反転した俺がもう一度突っ込む。
この繰り返しで、俺が五回目の突入を敢行したところで、五十体を超えていたオークの群れは全滅した。
「いやあ、こんな簡単にいくとはなあ」
リョウさんが満面の笑みで言う。
「この数をこの短時間で、っていうのはちょっと記憶にないわね」
カズサさんはやや呆れたような口調で言った。
「韋駄天って、すごいのね」
ユキノさんには褒められた。最初のうちは本当に足を引っ張るばかりだったので、戦力になると認められたのは素直に嬉しい。
「この戦い方、わたしたちは楽だけど、コータローに負担がーーって、けろっとしてるわね」
「体力的には問題ないっすよ」
強がりではなく、余裕は本当にあった。もう二つ三つは連戦できる。
実際にこの後、同じくらいの規模の群れを二つ潰した。
「…稼げるのはいいんだが、ちょっと数が多すぎやしないか?」
「そうだね。前に比べて、魔物の数は確実に増えてるね」
「それに、街の近くまで来るようになったわ」
俺は以前を知らないので何とも言えないのだが、三人の表情、口調から察するにあまり芳しくない現状があるのかもしれない。
「いよいよわたしらが喚ばれた理由ってやつが出てくるのかもしれないねぇ」
最近、冒険者の間で魔物の増加が確認されている。そこに魔王の復活を絡めた説が流布されているのだ。
そうなんだよな。俺はちょっと特殊なもんでついつい忘れがちなんだが、今後顕れる魔王を倒すってのが召喚勇者の役割なんだよな。
いまいち現実味に欠ける話なんだが、それを言い出すと、今のこの状況そのものがファンタジーだもんな。
魔王、ねえ……
本当に顕れたら、戦闘要員として喚ばれたわけではないが、しらんぷりはできないよな。
それならば、少しでも生き残れる確率は上げておきたい。シルヴィアをこんなに早く未亡人にするわけにはいかんからな。
というわけで、日々レベルアップに勤しむのであった。
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