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14 新たな試み
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リフレッシュした後は仕事も捗る。頭がスッキリするので、思考がクリアかつシンプルになるので、効率がすごく良くなる。これが何十連勤とかブラックな話になると、思考は半停止状態に陥り、仕事が惰性で行われるようになる。当然効率は落ちるし、新しい物が生み出されることもなくなる。
結論ーーいい仕事をするためにはしっかり休みを取るべし。
「というわけで、俺の脳細胞はいつになく活性化してる」
「それはいいことね」
セレーネがにこやかに頷いてくれる。
「で、今度は何をやろうとしてるのかな?」
考えていることはある。まだ誰にも話してないけど。
「実はね、農業しようと思ってる」
「農業!?」
セレーネは目を点にした。
まあ、そういう反応になるだろうな。
「の、農業って、何するつもりなの?」
「ポーション使って生産効率上げれないかなって思ってさ」
「できるの、そんなこと?」
「できるんじゃないかな?」
何となくだけど、できそうな気がしてる。こないだの一件から、ポーションに無限の可能性を感じているのだ。
「ザイオンくんがそう言うなら、きっとできるんでしょうね」
にっこり笑って、セレーネが頷く。俺を疑う気持ちはこれっぽっちもないらしい。うれしい反面、プレッシャーもかかる。
「具体的にはどうするの?」
「とりあえず今のままのポーションをあげたらどうなるか試してみる。その上で方向性を決めようと思う」
協力してくれる農家はすでに確保してある。買取り保証を持ち掛けたら、喜んで話に乗ってくれた。
「ってことで、明日から早速動くから」
「びっくりだな」
「びっくりね」
「びっくりしました」
予想外、と言うか予想を遥かに上回る結果が出た。俺も、セレーネも、農家のおっちゃんも揃って目を丸くするような結果だ。
「でっかいな」
「大きいわね」
「こんなん初めて見ましたよ」
俺たちの前には収穫したイモが山のように積み上げられている。品種的に丈夫な物を選んだのは確かだが、それにしたってこれは……
通常大きくても拳くらいのイモは、ヘタすると俺の頭よりも大きいんじゃないかというレベルまで育っていた。それもひとつやふたつではなく、ほとんどすべてが。
しかもーー
「これ植えたのって、三日前だったよな?」
「そうね」
「一体何があったんだ?」
「ポーションがよっぽど合ったってことなんだろうけど…ちょっと突き抜け過ぎてて怖い気がするな」
「いやいや、でもこれは画期的ですよ。これなら、不作の時でも飢えに苦しむ人を随分と減らせるはずです」
おっちゃんは満面の笑みを浮かべている。農家にしてみれば、確実に収穫を見込めるというのは何よりも大事なんだろう。
「味はどうなんだろうね?」
確かにそこは大事だ。でかいと大味になってるんじゃないかという懸念は否めない。
早速蒸かしてみるとーー
「美味い!」
「何これ、美味しい」
「こんなに美味いイモは初めて食いました」
メチャクチャほっこりして、口の中にほんのりとした甘味が広がる。今まで普通に食べていたイモと比べて、抜群に美味い。
「すごくないですか?」
おっちゃんの声は震えている。
「俺もここまで変わるとは思わなかった」
もしかして、とんでもないことをしちまったのか?
「この国の農業に革命を起こしたかもしれないわね」
「そこまでか?」
「それ以上よ」
セレーネは大真面目な顔で言った。
「さすがとしか言えないわ、ザイオンくん」
真正面から褒められるのは照れくさい。
「ま、まあ、あれだ。イモだけじゃなくて、他も色々試してみよう」
手応えを感じながら、俺たちは更なる検証を進めることにした。
結論ーーいい仕事をするためにはしっかり休みを取るべし。
「というわけで、俺の脳細胞はいつになく活性化してる」
「それはいいことね」
セレーネがにこやかに頷いてくれる。
「で、今度は何をやろうとしてるのかな?」
考えていることはある。まだ誰にも話してないけど。
「実はね、農業しようと思ってる」
「農業!?」
セレーネは目を点にした。
まあ、そういう反応になるだろうな。
「の、農業って、何するつもりなの?」
「ポーション使って生産効率上げれないかなって思ってさ」
「できるの、そんなこと?」
「できるんじゃないかな?」
何となくだけど、できそうな気がしてる。こないだの一件から、ポーションに無限の可能性を感じているのだ。
「ザイオンくんがそう言うなら、きっとできるんでしょうね」
にっこり笑って、セレーネが頷く。俺を疑う気持ちはこれっぽっちもないらしい。うれしい反面、プレッシャーもかかる。
「具体的にはどうするの?」
「とりあえず今のままのポーションをあげたらどうなるか試してみる。その上で方向性を決めようと思う」
協力してくれる農家はすでに確保してある。買取り保証を持ち掛けたら、喜んで話に乗ってくれた。
「ってことで、明日から早速動くから」
「びっくりだな」
「びっくりね」
「びっくりしました」
予想外、と言うか予想を遥かに上回る結果が出た。俺も、セレーネも、農家のおっちゃんも揃って目を丸くするような結果だ。
「でっかいな」
「大きいわね」
「こんなん初めて見ましたよ」
俺たちの前には収穫したイモが山のように積み上げられている。品種的に丈夫な物を選んだのは確かだが、それにしたってこれは……
通常大きくても拳くらいのイモは、ヘタすると俺の頭よりも大きいんじゃないかというレベルまで育っていた。それもひとつやふたつではなく、ほとんどすべてが。
しかもーー
「これ植えたのって、三日前だったよな?」
「そうね」
「一体何があったんだ?」
「ポーションがよっぽど合ったってことなんだろうけど…ちょっと突き抜け過ぎてて怖い気がするな」
「いやいや、でもこれは画期的ですよ。これなら、不作の時でも飢えに苦しむ人を随分と減らせるはずです」
おっちゃんは満面の笑みを浮かべている。農家にしてみれば、確実に収穫を見込めるというのは何よりも大事なんだろう。
「味はどうなんだろうね?」
確かにそこは大事だ。でかいと大味になってるんじゃないかという懸念は否めない。
早速蒸かしてみるとーー
「美味い!」
「何これ、美味しい」
「こんなに美味いイモは初めて食いました」
メチャクチャほっこりして、口の中にほんのりとした甘味が広がる。今まで普通に食べていたイモと比べて、抜群に美味い。
「すごくないですか?」
おっちゃんの声は震えている。
「俺もここまで変わるとは思わなかった」
もしかして、とんでもないことをしちまったのか?
「この国の農業に革命を起こしたかもしれないわね」
「そこまでか?」
「それ以上よ」
セレーネは大真面目な顔で言った。
「さすがとしか言えないわ、ザイオンくん」
真正面から褒められるのは照れくさい。
「ま、まあ、あれだ。イモだけじゃなくて、他も色々試してみよう」
手応えを感じながら、俺たちは更なる検証を進めることにした。
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