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21 スタンピード退治
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結論から言えば、嫌な予感はばっちり的中していた。
「…こいつは…ひでえな……」
眼下に広がる景色は正視に耐えられるものではなかった。
見渡す限りの大地を埋め尽くす魔物の群れ。数にして万は下らないと思うが、実際の数がどれほどなのか見当もつかなかった。
これだけの群れがここに至るまでにどれだけの被害を出してきたのか、考えるだけで身震いした。
「シル、もうちょっと飛んでくれるか?」
「うむ」
既に国境を越えてしまっているが、状況を把握するまでは戻る訳にはいかなかった。
さほど時間をかけることなく戦場にたどり着いた。
「うわ……」
恐らく国軍なのだろうが、魔物の圧倒的な物量の前に潰走寸前に見える。
そんな国軍の兵士たちがシルに気づいて絶望的な表情を見せた。
いかんいかん。俺までスタンピードだと思われる。
「シル、俺の声大きくできる?」
「雑作もないわ」
「じゃあ頼む」
そう言ってから、俺は声を張り上げた。
「こちらはクジシマ所属のドラゴンライダー、ティムです。助太刀の用意がありますが、入り用でしょうか」
正直訊くまでもないと思うのだが、一応筋は通しておかないといけない。その辺、レティにも釘を刺されているからな。
「助けてくれるなら大歓迎だ。頼む!」
指揮官とおぼしき女性の要請を受けたので、シルに魔物の殲滅を依頼する。
「シル、頼む」
「任せろ!」
シルのブレスは魔物を根こそぎ薙ぎ払った。
「…すげえな」
シルの実力は知ってるつもりだったが、俺の認識はまだまだ甘かったようだ。
俺が驚いているわけなので、初めて見る隣国の人たちでは呆然と立ち尽くしてしまうのも無理はない。
先程返事をくれた指揮官とおぼしき人の前に降り立つ。そこで指揮官は我に返ったようだ。
「助太刀に感謝します。某はこのヤシオの第一師団の団長、ウーゴ・シルヴァと申します」
「クジシマの客将、ティムと申します。こっちは相棒のシルです」
「ドラゴンライダーが実在したとは……我が国にとっては望外の幸運だったということか」
シルヴァさんはホッと息をついたが、ことはまだ終わっていない。
「シルヴァさん、重傷者を中心にこれを」
ありったけのポーションを取り出してシルヴァさんに渡す。レティお手製のポーションだから、効き目はお墨付きだ。死んでさえいなければ治癒できるはずだ。
「え? あれ? 俺、生きてるの?」
「傷がねえ。今やられたヤツだけじゃねえ。昔の古傷まで消えてやがる。一体どうなってんだ?」
「痛くねえ、痛くねえよ!」
予想通り、あちらこちらで奇跡が起きているらしい。
「何と言って礼を述べればいいのか……」
「礼なんていいですよ。困った時はお互い様ということで」
レティなら絶対にそう言うはずだ。
しかし、シルヴァさんの立場的にそう言うわけにはいかないらしく、今回シルが倒した分の魔物の魔石をもらうことになった。
相当な数の魔石は、レティにいいお土産になるだろう。
「喜んでくれりゃいいなぁ」
俺はホクホク顔で、クジシマへの帰路に就いた。
「…こいつは…ひでえな……」
眼下に広がる景色は正視に耐えられるものではなかった。
見渡す限りの大地を埋め尽くす魔物の群れ。数にして万は下らないと思うが、実際の数がどれほどなのか見当もつかなかった。
これだけの群れがここに至るまでにどれだけの被害を出してきたのか、考えるだけで身震いした。
「シル、もうちょっと飛んでくれるか?」
「うむ」
既に国境を越えてしまっているが、状況を把握するまでは戻る訳にはいかなかった。
さほど時間をかけることなく戦場にたどり着いた。
「うわ……」
恐らく国軍なのだろうが、魔物の圧倒的な物量の前に潰走寸前に見える。
そんな国軍の兵士たちがシルに気づいて絶望的な表情を見せた。
いかんいかん。俺までスタンピードだと思われる。
「シル、俺の声大きくできる?」
「雑作もないわ」
「じゃあ頼む」
そう言ってから、俺は声を張り上げた。
「こちらはクジシマ所属のドラゴンライダー、ティムです。助太刀の用意がありますが、入り用でしょうか」
正直訊くまでもないと思うのだが、一応筋は通しておかないといけない。その辺、レティにも釘を刺されているからな。
「助けてくれるなら大歓迎だ。頼む!」
指揮官とおぼしき女性の要請を受けたので、シルに魔物の殲滅を依頼する。
「シル、頼む」
「任せろ!」
シルのブレスは魔物を根こそぎ薙ぎ払った。
「…すげえな」
シルの実力は知ってるつもりだったが、俺の認識はまだまだ甘かったようだ。
俺が驚いているわけなので、初めて見る隣国の人たちでは呆然と立ち尽くしてしまうのも無理はない。
先程返事をくれた指揮官とおぼしき人の前に降り立つ。そこで指揮官は我に返ったようだ。
「助太刀に感謝します。某はこのヤシオの第一師団の団長、ウーゴ・シルヴァと申します」
「クジシマの客将、ティムと申します。こっちは相棒のシルです」
「ドラゴンライダーが実在したとは……我が国にとっては望外の幸運だったということか」
シルヴァさんはホッと息をついたが、ことはまだ終わっていない。
「シルヴァさん、重傷者を中心にこれを」
ありったけのポーションを取り出してシルヴァさんに渡す。レティお手製のポーションだから、効き目はお墨付きだ。死んでさえいなければ治癒できるはずだ。
「え? あれ? 俺、生きてるの?」
「傷がねえ。今やられたヤツだけじゃねえ。昔の古傷まで消えてやがる。一体どうなってんだ?」
「痛くねえ、痛くねえよ!」
予想通り、あちらこちらで奇跡が起きているらしい。
「何と言って礼を述べればいいのか……」
「礼なんていいですよ。困った時はお互い様ということで」
レティなら絶対にそう言うはずだ。
しかし、シルヴァさんの立場的にそう言うわけにはいかないらしく、今回シルが倒した分の魔物の魔石をもらうことになった。
相当な数の魔石は、レティにいいお土産になるだろう。
「喜んでくれりゃいいなぁ」
俺はホクホク顔で、クジシマへの帰路に就いた。
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