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私、とりあえず自分のできることをやってみます(全8話)

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アナベルは半信半疑ではあるようだが、信じてはくれたようだ。

「人間だってことは……秘密にしててほしいの。ただ……この世界について何も知らないから、教えてほしくて」
「わかったわ、秘密にする……ま、言う相手もいないしね。リーシュがシャワーの使い方が分からなかったのも合点がいったわ」
「ありがとう」
「人間ってことは……魔法使えないの?」
「うん」

魔法が使えないというところにアナベルは心底驚いたようだ。

「その妖精族の女の子は正しいわ。きっと人間だってことがバレたら捕まって大変よ……人間って、みんなこんなに痩せてるの?」

アナベルは私がなぜここまでガリガリなのか聞きはしなかったが、気になっていたらしい。

「そんなことないよ。私だけ」
「そう……」

アナベルは少し考えた。

「まぁ……このお屋敷から出ることなんてないと思うから魔法の心配はないわね。あとは種族……」
「私、何族って言えば良いのかな?」

聞かれたとき困る。何族があるかも知らないし。

「そうよね。種族は大事だわ……エルフと言うには耳が小さいし……そうだわ人間に近い姿の種族、『ドワーフ』なんてどうかしら?彼らは背も小さいし……」
「そうなんだ……私、これから聞かれたらドワーフって言う」
「それがいいわ。出身は分からないっていっとけば大丈夫よ」

その言葉が心強い。

「ありがとう……」
「……大丈夫?のぼせた?」

のぼせた?なにそれ?……まぁ多分今の私の事だろう。お湯が熱くて苦しくなってきた。

「……そうかも」
「もう出ましょうか」
「うん」

体を拭いて、肌着を着てから風呂場を掃除する。アナベルも手伝ってくれた。

アナベルに掃除当番は誰が決めるのかと訊いたら、「大体はメイドたちで平等に回していくのよ、他の仕事でもそうだわ……でも、最初のルールを決め、システムを作るのはご主人様よ」と無表情で答えられた。
すごい。ご主人様、何でもやってるんですね。大変そう。

とにかく私、これからドワーフということになりました。



この前、1日だけ俺に食事を運んだメイド。リーシュ、とか言ったな。
最初に会ったときからそうだったが、背が小さく、立っているのがやっとなのではないかと思うほどひょろひょろな奴。
最近そいつが庭の草をむしっている。
仕事中窓から見えるのだ。
一日中、俺は仕事をしているが、あいつもずっと外で草をむしっている。
日に日に庭の草が無くなっていくものだから、ちょっと面白かった。

あの日、面白い話をしろと言ったときのあいつの話は全然面白くなかった。ただ今日1日あったことを話しただけ。
だが変な話、仕事で疲れきっていた俺には心地よかったのかもしれない。

「ご主人様、夕食をお持ちしました」
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