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序章(全8話)

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「え?」
「私は密猟にあってここへ来たの、妖精族は珍しいからね。リーシュもそうでしょ?」

密猟。
こんなことが頻繁に起こるのか。
どこでも同じだね。

「さっき見たこと無い生き物に連れてこられて……」
「きっと一人でうろうろしてたリーシュがお小遣いになると思ったのね!」

そういって、クリシュナはころころ笑った。

「ま、これからマシなところに買い取られるのを祈るだけね」
「……」

これから私はどこへ引き取られるのか。
不幸を私のせいにして、私をのけ者にするところは、嫌だなぁ。

「……この世界のこと、もっと教えてくいただけませんか?」
「えぇ、いいわよ」

この世界は、人間が絶滅してしばらくたって、進化した生き物たちが再び文明を築いた世界。
人々は魔法を手に入れ、豊かに暮らしている。
しかしそれは一部の人々だけ。
裏では残りの人々たちに、人権を無視したひどい行いがされているとか。

「そうなんですか……」

私は……ものすごい未来に来てしまったのか。
そして早速、檻の中に閉じ込められちゃって。
はは、笑える。

「リーシュ、あなた怖くないの?」
「はい?」

私、変な顔してた?

「まるでこんなところに閉じ込められるのが初めてじゃないみたいだわ」
「そうでしょうか?」

確かに閉じ込められるのには慣れてるけど。
そんなに平然としていただろうか?
まぁ焦ってはいなかったけど。

「きっとそろそろ、私たちを買いに来た物好きの前にお披露目されるわよ」
「……怖いですか?」
「えぇ……とても、怖いわ。リーシュもでしょ?」
「怖いです……でも、すごいですね、この世界って」

ここは、私の知らない世界のはずなのに……生き物の価値の付け方はどこも一緒なのかな。



「……どうした?」

制服の黒い軍服を着た警察。
龍族の蒼髪緑眼の青年、警察官長の息子、現在見回りの隊長が、ひとりで町の見回りの途中のこと。
彼を探していた、同じ軍服を着た部下が近寄る。

「はっ!隊長、至急報告があります!」

長年探し続けていた人身売買を行う悪質な集団の情報を掴んできたようだ。

「それは……本当か?」
「はい、確かな情報です。この辺りで人身売買が行われていると……」
「そうか、ついに尻尾を掴んだんだ……捕らえるぞ。人数を集めろ」
「分かりました」
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