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序章(全8話)
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『バシャッ!』
急な衝撃。崖から落ちたもんね……そりゃ衝撃だわ。あれ、私……。ゆっくり目を開ける。
「生きてる……」
同時に、上から声が掛けられた。
「※※※※※※!※※※※※※!」
「……え?」
私は固い石畳に寝転がっているようだ。そして水浸し。え?なんで?
「※※※……※※※※※※?」
寝転がっている私を見下ろしているのはおじさん?いや、鼻がブタだ。耳も三角で垂れている。人型のブタ。そして声がおじさん。手にバケツを持っている。どうやら水をかけたのはこのブタおじさんのようだ。
とにかく何をいっているのか分からない。
「ここは……?」
ゆっくり起き上がる。私、生きてる。体は痛いし、あの時石で切った足の傷もそのまま。
「※※※※※※!※※※※※※!※※※」
「……」
ブタが何か怒ってるのかな?よくわからなくてブタおじさんの顔をじっと見る。愉快な顔だ。
「……あぁ、どうしよ」
ブタおじさんがにやりと笑って私の腕をつかむ。そしてどこかへと連れていかれそうになる。巨体なのもあり、私はあっさり引っ張られるがまま。
え、どこへ行くの?
かなり風化した町。赤レンガが見られる建物。きっと昔は綺麗だったのだろう。
そしてある建物の中に連れ込まれる。
わー、ここは、典型的な人身売買の現場。オリにいろいろな生き物が入って並べられている。
察した。私、売り飛ばされるみたいです。
言語が理解できない上に犯罪臭しかしない場所。私がいた村よりも治安が悪そうだ。
ブタおじさんが受付で黒いローブを着て覆面を被った人に何やら話をして私を引き渡し、硬貨を受け取っていた。
そしてびしょ濡れのままの私は、奥から出てきた、同じような覆面ローブに手を引かれ建物の奧へ引き込まれた。
あー、ここは焦るところ。
いつも村の人たちから引きずり回されていたから、そこまで焦りなどはない。
奧には、さらにたくさんの生き物がいた。
見たことないオーロラのように輝く虹色羽を持った鳥、真っ白な鱗を持った子ドラゴン、宝石が体にまとわりついたスライムのような生物。角が生えた人間……なのだろうか?ここにいる生物全てが怯えた顔をしていた。
私は、手足を縛られ、オリに入れられた。鉄棒の間は決して狭くは無いが、抜けられる程広くない。同じ檻には先客がいた。人型で、褐色の肌をしていて、おでこから立派な一本の黒光りする角が生えた赤髪の少女が縮こまり震えていた。体格はかなり小柄で弱々しい。小柄といっても私と同じくらいか。
「※※※※※※……?」
少女が私になにやら言っているが、分からない。
「ごめんなさい。あなたの言葉、分からない」
「※※※……※※※!」
少女はなにかを察したように微笑み、整った顔を私の顔に近付けて、角で私のおでこに触れた。びくっとするが、この狭い檻の中暴れるのは危ない。
何?刺されるの?
急な衝撃。崖から落ちたもんね……そりゃ衝撃だわ。あれ、私……。ゆっくり目を開ける。
「生きてる……」
同時に、上から声が掛けられた。
「※※※※※※!※※※※※※!」
「……え?」
私は固い石畳に寝転がっているようだ。そして水浸し。え?なんで?
「※※※……※※※※※※?」
寝転がっている私を見下ろしているのはおじさん?いや、鼻がブタだ。耳も三角で垂れている。人型のブタ。そして声がおじさん。手にバケツを持っている。どうやら水をかけたのはこのブタおじさんのようだ。
とにかく何をいっているのか分からない。
「ここは……?」
ゆっくり起き上がる。私、生きてる。体は痛いし、あの時石で切った足の傷もそのまま。
「※※※※※※!※※※※※※!※※※」
「……」
ブタが何か怒ってるのかな?よくわからなくてブタおじさんの顔をじっと見る。愉快な顔だ。
「……あぁ、どうしよ」
ブタおじさんがにやりと笑って私の腕をつかむ。そしてどこかへと連れていかれそうになる。巨体なのもあり、私はあっさり引っ張られるがまま。
え、どこへ行くの?
かなり風化した町。赤レンガが見られる建物。きっと昔は綺麗だったのだろう。
そしてある建物の中に連れ込まれる。
わー、ここは、典型的な人身売買の現場。オリにいろいろな生き物が入って並べられている。
察した。私、売り飛ばされるみたいです。
言語が理解できない上に犯罪臭しかしない場所。私がいた村よりも治安が悪そうだ。
ブタおじさんが受付で黒いローブを着て覆面を被った人に何やら話をして私を引き渡し、硬貨を受け取っていた。
そしてびしょ濡れのままの私は、奥から出てきた、同じような覆面ローブに手を引かれ建物の奧へ引き込まれた。
あー、ここは焦るところ。
いつも村の人たちから引きずり回されていたから、そこまで焦りなどはない。
奧には、さらにたくさんの生き物がいた。
見たことないオーロラのように輝く虹色羽を持った鳥、真っ白な鱗を持った子ドラゴン、宝石が体にまとわりついたスライムのような生物。角が生えた人間……なのだろうか?ここにいる生物全てが怯えた顔をしていた。
私は、手足を縛られ、オリに入れられた。鉄棒の間は決して狭くは無いが、抜けられる程広くない。同じ檻には先客がいた。人型で、褐色の肌をしていて、おでこから立派な一本の黒光りする角が生えた赤髪の少女が縮こまり震えていた。体格はかなり小柄で弱々しい。小柄といっても私と同じくらいか。
「※※※※※※……?」
少女が私になにやら言っているが、分からない。
「ごめんなさい。あなたの言葉、分からない」
「※※※……※※※!」
少女はなにかを察したように微笑み、整った顔を私の顔に近付けて、角で私のおでこに触れた。びくっとするが、この狭い檻の中暴れるのは危ない。
何?刺されるの?
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