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第4章~地創造~
第34話 水――毎日2リットルは飲んでる。
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―――管理者部屋
「まいったねぇ~」
「まいりましたねぇ~」
そう管理者部屋の中で話し合っているのは、白髪に澄んだ青い瞳に、中性的な顔立ちの少年とも少女ともとれる体型に白いローブを纏った、我らが管理者レイ・アカシャと黒色の長髪を後ろでまとめ、紅色がかった黒色の瞳、気の強そうな端正な顔立ちに、レイとは反対に黒色のローブを纏った女性、リンネだ。
「いや、しっかし本当に困った」
「まさかこんなことがあるとは」
二人はどうやら困っているようだ。
「まさかまさかのまさかり祭りだねぇ」
「何ですかその意味不明な祭りは」
「知らない」
「ふざけないでください、本当に困ってるのですから」
「いや、だってふざけたくもなるよ。まさかこの宇宙に水が存在しないなんてさぁ」
そう、二人が話し合っている問題。それはレイの管理するこの宇宙に水が存在しないということであった。二人の待望する常命の生命体その誕生に必要不可欠な物質である水。それがこの宇宙のどこを探しても見つからないのだ(実際に探したわけではないが、そこはレイの持つ便利な権能『検索』を使用し、水の存在を検索したが見つからなかったのだ)
「この際、常命の生命なしっていうのは?」
レイがまさかの提案をすると、リンネはウーンと考えて、
「手としては有るには有る。有るけども……レイ君管理者ウィンドウを開いて魂管理の画面を開いてみてくれる」
「?わかりました」
レイは不思議そうな顔をしながら、リンネに言われた通りに管理者ウィンドウを操作して、魂管理の画面を表示させると、
「棒グラフが出てきました」
と見たままをリンネに報告する。すると、リンネが
「位階が5に上がって、それに伴って魂管理のレベルも5になったからね。現在のマナの取得状況がわかるようになったんだよ」
「へー」
「ちなみにその棒グラフ8本全部が一番上――100%になったらレイ君の目標は達成。晴れて自由の身ってやつだね」
「それではまるで僕が囚人みたいではないですか」
「さて、それはどうだろうね」
リンネが久しぶりにいつもの怪しい笑みを見せる。
「それ、止めてくださいって言いましたよね」
レイが目敏く指摘する。しかしリンネは、
「ああ悪い、癖なんだ」
とさも悪びれた様子も見せずにレイに言う。
「全く、変なことを言って話しを混ぜ返さないでください」
「そいつは失礼」
「それで、えーっとこれが全部上までって、このグラフほとんど動いていないように見えますけど!?」
レイは盛大にいやな予感がした。
「そのグラフ、拡大も出来るからしてみなよ」
レイはリンネに言われた通りに棒グラフを拡大してみる。
「本当だ、ほんの、ほんの少ーしだけ棒グラフが8本見えます」
「だろう、更にそれぞれの棒グラフをタッチしてごらん。現在の進捗率が出てくるから」
言われてレイは8本のグラフ全てをチェックする。
「うわ!軒並み0.01%で一番多い灰色のグラフでも0.05%位しかないですよ」
「これでわかっただろう。私がおすすめしない理由」
「確かにそうですね。こんなペースじゃ一体どれほどの時間がかかることやら」
レイはこれまで過ごしてきた時間を想像し、辟易とする。
「だから水の件は、どうにかしなくちゃいけない重要課題ってところだね」
「そうですね。ところでリンネ、この8本のグラフってそれぞれに何らかの意味があるのですよね?」
「ああ、それは獲得したマナの質の違いだね」
「質の違い、ですか」
「そう、一つの命に一つの歴史。そういう具合に、回収されたマナにも、それぞれ記憶した経験や知識があるんだ。それを8つに大別してそれぞれを均等に集めていかなければならない。中々に奥深いと思わないかい?」
「なるほど……ん?今リンネ、何か重要なこと言いませんでした?」
レイは何かに気が付いた。
「何って全部が全部重要事項だよ」
リンネはレイの質問の意味が良くわからなかったようだ。
「何か――そうそう、マナに記憶がどうとか」
「ああ、それかい。そうだよマナには経験や知識といった記憶を記録する特性があるんだよ。あれ?言ってなかったっけ?」
すっとぼけるように言うリンネ、そんなリンネにレイは、
「頼むからそういうことは最初の内に説明していてくださいよ」
とため息混じりに言った。そしてレイがジト目でリンネを見て言う。
「他に説明してないこと、ないですよね」
「ない……多分――あ!!」
「何ですか、何があったのですか?」
レイが呆れたように言う。
「いや、今回の位階上昇で使えるようになった権能について説明してなかったな、と」
「ああ、そういえば」
と言ってレイは管理者ウィンドウを操作し、自身のステータス欄を開いた。
――――――
真名 レイ・アカシャ
位階 5
権能 不朽不滅、空間作成、魂管理level5、千里眼、
検索、顕現、眷属化0/7
スキル マナコントロールlevel―
――――――
「眷属化の権能が増えてますね」
「説明聞く?」
「もちろんです」
「了解。『眷属化』の権能、それは宇宙に生きる一つの生命を指定してレイ君の眷属に出来るっていう権能さ」
「眷属化された生命には何か変化があるのですか?」
「レイ君との間にマナの繋がりが出来るからね。まあ色んな変化が起こると思うよ」
「例えば?」
「異常に健康になるとか、身体能力が上がるとか、マナの保有量が増えるとかかな」
「バフってことですか?」
レイが身も蓋もないことを言う。すると、リンネが呆れ顔で、
「そんなゲームみたいに……加護とかもっとそれらしいのがあるでしょ」
そう言うが、
「それを貴女が言いますか」
と逆にレイにツッコまれる。
「こりゃあ、一本とられたなぁ」
ハッハッハ!!と豪快に笑うリンネ。しかし、レイは真顔で、
「笑えません」
と言い、
「――この0/7というのは?」
と質問する。
「眷属化出来る回数の上限だね。今はまだ誰も眷属化していないから0/7わかりやすいだろう?」
「わかりやすいですけど――この上限の7の意味は?」
「ラッキー7」
「嘘ですね」
「本当だよ!?」
「ハイハイわかりました。こちらの話、こちらの話」
リンネのことをてきとうにあしらうレイ。するとリンネは、
「そんな適当に流さないでくれよ~」
とレイにすがり付く。がレイは鬱陶しそうにしながらも、
「今回の位階上昇で必要な説明は以上でよかったですか?」
と訊く。
「そうだね、これで水の件に集中できるね」
「と言ってもやれることは一つしかないですよ」
「だねぇ」
どうやらレイには水の件を解決する秘策があるようで、それはリンネも同様のようだ。
「僕としてはあまり宇宙に干渉したくないのですが」
「ならやめる?」
そこでレイはうーんと考え込み、ややあって「決めました」と言う。
「マナ生命体の時と同じように、これは必要なことと割り切ることにします。それにもし何かあっても僕が解決して見せます」
レイの自信あり気な言葉に、リンネは「おお~」と感心し、
「レイ君も成長したねぇ~」
としみじみといった様子。
「それで、その方法は?」
「さっきは同意してませんでしたか?」
「言葉としては聞いてないからね。もし私の考えと違ったらバカらしいだろ?」
「それはそうですが、リンネは別に何もしないでしょう?」
「それでも聞きたいの!」
レイは短くため息をつく。そして、
「マナで水を創り出します」
そう言った。
「まいったねぇ~」
「まいりましたねぇ~」
そう管理者部屋の中で話し合っているのは、白髪に澄んだ青い瞳に、中性的な顔立ちの少年とも少女ともとれる体型に白いローブを纏った、我らが管理者レイ・アカシャと黒色の長髪を後ろでまとめ、紅色がかった黒色の瞳、気の強そうな端正な顔立ちに、レイとは反対に黒色のローブを纏った女性、リンネだ。
「いや、しっかし本当に困った」
「まさかこんなことがあるとは」
二人はどうやら困っているようだ。
「まさかまさかのまさかり祭りだねぇ」
「何ですかその意味不明な祭りは」
「知らない」
「ふざけないでください、本当に困ってるのですから」
「いや、だってふざけたくもなるよ。まさかこの宇宙に水が存在しないなんてさぁ」
そう、二人が話し合っている問題。それはレイの管理するこの宇宙に水が存在しないということであった。二人の待望する常命の生命体その誕生に必要不可欠な物質である水。それがこの宇宙のどこを探しても見つからないのだ(実際に探したわけではないが、そこはレイの持つ便利な権能『検索』を使用し、水の存在を検索したが見つからなかったのだ)
「この際、常命の生命なしっていうのは?」
レイがまさかの提案をすると、リンネはウーンと考えて、
「手としては有るには有る。有るけども……レイ君管理者ウィンドウを開いて魂管理の画面を開いてみてくれる」
「?わかりました」
レイは不思議そうな顔をしながら、リンネに言われた通りに管理者ウィンドウを操作して、魂管理の画面を表示させると、
「棒グラフが出てきました」
と見たままをリンネに報告する。すると、リンネが
「位階が5に上がって、それに伴って魂管理のレベルも5になったからね。現在のマナの取得状況がわかるようになったんだよ」
「へー」
「ちなみにその棒グラフ8本全部が一番上――100%になったらレイ君の目標は達成。晴れて自由の身ってやつだね」
「それではまるで僕が囚人みたいではないですか」
「さて、それはどうだろうね」
リンネが久しぶりにいつもの怪しい笑みを見せる。
「それ、止めてくださいって言いましたよね」
レイが目敏く指摘する。しかしリンネは、
「ああ悪い、癖なんだ」
とさも悪びれた様子も見せずにレイに言う。
「全く、変なことを言って話しを混ぜ返さないでください」
「そいつは失礼」
「それで、えーっとこれが全部上までって、このグラフほとんど動いていないように見えますけど!?」
レイは盛大にいやな予感がした。
「そのグラフ、拡大も出来るからしてみなよ」
レイはリンネに言われた通りに棒グラフを拡大してみる。
「本当だ、ほんの、ほんの少ーしだけ棒グラフが8本見えます」
「だろう、更にそれぞれの棒グラフをタッチしてごらん。現在の進捗率が出てくるから」
言われてレイは8本のグラフ全てをチェックする。
「うわ!軒並み0.01%で一番多い灰色のグラフでも0.05%位しかないですよ」
「これでわかっただろう。私がおすすめしない理由」
「確かにそうですね。こんなペースじゃ一体どれほどの時間がかかることやら」
レイはこれまで過ごしてきた時間を想像し、辟易とする。
「だから水の件は、どうにかしなくちゃいけない重要課題ってところだね」
「そうですね。ところでリンネ、この8本のグラフってそれぞれに何らかの意味があるのですよね?」
「ああ、それは獲得したマナの質の違いだね」
「質の違い、ですか」
「そう、一つの命に一つの歴史。そういう具合に、回収されたマナにも、それぞれ記憶した経験や知識があるんだ。それを8つに大別してそれぞれを均等に集めていかなければならない。中々に奥深いと思わないかい?」
「なるほど……ん?今リンネ、何か重要なこと言いませんでした?」
レイは何かに気が付いた。
「何って全部が全部重要事項だよ」
リンネはレイの質問の意味が良くわからなかったようだ。
「何か――そうそう、マナに記憶がどうとか」
「ああ、それかい。そうだよマナには経験や知識といった記憶を記録する特性があるんだよ。あれ?言ってなかったっけ?」
すっとぼけるように言うリンネ、そんなリンネにレイは、
「頼むからそういうことは最初の内に説明していてくださいよ」
とため息混じりに言った。そしてレイがジト目でリンネを見て言う。
「他に説明してないこと、ないですよね」
「ない……多分――あ!!」
「何ですか、何があったのですか?」
レイが呆れたように言う。
「いや、今回の位階上昇で使えるようになった権能について説明してなかったな、と」
「ああ、そういえば」
と言ってレイは管理者ウィンドウを操作し、自身のステータス欄を開いた。
――――――
真名 レイ・アカシャ
位階 5
権能 不朽不滅、空間作成、魂管理level5、千里眼、
検索、顕現、眷属化0/7
スキル マナコントロールlevel―
――――――
「眷属化の権能が増えてますね」
「説明聞く?」
「もちろんです」
「了解。『眷属化』の権能、それは宇宙に生きる一つの生命を指定してレイ君の眷属に出来るっていう権能さ」
「眷属化された生命には何か変化があるのですか?」
「レイ君との間にマナの繋がりが出来るからね。まあ色んな変化が起こると思うよ」
「例えば?」
「異常に健康になるとか、身体能力が上がるとか、マナの保有量が増えるとかかな」
「バフってことですか?」
レイが身も蓋もないことを言う。すると、リンネが呆れ顔で、
「そんなゲームみたいに……加護とかもっとそれらしいのがあるでしょ」
そう言うが、
「それを貴女が言いますか」
と逆にレイにツッコまれる。
「こりゃあ、一本とられたなぁ」
ハッハッハ!!と豪快に笑うリンネ。しかし、レイは真顔で、
「笑えません」
と言い、
「――この0/7というのは?」
と質問する。
「眷属化出来る回数の上限だね。今はまだ誰も眷属化していないから0/7わかりやすいだろう?」
「わかりやすいですけど――この上限の7の意味は?」
「ラッキー7」
「嘘ですね」
「本当だよ!?」
「ハイハイわかりました。こちらの話、こちらの話」
リンネのことをてきとうにあしらうレイ。するとリンネは、
「そんな適当に流さないでくれよ~」
とレイにすがり付く。がレイは鬱陶しそうにしながらも、
「今回の位階上昇で必要な説明は以上でよかったですか?」
と訊く。
「そうだね、これで水の件に集中できるね」
「と言ってもやれることは一つしかないですよ」
「だねぇ」
どうやらレイには水の件を解決する秘策があるようで、それはリンネも同様のようだ。
「僕としてはあまり宇宙に干渉したくないのですが」
「ならやめる?」
そこでレイはうーんと考え込み、ややあって「決めました」と言う。
「マナ生命体の時と同じように、これは必要なことと割り切ることにします。それにもし何かあっても僕が解決して見せます」
レイの自信あり気な言葉に、リンネは「おお~」と感心し、
「レイ君も成長したねぇ~」
としみじみといった様子。
「それで、その方法は?」
「さっきは同意してませんでしたか?」
「言葉としては聞いてないからね。もし私の考えと違ったらバカらしいだろ?」
「それはそうですが、リンネは別に何もしないでしょう?」
「それでも聞きたいの!」
レイは短くため息をつく。そして、
「マナで水を創り出します」
そう言った。
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