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序章~創成~
第2話 宇宙創世――さぁ始まりましたよ皆さん。応援よろしくね。
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広大な闇の中にある白い空間。その中に二人のヒトが立っている。
「それではレイ君、早速宇宙創成を開始しよう」
そう言ったのは、全身黒ずくめの女性リンネであった。
「はい、それで僕は一体何をすればいいんですか?」
答えたのは全身白ずくめのレイ・アカシャである。
「ではまずウインドウオープンと頭で念じてくれ」
レイはリンネの説明を聞くと、なぜか無性に右手を正面に掲げたいという謎の衝動に駆られ、ほぼ反射的に右手を正面に掲げていた。
「――ウインドウオープン。」
瞬間、レイの眼前に半透明の小窓が出現、レイは自身の急に目の前に現われた奇妙な画面に「わ!」と小さな驚きの声を上げる。
「リンネ、これは何ですか?」
「輪廻の輪に眠る力の管理画面だね。ちなみに手を掲げる必要はないよ。先程も言ったようにウインドウオープンと念じるだけで管理画面は出現するからね」
リンネの指摘にレイの顔が薄紅色に染まる
「淡々と言わないで下さい。余計に恥ずかしくなります。」
「なるほど、レイ君はからかわれる方が良いと……」
「……やめてください。」
「――冗談だよ。」
楽し気にレイの事をからかうリンネ。レイはそんなリンネに対する認識を改める必要があるな、と思いつつ「コホン」と照れ隠しの咳払いをする。
「と、とにかく、この管理画面を操作すれば良いのですね。」
レイが目の前に出現している管理画面に注目すると、管理画面の中央に大きく「権能」の文字が記載されていた。
「権能?」
レイが管理画面に記載されていたその文字を反射的に読んだ瞬間、管理画面が更に一つ追加され、その画面には『宇宙創成』と『不朽不滅』と『空間作成』の3つの権能が表示されていた。
「リンネ、これが?」
「そう、今のところこの3つがレイ君が使用出来る権能だよ。」
「『宇宙創成』の権能は理解出来ますがこの『不朽不滅』と『空間作成』という権能は?」
「『不朽不滅』の権能は朽ちることのない体と不滅の魂を得る…まぁ不老不死的なものだと思ってくれればいいよ。『空間作成』の権能は文字通り空間を空間を作り出す権能でね。レイ君にはまずこの『空間作成』の権能を使ってもらうことになる」
「『宇宙創世』が先ではなく?」
「そうだ。レイ君、現在私たちがいるこの空間は私が創り出した何も無い『無』の空間なんだ。レイ君がこの『無』の空間に『宇宙創成』の権能を使用することで宇宙が創り出されるんだけど、そのときにこの『無』の空間内で莫大なエネルギーの放出が起こるんだ。そのエネルギーの奔流は、君を宇宙の彼方まで飛ばして、宇宙の漂流者にしてしまう。だからこの『空間作成』の権能で事前に安全な空間を創っておくことが必要なんだ。」
「なるほど、この権能でシェルターのようなものを作り出すのですね」
「その通り。この空間作成の権能で外界から干渉不可能な空間を作成して、その中でレイ君が宇宙創成の権能を使用することで安全に宇宙を創り出すことが出来るんだ。」
「分かりました。それではリンネ、空間作成の権能の使用方法を教えてください」
「わかった。権能の使用方法は権能ごとに多少の差はあるが、基本的に管理画面に記載されている権能名を念じることで発動することが出来る。ちなみに空間作成の権能はあらかじめ作り出す空間の大きさや特性等をイメージしておかなければ発動はしないよ」
「イメージですか、中々難しそうですね……」
「なあに、心配することはないよ。ある程度簡単なイメージをしてくれれば、細かいところは輪廻の輪が調節してくれる」
そんなことも出来るのかと感心するレイ。そんなレイを見てリンネは誇らしげに胸を張る。
「苦労して作ったからね。――それじゃあレイ君、始めようか」
「ではお願いします」
レイはそう言うと、フゥと息を吐き、目を瞑る。
――まずは作成する空間のイメージをしましょう。大きさはとりあえず一部屋分ほどあればいいでしょうし、特性についてもリンネの言っていたように干渉不可をイメージ。
「よし、空間作成。」
レイが『空間作成』の権能名を唱えると、レイの周囲の空間が歪み出し変化が始まる。最初はレイの周囲の空間から始まり、硬質の壁や床、天上が出来上がる。更には空間の内部にまで変化は及び、机やベッド等の家具までもが次々と創り出され、レイはその様子に圧倒されながらも歓喜の笑みを浮かべていた。
『空間作成完了』
空間の作成が完了した事を告げるウインドウがレイの前に浮かび上がる。それと同時に今までレイが感じていた浮遊感が喪失し、レイは作り出された空間の床に尻もちをついてしまう。
「痛た!」
「大丈夫かい?レイ君」
リンネはにんまりとした顔でレイに手を差し出し、その顔を見たレイは、リンネの手を取り、お尻をさすり立ち上がり。
「分かっていたなら教えてください」
「重力のことかい?君ならば華麗に着地すると思っていたのだがね」
「いや、そのことも含めたこの空間全部のことです。」
「ああ、そのことなら輪廻の輪の設定だよ。初回に限って大きさ以外のところはこうなるように設定していたんだ――あれ?お気に召さなかったかい?」
「いいえ、感心――と言うよりも呆然ですかね?僕の乏しい想像力ではここまで出来ませんでした。ありがとうございます」
「満足して頂けたようで安心したよ」
満足も何も執務机からベッド、必要そうな物はすべてそろっているように見える。
「色々聞きたいこともありますが、今は置いておきましょう。リンネ、これで準備は整ったということで合っていますか?」
「ああ、宇宙創成の準備は完了した。いつでも宇宙創成の権能を行使してくれて構わないよ」
「わかりました。」
レイは再度深呼吸をして逸る心を落ち着かせる。管理画面映し出された宇宙創成の権能に目をやると「よし」と小さく意気込んだ。
「宇宙創成」
瞬間、空間作成で作られた部屋の外がまばゆい光に包まれる。その輝きは管理者部屋の窓を通じてレイに届き、レイは反射的にまぶたを閉じた。
「レイ君、この光は干渉不可空間を介しているから目を開けても問題ないよ」
「え?」
リンネの指摘を受け、ゆっくりとではあるがまぶたを開くレイ。未だに管理者部屋の先では強い光が放たれていたがそれがレイの目を焼くことはなかった。
「……本当だ、眩しくない。」
「テレビに出力された太陽を見てもまぶしさを感じないことと似たようなものだね」
「……納得しました。納得しましたが――」
もうちょっとマシなたとえはなかったのだろうか。とレイは心の中で静かにツッコミを入れる。
レイがそんな事を思っていると空間の外で放たれていた光が段々と小さくなっていき、やがて空間の外は暗い闇に包まれ、レイの目の前に『宇宙創成完了』と記載されたウインドウが表示された。
「暗い、何も見えませんね」
「…………」
レイはリンネからの反応がないことを不思議に思い、リンネの方を向く。すると、リンネの表情は驚愕の色に染まっていた。
「リンネ?」
再度呼びかけるもリンネからの返答はない。
「……まさか、本当に□□□□とは。というこ□は今の□□本……」
リンネは何事か呟いているがレイには聞こえない。リンネの様子に何か異常があったのかと心配したレイは短く息を吸い
「リンネ!!」
大声を上げた。
するとリンネはビクリと体を跳ねさせ、レイの目を見る。するとリンネはハッと我に返り、手で額を押さえた。
「……すまない、レイ君、ちょっと考えに耽ってしまっていた……宇宙の創世は無事完了したようだ。暗闇に包まれているのもまだ恒星の光が闇を照らし切っていないからだよ、じきに壮大な星空が見えるだろう――」
レイはリンネの耽っていた考えについて聞きたかったのだが、リンネの様子からその質問に答えることはないだろうと話を合わせることにした。
「そ、そうですよね。それでリンネ、僕はこの後何をしたらいいんですか?」
「そうだね――」
リンネが今後の事について説明しようとしたその時、
『レイ・アニマヒトの位階が上昇し、位階1になりました。位階上昇に伴い新たな権能が追加されました。確認を行って下さい。』
と、レイの眼前に出現していたウインドウがピコンという通知音と共に新たな情報を出力させた。
「位階について説明しようか」
流れるように説明しようとするリンネ。レイはまたか、とため息をこぼし、
「……リンネわかっていたなら最初に説明をしてください」
「すべてを最初に説明したら面白くないだろう」
リンネは怪しい笑みを浮かべて言い、レイはそんなリンネに呆れ顔。
「――わかりました。それで、なんとなく想像は着くのですが、念のため説明してください」
とリンネに説明を求めた。
「ああ、位階っていうのは君の存在強度そのもののことを指している。まあ簡単に言えばキャラクターレベルと同じ、いやどちらかと言ったらランクかな?とにかく、位階が上昇するとレイの存在強度が上がって使用出来る権能が増えるようになってるってことだよ」
「ということは僕の使用出来る権能が増えたということですね」
「そうなるね、確認しよう」
レイはリンにコクリと首肯で返し、眼前に表示されている権能の管理画面を確認する。すると権能の管理画面に新たな権能、魂管理level1が追加されていた。
「リンネ、とりあえず次はこの権能を使用すればいいのですか?」
「いや、その必要はない。なぜなら『宇宙創成』を実行した段階で魂は上限いっぱいまで宇宙中にばらまかれたからね」
「それも初期設定で、ですか?」
「ああ、でもそれにはちゃんと理由があるよ。『宇宙創世』の権能は発動と同時に命ある星々も創り出さなきゃならなくてね、命あるものには魂は必要不可欠だ、だから『宇宙創造』と同時に魂を放出する必要があったんだ」
「そう言うことならわかりました。それでこのレベルはどういった意味を持つのですか?」
「レベルは作成できる魂の数とかに影響するんだ。このレベルが高い程、作成できる魂の数が多くなる。ちなみに魂管理のレベルはレイ君の位階上昇に伴って上がる仕様になってるよ」
「なるほど、それでリンネ、一つ気付いた上での質問があるのですが」
「何だい?」
リンネは何を質問されるのかわかっているのだろう。とても悪い笑みを浮かべている。
「貴方のお願いの達成には僕の位階の上昇と輪廻の輪へのエネルギー供給が不可欠なんですよね」
レイは嫌な予感がする。
「そうだね」
「そのエネルギー回収には魂の輪廻が必要であると」
「そのとおり」
嫌な予感が確信に変わる。
「つまり、星の寿命が尽きる必要がある。――リンネ質問なのですが。星の寿命って平均でどれくらいですか?」
「個体にもよるげど大体200万年から永いもので2000億年といった所かな」
リンネは怪しげな笑みを浮かべていた。
「もしかして……」
「お察しのとおり、私たちは『不朽不滅』だからね、いくらでも待てる。まあ最初はゲーム感覚で良いんじゃないかな、時間も無限にあるし、焦る必要はないよ。それに私も一緒だ!寂しくないない!」
リンネはそう言ってきらりんとポージングをきめる。
「……とんだクソゲーですね。」
そんな言葉と共に長いため息が出たのであった。
「それではレイ君、早速宇宙創成を開始しよう」
そう言ったのは、全身黒ずくめの女性リンネであった。
「はい、それで僕は一体何をすればいいんですか?」
答えたのは全身白ずくめのレイ・アカシャである。
「ではまずウインドウオープンと頭で念じてくれ」
レイはリンネの説明を聞くと、なぜか無性に右手を正面に掲げたいという謎の衝動に駆られ、ほぼ反射的に右手を正面に掲げていた。
「――ウインドウオープン。」
瞬間、レイの眼前に半透明の小窓が出現、レイは自身の急に目の前に現われた奇妙な画面に「わ!」と小さな驚きの声を上げる。
「リンネ、これは何ですか?」
「輪廻の輪に眠る力の管理画面だね。ちなみに手を掲げる必要はないよ。先程も言ったようにウインドウオープンと念じるだけで管理画面は出現するからね」
リンネの指摘にレイの顔が薄紅色に染まる
「淡々と言わないで下さい。余計に恥ずかしくなります。」
「なるほど、レイ君はからかわれる方が良いと……」
「……やめてください。」
「――冗談だよ。」
楽し気にレイの事をからかうリンネ。レイはそんなリンネに対する認識を改める必要があるな、と思いつつ「コホン」と照れ隠しの咳払いをする。
「と、とにかく、この管理画面を操作すれば良いのですね。」
レイが目の前に出現している管理画面に注目すると、管理画面の中央に大きく「権能」の文字が記載されていた。
「権能?」
レイが管理画面に記載されていたその文字を反射的に読んだ瞬間、管理画面が更に一つ追加され、その画面には『宇宙創成』と『不朽不滅』と『空間作成』の3つの権能が表示されていた。
「リンネ、これが?」
「そう、今のところこの3つがレイ君が使用出来る権能だよ。」
「『宇宙創成』の権能は理解出来ますがこの『不朽不滅』と『空間作成』という権能は?」
「『不朽不滅』の権能は朽ちることのない体と不滅の魂を得る…まぁ不老不死的なものだと思ってくれればいいよ。『空間作成』の権能は文字通り空間を空間を作り出す権能でね。レイ君にはまずこの『空間作成』の権能を使ってもらうことになる」
「『宇宙創世』が先ではなく?」
「そうだ。レイ君、現在私たちがいるこの空間は私が創り出した何も無い『無』の空間なんだ。レイ君がこの『無』の空間に『宇宙創成』の権能を使用することで宇宙が創り出されるんだけど、そのときにこの『無』の空間内で莫大なエネルギーの放出が起こるんだ。そのエネルギーの奔流は、君を宇宙の彼方まで飛ばして、宇宙の漂流者にしてしまう。だからこの『空間作成』の権能で事前に安全な空間を創っておくことが必要なんだ。」
「なるほど、この権能でシェルターのようなものを作り出すのですね」
「その通り。この空間作成の権能で外界から干渉不可能な空間を作成して、その中でレイ君が宇宙創成の権能を使用することで安全に宇宙を創り出すことが出来るんだ。」
「分かりました。それではリンネ、空間作成の権能の使用方法を教えてください」
「わかった。権能の使用方法は権能ごとに多少の差はあるが、基本的に管理画面に記載されている権能名を念じることで発動することが出来る。ちなみに空間作成の権能はあらかじめ作り出す空間の大きさや特性等をイメージしておかなければ発動はしないよ」
「イメージですか、中々難しそうですね……」
「なあに、心配することはないよ。ある程度簡単なイメージをしてくれれば、細かいところは輪廻の輪が調節してくれる」
そんなことも出来るのかと感心するレイ。そんなレイを見てリンネは誇らしげに胸を張る。
「苦労して作ったからね。――それじゃあレイ君、始めようか」
「ではお願いします」
レイはそう言うと、フゥと息を吐き、目を瞑る。
――まずは作成する空間のイメージをしましょう。大きさはとりあえず一部屋分ほどあればいいでしょうし、特性についてもリンネの言っていたように干渉不可をイメージ。
「よし、空間作成。」
レイが『空間作成』の権能名を唱えると、レイの周囲の空間が歪み出し変化が始まる。最初はレイの周囲の空間から始まり、硬質の壁や床、天上が出来上がる。更には空間の内部にまで変化は及び、机やベッド等の家具までもが次々と創り出され、レイはその様子に圧倒されながらも歓喜の笑みを浮かべていた。
『空間作成完了』
空間の作成が完了した事を告げるウインドウがレイの前に浮かび上がる。それと同時に今までレイが感じていた浮遊感が喪失し、レイは作り出された空間の床に尻もちをついてしまう。
「痛た!」
「大丈夫かい?レイ君」
リンネはにんまりとした顔でレイに手を差し出し、その顔を見たレイは、リンネの手を取り、お尻をさすり立ち上がり。
「分かっていたなら教えてください」
「重力のことかい?君ならば華麗に着地すると思っていたのだがね」
「いや、そのことも含めたこの空間全部のことです。」
「ああ、そのことなら輪廻の輪の設定だよ。初回に限って大きさ以外のところはこうなるように設定していたんだ――あれ?お気に召さなかったかい?」
「いいえ、感心――と言うよりも呆然ですかね?僕の乏しい想像力ではここまで出来ませんでした。ありがとうございます」
「満足して頂けたようで安心したよ」
満足も何も執務机からベッド、必要そうな物はすべてそろっているように見える。
「色々聞きたいこともありますが、今は置いておきましょう。リンネ、これで準備は整ったということで合っていますか?」
「ああ、宇宙創成の準備は完了した。いつでも宇宙創成の権能を行使してくれて構わないよ」
「わかりました。」
レイは再度深呼吸をして逸る心を落ち着かせる。管理画面映し出された宇宙創成の権能に目をやると「よし」と小さく意気込んだ。
「宇宙創成」
瞬間、空間作成で作られた部屋の外がまばゆい光に包まれる。その輝きは管理者部屋の窓を通じてレイに届き、レイは反射的にまぶたを閉じた。
「レイ君、この光は干渉不可空間を介しているから目を開けても問題ないよ」
「え?」
リンネの指摘を受け、ゆっくりとではあるがまぶたを開くレイ。未だに管理者部屋の先では強い光が放たれていたがそれがレイの目を焼くことはなかった。
「……本当だ、眩しくない。」
「テレビに出力された太陽を見てもまぶしさを感じないことと似たようなものだね」
「……納得しました。納得しましたが――」
もうちょっとマシなたとえはなかったのだろうか。とレイは心の中で静かにツッコミを入れる。
レイがそんな事を思っていると空間の外で放たれていた光が段々と小さくなっていき、やがて空間の外は暗い闇に包まれ、レイの目の前に『宇宙創成完了』と記載されたウインドウが表示された。
「暗い、何も見えませんね」
「…………」
レイはリンネからの反応がないことを不思議に思い、リンネの方を向く。すると、リンネの表情は驚愕の色に染まっていた。
「リンネ?」
再度呼びかけるもリンネからの返答はない。
「……まさか、本当に□□□□とは。というこ□は今の□□本……」
リンネは何事か呟いているがレイには聞こえない。リンネの様子に何か異常があったのかと心配したレイは短く息を吸い
「リンネ!!」
大声を上げた。
するとリンネはビクリと体を跳ねさせ、レイの目を見る。するとリンネはハッと我に返り、手で額を押さえた。
「……すまない、レイ君、ちょっと考えに耽ってしまっていた……宇宙の創世は無事完了したようだ。暗闇に包まれているのもまだ恒星の光が闇を照らし切っていないからだよ、じきに壮大な星空が見えるだろう――」
レイはリンネの耽っていた考えについて聞きたかったのだが、リンネの様子からその質問に答えることはないだろうと話を合わせることにした。
「そ、そうですよね。それでリンネ、僕はこの後何をしたらいいんですか?」
「そうだね――」
リンネが今後の事について説明しようとしたその時、
『レイ・アニマヒトの位階が上昇し、位階1になりました。位階上昇に伴い新たな権能が追加されました。確認を行って下さい。』
と、レイの眼前に出現していたウインドウがピコンという通知音と共に新たな情報を出力させた。
「位階について説明しようか」
流れるように説明しようとするリンネ。レイはまたか、とため息をこぼし、
「……リンネわかっていたなら最初に説明をしてください」
「すべてを最初に説明したら面白くないだろう」
リンネは怪しい笑みを浮かべて言い、レイはそんなリンネに呆れ顔。
「――わかりました。それで、なんとなく想像は着くのですが、念のため説明してください」
とリンネに説明を求めた。
「ああ、位階っていうのは君の存在強度そのもののことを指している。まあ簡単に言えばキャラクターレベルと同じ、いやどちらかと言ったらランクかな?とにかく、位階が上昇するとレイの存在強度が上がって使用出来る権能が増えるようになってるってことだよ」
「ということは僕の使用出来る権能が増えたということですね」
「そうなるね、確認しよう」
レイはリンにコクリと首肯で返し、眼前に表示されている権能の管理画面を確認する。すると権能の管理画面に新たな権能、魂管理level1が追加されていた。
「リンネ、とりあえず次はこの権能を使用すればいいのですか?」
「いや、その必要はない。なぜなら『宇宙創成』を実行した段階で魂は上限いっぱいまで宇宙中にばらまかれたからね」
「それも初期設定で、ですか?」
「ああ、でもそれにはちゃんと理由があるよ。『宇宙創世』の権能は発動と同時に命ある星々も創り出さなきゃならなくてね、命あるものには魂は必要不可欠だ、だから『宇宙創造』と同時に魂を放出する必要があったんだ」
「そう言うことならわかりました。それでこのレベルはどういった意味を持つのですか?」
「レベルは作成できる魂の数とかに影響するんだ。このレベルが高い程、作成できる魂の数が多くなる。ちなみに魂管理のレベルはレイ君の位階上昇に伴って上がる仕様になってるよ」
「なるほど、それでリンネ、一つ気付いた上での質問があるのですが」
「何だい?」
リンネは何を質問されるのかわかっているのだろう。とても悪い笑みを浮かべている。
「貴方のお願いの達成には僕の位階の上昇と輪廻の輪へのエネルギー供給が不可欠なんですよね」
レイは嫌な予感がする。
「そうだね」
「そのエネルギー回収には魂の輪廻が必要であると」
「そのとおり」
嫌な予感が確信に変わる。
「つまり、星の寿命が尽きる必要がある。――リンネ質問なのですが。星の寿命って平均でどれくらいですか?」
「個体にもよるげど大体200万年から永いもので2000億年といった所かな」
リンネは怪しげな笑みを浮かべていた。
「もしかして……」
「お察しのとおり、私たちは『不朽不滅』だからね、いくらでも待てる。まあ最初はゲーム感覚で良いんじゃないかな、時間も無限にあるし、焦る必要はないよ。それに私も一緒だ!寂しくないない!」
リンネはそう言ってきらりんとポージングをきめる。
「……とんだクソゲーですね。」
そんな言葉と共に長いため息が出たのであった。
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