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サイドストーリー:フリージア
おじさま受けがいいようです。
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いつもの作業部屋で、ジョエルナ伯爵が待っていた。
「遅れてすみませんでした」
「あぁ、今日から迎えは要らないと聞いていたから、君の屋敷から直接来るのかと思っていたのだが、違うのかね」
「今日から王宮の外のカエルを捕ることになったので、出先から直接来ているんです」
「そういうことか…久々に屋敷の者が活気づいて騒がしかった。君は随分、屋敷の者に、気に入られてるんだな」
「ここに通う内に、声をかけて下さるようになって…」
孫や娘を思い出す、などと言われて、時々お菓子をくれる。今では皆と「フィーちゃん」「おじ様」と言い合う仲だ。
「仲の悪かった護衛と警備が急に団結し始めたと思ったが、君の影響だったのか」
ジョエルナ伯爵邸では、長年護衛を勤めてきた老兵が、年齢や衰えから、去年複数名引退。その分、近衛の経験もある比較的若めな人員を雇い入れたが、ベテラン勢と若手勢が相いれず、犬猿の仲だったらしい。
フリージアはキョトンとする。
「そんな風には全然見えませんでした」
フリージアが虫が苦手なことがいつの間にか知られていたらしく、送迎してもらう際「悪い虫がつかないように」と、皆が辺りを厳重に警戒してくれていた。
「旦那様!失礼します!」
隊長が現れ、伯爵に向かって敬礼した。
「新入りが、元近衛の職質テクニックで、男の身許の確認を取ったであります!テオ クルーガー男爵令息には、今のところは危険の兆候なし。しかし年齢的にも予断は許さないとの見解で全員が一致!事前に行動予定を聞き出し、明日以降、こちらから出先まで迎えに行くことにしたであります!」
「そうか、通常業務に支障が出ない程度にな。よろしく頼む。」
「はっ!」と再敬礼し、フリージアにウインクして、隊長は退室した。
「ミス ターナー、君が迷惑に思うことがあれば、やめさせるから遠慮なく言ってくれ」
ジョエルナ伯爵は、やれやれ、と言った感じで肩を竦めながらそう言った。
その後、今日分のソーティングを終えると、ジョエルナ伯爵に招かれ、フリージアはグーツと共に、伯爵の作業部屋に足を踏み入れた。
台座に見事なネックレスが載っている。
いくつものサファイアを二重に連ねてネックレスにしたそれは、中央の大きなダイヤモンドに近付くにつれて、色が濃くなっていくように配されていた。
「このネックレスを見て、何か気になることはあるかね?」
フリージアはじっと見つめた。
「サファイアの青の濃さの順番が、違うところがあります。」
「直すので指して教えてくれないか」
石はまだ台座に置かれているだけらしく、フリージアが言う通り、石は直された。
全て直すと、伯爵もじっとネックレスを見つめた。
「…素晴らしいな。」
伯爵はため息混じりに、そう言った。
「私には君ほどの僅かな濃淡までは見分けがつかないが、それでも、このネックレスがさっきまでと明らかに違うのがよくわかる。まるでネックレス自体が、光を放っているかのようだ…」
3人はしばらく無言で、ネックレスを眺めた。
フリージアがふと口を開いた。
「伯爵、教えてほしいことがあります。」
「遅れてすみませんでした」
「あぁ、今日から迎えは要らないと聞いていたから、君の屋敷から直接来るのかと思っていたのだが、違うのかね」
「今日から王宮の外のカエルを捕ることになったので、出先から直接来ているんです」
「そういうことか…久々に屋敷の者が活気づいて騒がしかった。君は随分、屋敷の者に、気に入られてるんだな」
「ここに通う内に、声をかけて下さるようになって…」
孫や娘を思い出す、などと言われて、時々お菓子をくれる。今では皆と「フィーちゃん」「おじ様」と言い合う仲だ。
「仲の悪かった護衛と警備が急に団結し始めたと思ったが、君の影響だったのか」
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フリージアはキョトンとする。
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フリージアが虫が苦手なことがいつの間にか知られていたらしく、送迎してもらう際「悪い虫がつかないように」と、皆が辺りを厳重に警戒してくれていた。
「旦那様!失礼します!」
隊長が現れ、伯爵に向かって敬礼した。
「新入りが、元近衛の職質テクニックで、男の身許の確認を取ったであります!テオ クルーガー男爵令息には、今のところは危険の兆候なし。しかし年齢的にも予断は許さないとの見解で全員が一致!事前に行動予定を聞き出し、明日以降、こちらから出先まで迎えに行くことにしたであります!」
「そうか、通常業務に支障が出ない程度にな。よろしく頼む。」
「はっ!」と再敬礼し、フリージアにウインクして、隊長は退室した。
「ミス ターナー、君が迷惑に思うことがあれば、やめさせるから遠慮なく言ってくれ」
ジョエルナ伯爵は、やれやれ、と言った感じで肩を竦めながらそう言った。
その後、今日分のソーティングを終えると、ジョエルナ伯爵に招かれ、フリージアはグーツと共に、伯爵の作業部屋に足を踏み入れた。
台座に見事なネックレスが載っている。
いくつものサファイアを二重に連ねてネックレスにしたそれは、中央の大きなダイヤモンドに近付くにつれて、色が濃くなっていくように配されていた。
「このネックレスを見て、何か気になることはあるかね?」
フリージアはじっと見つめた。
「サファイアの青の濃さの順番が、違うところがあります。」
「直すので指して教えてくれないか」
石はまだ台座に置かれているだけらしく、フリージアが言う通り、石は直された。
全て直すと、伯爵もじっとネックレスを見つめた。
「…素晴らしいな。」
伯爵はため息混じりに、そう言った。
「私には君ほどの僅かな濃淡までは見分けがつかないが、それでも、このネックレスがさっきまでと明らかに違うのがよくわかる。まるでネックレス自体が、光を放っているかのようだ…」
3人はしばらく無言で、ネックレスを眺めた。
フリージアがふと口を開いた。
「伯爵、教えてほしいことがあります。」
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