キサラギダンジョン

ゆめゆき

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地上にて

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「ああぁぁー…っ♡」

 男にアナルを貫かれ、俺は歓喜の声を上げた。

 男どうしのセックスでこんなに感じるなんて…。

 相手の背中に腕を回し、ぎゅっと抱きつき、ピストンに身を任せる。

「あん…っ♡あ…っ♡気持ちいい…♡気持ちいい…♡」

「かわいいよ…」

「あん…♡あぁん♡気持ち、いぃ~~…♡」

 どうしてこんなことになったのか…。

 話は半月前にさかのぼる。



 パーティーを追放され数ヶ月、とある村の酒場で呑んだくれていたところに、眼鏡をかけ、マントを羽織った魔法学者風の男に声をかけられた。

「あの…、はじめまして!僕はコギト・エルムと言います。あなたは冒険者のジュネ・フリンさんですね!」

「あんた何?冒険者って…俺は冒険者って言うより冒険者くずれって方が合ってるけど」

「えっ!でも冒険者ギルドに登録されてますよ」

「まあ、そりゃ、何かと便利だから登録は解消してないけどさ。で、何の用?いい話なら聞くけど」

 俺は絶賛、失業中なのだった。

「ええ!!いい話だと思います!ご本人にお会いするまで、なんとも言えませんでしたが、あなたでしたらこのお話にぴったりの逸材です!」

 なんか、うさんくさいな…。

 だが、とりあえず俺はその男の話を聞くことにした。

 パーティーを組んで、とあるダンジョンを攻略し、迷宮の最深部に住む主から、書物をあずかって来て欲しいとのことだ。

 その名もキサラギダンジョン。

 どこか不思議な名前の迷宮だ。

 そのダンジョンは難攻不落との噂。

 ダンジョンに潜るには奇妙な条件があり、それは若く美しい少年であることであった。

 勇猛果敢なベテラン冒険者たちが、何組挑んでも進めず、先に進むことが出来た者たちの特徴を研究した結果、そんな意味不明な条件にたどり着いたのだと言う。

 もちろん、魔物がうようよしているのが迷宮である。腕が立つことも重要だ。

 確かに俺はヤットウの腕には自信はある。顔も…昔は女の子と間違われて一目惚れされ、執着されたり、成長してからも男女問わず懸想されることもしばしば。美少年といってもいいのかもしれない。パーティーを追い出されたのだって…。

「これは極秘なのですが…この仕事は国王直々の命によるものです…」

「え…?」

「ですから、報酬は…」

 男の提示した金額に俺は飛び上がりそうになった。そんな金あったら、しばらくは…いや十年は遊んで暮らせる…。

 しかも、それは成功報酬だが、参加するだけで半額は保証されると言う。

 そんな話を断る理由もなく、俺はパーティーに加わることになった。

 支度金もたんまり用意され、俺は上等の剣を買い、装備を揃え、指定された日時にキサラギダンジョンの入り口付近に向かった。

 到着すると、パーティーは話に聞いていた七人のうち六人が揃っていた。俺が最後の一人だ。

 コギトも居て、俺たちに必須の食糧や水などを配給してくれる。

 それにしても集合したメンツのまばゆいこと…!!目が眩みそうな美形揃い。

 俺なんかがメンバーでいいの?とコギトにこそりと聞くと、「え、どうしてですか?」と、きた。自信を持っていいものか…俺はプラチナに近い金髪を撫でつけた。うん。この髪色も色素の薄い碧眼も珍しい方だし。

 自己紹介が始まった。

 白く長い髪を後ろで束ねた背の高い少年がまず話し始めた。白い髪、白い肌、琥珀色の瞳が印象的だ。

「ぼくはリヒト。一応、ぼくがリーダーだ。魔導士だ。よろしく」

 次に、黒髪に黒瞳の少年。抜けるように白い肌。猫のようにぱっちりした眼。

「おれはタイジ。投げナイフを使う。毒にも詳しいぞ。ナイフに塗って使うからな」

 次は褐色の肌の黒髪で、青い瞳と、赤っぽい茶色い瞳のオッドアイの少年。

「オイラはレイ。方角を決して間違えない。道に迷うことはない。かんたんな治療魔法も使えるよ!」

 茶色いサラサラの髪に、幾筋も紫色の髪が混じる頭髪をを肩まで垂らした翡翠の瞳の女顔の少年が無愛想に言った。

「僕は白魔道士のサシャ…よろしく…」

 それから、蜜のような金髪に、濃い碧眼の少年が二人。

「オレは…アイネ。剣士だ。よろしく」

「クライン、剣士だ。よろしく…!!」

 二人は兄弟だという。

 俺も自己紹介をした。

「俺はジュネ。剣士だ…。その…よろしく…」

 気まずい感じのする自己紹介だった。

 皆、大体同じくらいの年頃で若い。年かさの者がいたりすると、その人を中心に自然と団結するのだが、このパーティーは特殊だ。

「じゃあ、行こうか」

 リヒトが言い、俺たちはぞろぞろと後に続きダンジョンに降りて行った。
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