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魔族の村
転生少女救出作戦②
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ピュウッと秋の風が吹く、少し肌寒い陽気となり、薄着だと身体が震えてしまいそうだった。
深夜、王立病院前付近で激しい激戦が行われ、戦闘が終了する頃に、王国騎士団達が駆け付けた。勿論ルセディ将軍も深夜、寝室で寝ていた処を叩き起こされ、そのまま徹夜で寝付けずの番だった。彼は口煩い高官達の愚痴も聞かされる役でもあるので、王都周辺で騒ぎが起きる度に、騒ぎの発端を起こす連中が許せ無かった。
日が昇り、明るくなる頃……マネニーゼ市場の王宮街道から少し離れた場所にある、王立病院の道へと行き、激しい戦闘が行われた現場にルセディ将軍は側近達と向かった。
現場を視察した時、彼は唖然とした表情をした。大地の一部が完全に抉り取られ、市場でも美しい道として名高い街路樹の道が崩壊して、付近の民家にも多少の被害を受けていた。
「こいつぁ……凄すぎる、予想の2割増しの被害だな……」
「僕は想像していたよりも2倍以上の3割未満かと思います」
「某は特上の2割半で、惣菜増して処ですか?」
側近の会話に対してルセディ将軍は「お前達な……近所の飯屋と混合してるんじゃないぞ!」と、少し呆れた表情で言う。
そんな彼等をよそに、ルセディは目の前で起きた状況を見る。紛れも無く人知を超えた激しい戦闘が起きたのは予想出来たが……それを発揮出来る様な武器が存在するとなると……それは、間違い無く聖魔剣だと彼は予想した。
(聖魔剣……まさか、あの嬢ちゃんが?いや……彼女が、市場でこんな事するとは到底思えない、別の何者かの仕業だ!だが……一体誰が?)
その時、彼は最近王家の家系図に記されて居た名前を思い出した。
(まさか!ルミティと言う名前の少女が!彼女が所有しているのが聖魔剣なら、この状況と辻褄が合う!だとして……彼女の所有している聖魔剣は何だ?そもそも……これだけの破壊力が発揮されるとして、それは……全力なのか?それとも、まだ更に上があるのか?)
そう考えて居ると、彼は恐ろしくなった。リーミアが聖魔剣を持っている時、それだけの威力を発揮している場面に彼は遭遇してないので、確認は出来なかったが……彼が聞く噂では、野営地、湿地帯での噂は聞き知っていた。更に……魔の森の浄化など、考えて見れば、彼女は常に正しい事の為だけに聖魔剣を使っていた。
そんな彼女の行動を推測して、目の前の惨劇を比較すると、もし……聖魔剣の所有者なら、相手は完全に破壊の為だけに使っているのだと彼は推測した。
「全く、派手に暴れてくれたものだ。こりゃ、始末書の山だな、しばらく羊皮紙の上で寝る事になりそうだ。まあ、上官たちは算盤叩くのに忙しくなりそうだな……」
呆れた口調でルセディは皮肉を言う。以前……魔族が1匹、マネニーゼに現れただけでも市場は大騒ぎする程の事態だった。彼は1匹の魔族の出現のあと、数日間王宮の高官達の愚痴を聞くために城の中を走り回っていた。
そんな彼を見て、代理王であるアスレイウから『王宮で一番の苦労人』と皮肉を言われた事があったらしい。そんな代理王に対してルセディも『今度決闘を申し込んでやる』と、皮肉で言い返したと言われている。
状況見分してる時、彼は王立病院の一室の窓が完全に破壊されて居るのを見た。
(あの病室でも戦闘が行われて居たのか……と、なると……戦闘の被害を押さえる為に、外に出たのか……。しかし、あの病室には何があったのだ?後で調べる必要がありそうだな……)
そう考えながら、彼は周囲の状況を調べていると……ふと、彼はある1つの不可解な疑問に差し掛かった。
「おい、きみ……」
彼は側に居る若い騎士団に声を掛ける。
「あ、はい……何でしょうか?」
「この惨劇、君は聖魔剣に寄るものだと思うか?」
「え?まあ……これだけの威力、単なる魔法剣では無理かと思います。代理王の魔法剣でも、これだけの威力は出せないかと思います」
突然のルセディ将軍の意外な質問に騎士団の人は少し呆れ返った様な表情で答えた。
「仮に……そうだとしたとして、その者と対等に戦える者は一体誰なのだ?」
「え……それは、誰なのでしょう?」
彼の言葉を聞いて騎士団の者も、意外な盲点を付かれた。
「聖魔剣同士が相争ったのか?それとも……それに匹敵する何かが居たのか?」
「もし……聖魔剣に匹敵する力を持ったものが居たとしたら、それは……恐ろしいですね」
「まあ、そうだな……」
ルセディは、そう言いながら破壊された病室を見ながら答える。
*
亜人種の少年が持っていたのは、リーミアの聖魔剣だった。それを見たレウラスは目を見開いた。
「それは…リーミア様が手にした光の聖魔剣!何故ここに…?」
亜人種の少年は剣を軽く持ち上げて見せた。
「ベッドの下に落ちてたんだよ。オイラも最初はよくわかんなかったけど、何か凄そうだね……」
(光の聖魔剣……何故、手に持つ事が出来るのだ?彼も……光の魔法を仕えるのか?)
レウラスは慎重にその剣を受け取ろうとした瞬間、バチッと電気見たいな衝撃で手に出来なかった。
「何故、君は持つことが出来るのだ?」
「え……何でだろう?」
そう彼が呟いた瞬間だった。突然……光の聖魔剣が眩しく輝き出し始める。
「うわ!熱ッ!」
流石の彼も、手にする事が出来ず、手放してしまった。その時聖魔剣は宙に浮かんだ状態となり、しばらく浮かんで居ると、そのまま発光した状態で何処かへと飛んで行ってしまう。
この時、現場周辺を見ていたルセディと他の騎士団達も、皆……聖魔剣が病室から何処かへと飛んで行くのを目撃した。
「オイ、あれは一体何だ?」
ルセディは不思議そうな表情で光る物体を指して叫んだ。
「聖魔剣何処かへと行ってしまったね」
少年は崩壊した窓の外を眺めながら呟く。
「あの方向は……聖魔剣は神殿の方へと向かったんだ。リーミア様が連れ去られてしまい、聖魔剣も認めた所有者以外の者に触れられたく無いから、一時神殿に移動したんだ」
*
神殿……
バア―ン!
物凄い衝撃音がして、一瞬神殿全体が軽く揺れる様な感じがした。その衝撃に驚いたサリサが、大広間へと向かった。そこには大神官が祭壇の前に立っていた。
「大神官様、今の衝撃波何ですか?」
彼女の言葉に気付いた彼は杖を高く上げながら「あれを見ろ」と、一言だけ口にする。
大神官が指した方を見上げてサリサは驚いた。
祭壇の最上部にある、台の上に光の聖魔剣が鞘に納られた状態で突き刺さっていた。
「こ……これは一体!?」
「ふむ……考えられる事は1つ、リーミア殿の身に何か異変が起きたようだな……」
深夜、王立病院前付近で激しい激戦が行われ、戦闘が終了する頃に、王国騎士団達が駆け付けた。勿論ルセディ将軍も深夜、寝室で寝ていた処を叩き起こされ、そのまま徹夜で寝付けずの番だった。彼は口煩い高官達の愚痴も聞かされる役でもあるので、王都周辺で騒ぎが起きる度に、騒ぎの発端を起こす連中が許せ無かった。
日が昇り、明るくなる頃……マネニーゼ市場の王宮街道から少し離れた場所にある、王立病院の道へと行き、激しい戦闘が行われた現場にルセディ将軍は側近達と向かった。
現場を視察した時、彼は唖然とした表情をした。大地の一部が完全に抉り取られ、市場でも美しい道として名高い街路樹の道が崩壊して、付近の民家にも多少の被害を受けていた。
「こいつぁ……凄すぎる、予想の2割増しの被害だな……」
「僕は想像していたよりも2倍以上の3割未満かと思います」
「某は特上の2割半で、惣菜増して処ですか?」
側近の会話に対してルセディ将軍は「お前達な……近所の飯屋と混合してるんじゃないぞ!」と、少し呆れた表情で言う。
そんな彼等をよそに、ルセディは目の前で起きた状況を見る。紛れも無く人知を超えた激しい戦闘が起きたのは予想出来たが……それを発揮出来る様な武器が存在するとなると……それは、間違い無く聖魔剣だと彼は予想した。
(聖魔剣……まさか、あの嬢ちゃんが?いや……彼女が、市場でこんな事するとは到底思えない、別の何者かの仕業だ!だが……一体誰が?)
その時、彼は最近王家の家系図に記されて居た名前を思い出した。
(まさか!ルミティと言う名前の少女が!彼女が所有しているのが聖魔剣なら、この状況と辻褄が合う!だとして……彼女の所有している聖魔剣は何だ?そもそも……これだけの破壊力が発揮されるとして、それは……全力なのか?それとも、まだ更に上があるのか?)
そう考えて居ると、彼は恐ろしくなった。リーミアが聖魔剣を持っている時、それだけの威力を発揮している場面に彼は遭遇してないので、確認は出来なかったが……彼が聞く噂では、野営地、湿地帯での噂は聞き知っていた。更に……魔の森の浄化など、考えて見れば、彼女は常に正しい事の為だけに聖魔剣を使っていた。
そんな彼女の行動を推測して、目の前の惨劇を比較すると、もし……聖魔剣の所有者なら、相手は完全に破壊の為だけに使っているのだと彼は推測した。
「全く、派手に暴れてくれたものだ。こりゃ、始末書の山だな、しばらく羊皮紙の上で寝る事になりそうだ。まあ、上官たちは算盤叩くのに忙しくなりそうだな……」
呆れた口調でルセディは皮肉を言う。以前……魔族が1匹、マネニーゼに現れただけでも市場は大騒ぎする程の事態だった。彼は1匹の魔族の出現のあと、数日間王宮の高官達の愚痴を聞くために城の中を走り回っていた。
そんな彼を見て、代理王であるアスレイウから『王宮で一番の苦労人』と皮肉を言われた事があったらしい。そんな代理王に対してルセディも『今度決闘を申し込んでやる』と、皮肉で言い返したと言われている。
状況見分してる時、彼は王立病院の一室の窓が完全に破壊されて居るのを見た。
(あの病室でも戦闘が行われて居たのか……と、なると……戦闘の被害を押さえる為に、外に出たのか……。しかし、あの病室には何があったのだ?後で調べる必要がありそうだな……)
そう考えながら、彼は周囲の状況を調べていると……ふと、彼はある1つの不可解な疑問に差し掛かった。
「おい、きみ……」
彼は側に居る若い騎士団に声を掛ける。
「あ、はい……何でしょうか?」
「この惨劇、君は聖魔剣に寄るものだと思うか?」
「え?まあ……これだけの威力、単なる魔法剣では無理かと思います。代理王の魔法剣でも、これだけの威力は出せないかと思います」
突然のルセディ将軍の意外な質問に騎士団の人は少し呆れ返った様な表情で答えた。
「仮に……そうだとしたとして、その者と対等に戦える者は一体誰なのだ?」
「え……それは、誰なのでしょう?」
彼の言葉を聞いて騎士団の者も、意外な盲点を付かれた。
「聖魔剣同士が相争ったのか?それとも……それに匹敵する何かが居たのか?」
「もし……聖魔剣に匹敵する力を持ったものが居たとしたら、それは……恐ろしいですね」
「まあ、そうだな……」
ルセディは、そう言いながら破壊された病室を見ながら答える。
*
亜人種の少年が持っていたのは、リーミアの聖魔剣だった。それを見たレウラスは目を見開いた。
「それは…リーミア様が手にした光の聖魔剣!何故ここに…?」
亜人種の少年は剣を軽く持ち上げて見せた。
「ベッドの下に落ちてたんだよ。オイラも最初はよくわかんなかったけど、何か凄そうだね……」
(光の聖魔剣……何故、手に持つ事が出来るのだ?彼も……光の魔法を仕えるのか?)
レウラスは慎重にその剣を受け取ろうとした瞬間、バチッと電気見たいな衝撃で手に出来なかった。
「何故、君は持つことが出来るのだ?」
「え……何でだろう?」
そう彼が呟いた瞬間だった。突然……光の聖魔剣が眩しく輝き出し始める。
「うわ!熱ッ!」
流石の彼も、手にする事が出来ず、手放してしまった。その時聖魔剣は宙に浮かんだ状態となり、しばらく浮かんで居ると、そのまま発光した状態で何処かへと飛んで行ってしまう。
この時、現場周辺を見ていたルセディと他の騎士団達も、皆……聖魔剣が病室から何処かへと飛んで行くのを目撃した。
「オイ、あれは一体何だ?」
ルセディは不思議そうな表情で光る物体を指して叫んだ。
「聖魔剣何処かへと行ってしまったね」
少年は崩壊した窓の外を眺めながら呟く。
「あの方向は……聖魔剣は神殿の方へと向かったんだ。リーミア様が連れ去られてしまい、聖魔剣も認めた所有者以外の者に触れられたく無いから、一時神殿に移動したんだ」
*
神殿……
バア―ン!
物凄い衝撃音がして、一瞬神殿全体が軽く揺れる様な感じがした。その衝撃に驚いたサリサが、大広間へと向かった。そこには大神官が祭壇の前に立っていた。
「大神官様、今の衝撃波何ですか?」
彼女の言葉に気付いた彼は杖を高く上げながら「あれを見ろ」と、一言だけ口にする。
大神官が指した方を見上げてサリサは驚いた。
祭壇の最上部にある、台の上に光の聖魔剣が鞘に納られた状態で突き刺さっていた。
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