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更なる試練

会議の後…

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 リーミアに対しての処罰が不問となり、応接室内も緊張の紐が解かれたかの様に、穏やかな空気に包まれていた。

 「どうなるかと思ったけど、処罰の件が不問になって良かったね」

 ティオロがリーミアに向かって話す。

 「ええ……安心しました」

 リーミアは笑顔で答える。

 「ところで、処遇とか言っていたけど、結局どうなるの?称号が、今の銀のままなの?」

 彼はアルファリオに向かって話す。

 「幾ら何でもそれは有り得ないね。降格が無くなったと言う事は、つまり……功績に応じた称号が与えられると言う事だね、多分……金辺りの称号が得られるのじゃあ無いかな?」

 「どうせなら白金の称号とか頂けれると嬉しいね」

 「残念だけど、それは無いね。代理王のみに許される称号だから……」

 そう言うと、アルファリオはリーミアに向かって話す。

 「今後はどうするの?少なくとも王位に即位する事が無難かと思いますが……」

 「そうね、大神官様と話して決めるわ」

 「出来るだけ早めに行動した方が良いですよ。代理王が王位継承権の大会で『誠の王』になられたら、貴女もしばらくは王位に即位する事が難しくなりますから」

 「継承権の試合で彼と勝負してから王位に即位するのはダメかしら?」

 リーミアの言葉にアルファリオは呆れた表情をする。

 「まさか……彼に本気で勝てるとか思いですか?そう言う甘い考えは辞めた方が良いですよ。少なくとも彼はドン底から這い上がって来た実力者ですからね。少し前にアルムから、貴女が転生者の能力を取り戻し、巨体な魔物に勝てたと聞きましたが……それでも、やはり代理王の実力の方が貴女よりは遥かに上だと言えます。本気で継承権で打ち勝ちたいと思うなら……一旦彼が『誠の王』になり、在籍期間の5年の間に猛特訓するのが良いと思いますよ」

 「そうなのね……分かったわ」

 リーミアが、そう話すとアルファリオは少しホッとした様な表情をする。

 そんな彼女を見てリーラとサリサが側に来た。

 「で……今後は如何するの?処罰が不問になったから、貴女を保護する理由も無くなったけど、神殿に留まるなら、私達はいつでも歓迎するわ。王宮に行けば、城は貴女を迎え入れるでしょう……」

 「リーミアちゃんの判断に任せるわ」

 彼女達の言葉にリーミアは少し戸惑いはしたが、直ぐに答えを出した。

 「一旦宿舎に戻ります」

 彼女の言葉に2人の女性は一瞬戸惑いはしたが「なるほど……」と、頷いた。

 彼女達が話し合っている傍でアスレイウとセフィー、大神官達で集まって話をしていた。

 「正直、ジャルサ候の対応は予想外でしたね」

 アスレイウの言葉に大神官は柔かな表情をする。

 「確かに予想外ではあったな……だが、彼は決して我々の敵では無いのだよ」

 「え……そうだったのですか?」

 「ああ、彼には色々と事情が複雑なんだよ」

 大神官アルメトロスの言葉を聞いたアスレイウは、不思議な眼差しで老年の賢者を見る。彼と一緒にいるセフィーも状況が飲み込めず気難しい表情を浮かべる。

 3人は、中庭の広場で腰を下ろして少し話をしていた。

 彼等がしばらく話をしていると、女性陣達が彼等の方へと歩み寄って来た。

 「殿方達、姫がそろそろ帰ると申してますよー」

 それを聞いた大神官とアスレイウ、セフィーが腰を上げて、リーミア達の居る方へと向かう。その後……皆は神殿を出て行く。入口の門へと来た時、今までずっと黙っていたレンティが初めて口を開いた。

 「リーミアよ宿舎に戻るのか?」

 「はい、暫く振りに皆の顔を見たいので……」

 彼女は、少し溜息を吐きながら少女に向かって言う。

 「お主には不運な陰がまとわりつつある……。神殿か王宮に居た方が身の安全とも言えよう。近い未来に国家を揺るがす恐怖が訪れる。その時……お主の力が必要になるかも知れぬのだ」

 「そうなのですか?その恐怖とは……一体?」

 「それは現段階では解らぬ……ただ、大きな恐怖かも知れないし……若しくは動乱かも知れないと言う事だけ伝えておこう。だが……それ以上にお主にも危険が迫りつつある。気を付けなされ」

 「分かりました」

 少し不安そうな表情でリーミアは答える。

 「すみませんが……ちょっと、良いでしょうか?」

 リーラがレンティに向かって声を掛ける。

 「何かな……?」
 
 「今の話を聞いて思い出しましたが……先日、炎の聖魔剣の所有者が、城の広場で他の聖魔剣の所有者らしき反応があった様な発言を成されたそうですが……それも関連されますかね?」

「可能性は否定出来ないな……我々の知らない場所で怪しげな陰が動きつつある。そして広場に現れた聖魔剣とはローシャオと呼ばれる聖魔剣で……属性は知性である可能性が高い!」

 (知性の聖魔剣?)

 リーミアは聞き慣れない言葉に少し戸惑いを隠せなかった。

 「全てを統括する光に対して炎、力は強さを象徴している様なものだ。それに対して、知性とは、他者を欺く事に長けていると言える。つまり……相手に自分の素性を隠す為に、何らかの偽装を施して、姿を変える様なものじゃよ。簡単に説明するなら……聖魔剣そのものが、何か別の形へと変わると考えて良いだろう」

  今まで聖魔剣は戦う為だけの武器と思っていたリーミアにとって、まるで別の次元に触れた様で少し困惑していた。

 「リーミアよ、先程ジャルサ侯も言っておっただろう……何時誰がどんな牙を隠し持っているか分からないものですぞ。その優しさが、いずれは仇となるかも知れぬと……多少、他人に対して疑ったりする事も時には必要ですぞ。博愛も良いが、時には彼の様な厳しさも必要であるぞ、そうしないと……それこそ、光の紋様を後の世代に残さず絶えてしまう事にも成りかねぬからな、気を付けなされ」

 「はい、分かりました!」

 返事をすると、やがて訪れる大きな出来事に、一握りの不安を抱かせていた。
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