転生少女と聖魔剣の物語

じゅんとく

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魔の森、攻略!

魔の森、潜入(5)

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 馬を走らせるアーレスと、その後方に座るリーミア……彼等はアルムと出会い、出発前にコテージ付近にいる面々を確認して、無断で魔の森に向かったのがメオスと、もう1人がシャルムだと確信した。

「やはり……魔の森に向かってのは、あの2人みたいね」

「ああ、君のグループのアルム君と会って、それは確信したよ」

「もし……彼等を見付けたら、どんな処罰が下されるの?」

「ギルド条例で、筆頭者……及びリーダーの指示に従わない場合には、ギルドを追放……又は処刑される可能性もある」

「それは……ちょっと酷過ぎるわね……」

 リーミアの言葉にアーレスは横目でリーミアを見た。

「相応の報いを冒したんだ、時には冷徹な判断をする事も必要だぞ。そうしないと、今後……何時、自分が狙われるか解らないからな!」

「そ……そうね……」

 リーミアは俯きながら答える。それをチラッと見つめたアーレスは少し息を吐きながら話し続ける。

「ただでさえ王宮内には陰謀を企てている連中が成りを潜めているんだ……」

 その言葉にリーミアは「えッ!」と、驚きながら顔を上げる。

「どう言う事ですか……?」

「今回のメオスとシュラムのどちらかは、王宮内に居るヤツの声で動いた可能性が考えられるんだ……」

「つまり……それは?」

「王宮の中枢部に居る連中は、正統な王女復活を快く思わない連中がいるんだ。それが大臣なのか、高官なのかは……判らないが、少なくとも重臣達である可能性は高い。彼等が正統な王位継承者が王位に即位すると、自分達の立場が失われると恐れているんだ。だから……君に無理な難題を押し付けようと企てて来るのだよ」

「そんな……でも、本当にそう思っているのかしら?」

「君を一度退けたルディアンスから聖魔剣を奪い返す。彼が魔の森に居ると知っていながら君を向かわせる。更に……参加者の中にルディアンスと接触出来る人を参加させる……と、言う方程式を想定すれば、何処と無く辻褄が合う気がするだろう?」

「フムムム……」

 アーレスの言葉に、リーミアは眉間にシワを寄せながら考え込む。

「あまり深く考える必要は無いよ。結局……王宮と言うのは一枚岩では無いんだ。幾ら広間で全管理職の者を集めても、表向きでは皆良い顔をしながら振る舞って居るから、裏を読み取れないし……下手に高官を辞職させると、今度は代理王でも支持率が下がってしまい……運が悪いと任期を問わず王位を剥奪される事もあるから、王宮内では下手な事は言えないんだよ」

「そうでしたか……難しいのですね」

 リーミアは頷きながら返事をする。

「ああ……難しいよ。誰が……どんな牙を隠し持って居るのか判らないからね。彼等が何人で何時、どの様にして集まって話し合いをして居るのか……誰が筆頭なのかさえ……表には出て来ないから、手の内用が無いんだ。何か一つでも手掛かりになる物さえ掴めれば良いのだが……それさえ、見つけられない状態だからね……」

「なるほど!」

 リーミアは感心した表情で頷いた。それと同時に、ある1つの疑問が脳裏を横切った。

「それにしても、随分と王宮の事……詳しいのね」

 その言葉にアーレスは内心ギクッとした。

「アハハ……昨日、寝る前に王宮に関する書物を読んだんだよね!」

 彼は思い付きで適当な事を口走る、それを見ていたリーミアはクスッと微笑んだ。

 そんな2人の会話をしている間にも、馬は橋を越えて、少しずつ魔の森へと近付いて行く。橋が終わると、隣国へと続く表参道の道が広がり、魔の森の一角を除き、周囲は平原が広がっていた。美しい平原が広がり南東から伸びる運河が右側の視界へと入って来た。

 北東に位置する魔の森を除けば、美しい平原周囲に広がり、旅人も長閑な旅行を楽しめる筈だった……。しかし、魔の森が近付くに連れて……周囲は異様な臭気を漂わせていた。

「何……この嫌な匂いは……?」

 リーミアは思わず鼻を押さえてしまう。

「どうやら、魔の森から漂っている様だな……」

 アーレスも布越しから鼻を押さえながら言う。

 彼等が前方の魔の森へと向かう途中、表参道を旅している人達も、異様な臭いに鼻を押さえながら歩く姿があった。

 そんな旅人を見つめながら、前方の魔の森へと向かう彼等の視界上空に、昨日見た魔物とは比較にならない程の、巨大な蛇の様な姿をした魔物が上空を飛び回っていた。

 キシャー!

 不気味な雄叫びを上げながら上空を飛行する蛇の様な生き物は、頭部に長い角を2本生やし、トゲのあるヒレが生えていて、赤く染まった目は、まるで動くモノを鋭い牙で噛み砕く様な悍ましさを感じさせる様であった。
 見慣れない不気味な生き物に流石のアーレスとリーミアは驚いた。

「凶暴そうな生き物ね……」

「全くだ。少し予想以上かも知れないな……」

 そう言いながら彼等は、魔の森の付近へと近付くと、馬から降りて、近くの一本の樹の側に白馬を休めさせる。

 そんな彼等を見た旅人が慌てた素振りで彼等に近付く。

「ちょ……ちょっと、アンタら!もしかして森に行くつもりか?」

「そうだけど……」

「い……今、森の上で……とんでもないバケモノが出たのを見ただろう、止めておけ!あんなのに見つかったら、一瞬で喰われちまうぞ!」

 そんな彼の言葉にアーレスは笑い声を上げる。

「フフフ……ご心配してくれてありがとう。だけど……大丈夫だよ」

 アーレスの言葉に旅人は呆気に取られた表情で口を大きく開けた様子で彼等を見ていた。

「へ……何だって?まさか……アンタら、まさか死ぬつもりなのか?」

「大丈夫だと……言ったのさ、まあ……ここに居ると貴方は危険かも知れないから、良かったら僕の馬で橋の向こうまでなら乗せてあげるよ」

「は……はあ?」

 旅人は拍子抜けした様子でリーミア達を見ていた。

 アーレスは旅人を鞍に跨がせると、白馬を来た道を帰らす様に走らせた。

「良いの?見知らぬ人を乗せて、行かせてしまって……」

「大丈夫だ。あの馬は訓練されて居るから、厩舎の扉が開いていれば、その場所まで戻る様に躾けてある。仮に……あの旅人が馬に乗ったまま何処かへ行こうとしても、馬は彼の言う事を聞かないよ」

「そう……なの?」

 リーミアは不思議そうな表情を浮かべながらアーレスを見ていた。

「さて……入り口を探さないとね……」

 アーレスは魔法のランタンを何処にしまったのか、魔法の袋の中を探し始めた……。その時、リーミアが魔法の杖を取り出す……

「私に任せて」

 そう言うと、リーミアは魔法陣を浮かび上がらせ、魔法の光で周囲を眩く照らし出した。

 パアーッ

 仄かな閃光に照らされ、彼等の居る位置よりも少し東の方面の一角に、他とは少し違う通路らしき物が彼等の視界に入った。

「おお、あの場所だ!」

 アーレスは嬉しそうに叫んだ。

 リーミアは、魔法の光を照らしながらアーレスと一緒に入り口へと向かう。他とは少し違う、結界に護られた入り口へと向かうと、魔法の光の高価で、周囲の樹々侵入者を迎える様な感じで樹々が避けていく。

 長いトンネルを潜る様に、彼等は樹々が生い茂る道を歩き続けた。

 しばらく歩き続けると、結界の膜が終えて前方に視界が開けた。周囲は異様な感じが広がり、鬱蒼とした森林が何処までも広がっていた。

「ここが魔の森……」

 リーミアは寒気を感じながら呟いた。

 その瞬間だったー

「危ない!」

 アーレスが叫んだ。

 ハッとリーミアはアーレスの言葉に気付き、左方向から彼等に向かって急降下する怪鳥に向かって魔法の杖で聖光を放つ。

 キエエーッ!

 叫び声を上げながら、怪鳥は何処かへと逃げ去って行った。

「ありがと……!」

 リーミアは隣のアーレスに礼を述べようとした時だった。

「あ、後ろ!」

 リーミアは、アーレスの後方に彼等に向かって突進する、巨大な魔物を指した。

 アーレスは、振り向きせずに、自慢の魔法剣を抜き、一閃!

 ヒュンッ

 風切り音と共に自分の身の丈よりも大きな魔物の胴を真っ二つに切り裂いた。

(すごい……)

 あまりの瞬間的で、凄まじい程の剣技にリーミアは驚いた。

「やれやれ……どうやら僕達は歓迎されていないらしい」

 アーレスは魔物の血に染まった魔法剣を軽く振ると、魔物の血が消えて美しく輝く白銀と、その中央に黄金色の装飾が施された長剣が姿を表す。

 アーレスは魔法剣を鞘に収めると、自分を見つめているリーミアに気付く。

「こんな場所で、時間を潰している間は無いぞ、急いでアイツらを探さないと……」

「そ、そうね……」

 アーレスの言葉にリーミアは我に返りながら返事をする。

 2人は周囲を警戒しながら魔の森を歩き始めた。
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