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魔の森、攻略!
魔の森(4)
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「他に聞きたい事は無いですか?」
アルファリオの質問に対して、アーレスが手を上げた。
「この地図上で、魔剣士が待ち受けて居そうだと思う場所は何処だろう?」
その問いに対してアルファリオは「ふむ……」と、腕を組んで少し考え込んだ。
「一番の可能性として考えられる場所は、この魔術師の館だと思えるね」
アルファリオは、地図で森に覆われた一番奥に、ポツンと小さく家の形をした場所を指した。
「遥か昔……孤高の魔術を極めようと、森の奥底に住んだ魔術師が、自身の魔術の限界に挑んだ挙げ句、誤って呪いの魔術を解放してしまい、それが魔の森の始まりだと伝えられている……」
それを聞いた参加者達は、この恐ろしい森に挑んで、無事帰れるのか……と言う不安に煽られた。
「魔の森は他に人間が住み着いた場所は無いから、もし……魔剣士が根城として、盟主が来るのを待っていると考えると、この魔術師の館辺りで待つのが一番最適かと考えられるね」
なるほど……とリーミアは頷きながら地図を眺めた。
「他に何か聞きたい事はあるかね?」
彼の問いに対して手を上げる人の姿が無いのを確認すると……
「では……今回の会議は、これで終了しましょうか」
アルファリオが会議を終わらせようとした時、シュラムとメオスは……納得出来ない様な表情で居た。
「君達は、まだ……今回の作戦が腑に落ち無い様子だね」
アーレスがメオス達に向かって言う。
「たった14名だけですよ!そんな数で、数千匹も居る森の中に行くなんて、普通に考えたら自殺行為じゃないですか!」
「確かに……でも、数千匹居ても、多分……大丈夫だと思うよ」
「何故ですか?」
「こっちには、光の聖魔剣があるからね……」
「それで勝てるのですか?そんなに聖魔剣は凄いのですか?」
「そうだね……まあ、実際にどれだけの威力があるのか、少し見せてもらおうか?」
そう言ってアーレスは、会議室からティオロと一緒に出ようとするリーミアに声を掛ける。
「リーミアちゃん、ちょっと聖魔剣を見せて貰えるかね?」
「あ、はい!」
そう返事をしてリーミアが会議室のテーブルの上に聖魔剣を置いた。
「これが……聖魔剣……」
メオスが触れようとした瞬間だった。
「あ、触ると危険です!」
そう、リーミアが言った瞬間だった。メオスは気付くのが遅く。剣に触れた瞬間、バチッと電撃の様な衝撃を受けて、後退してしまった。
「ヒエエ……」
「選ばれた者でしか、これは触れられません……」
そう言いながら、リーミアは聖魔剣を鞘から抜き出す。
「オオ……」
まだ会議室に残っていた、光花のメンバー達と、臨時で集まった男性達は初めて見る魔法剣に驚きの表情を示した。
短剣の鞘から、比較出来無い程の長剣が現れる。しかも……研ぎ澄まされた様に剣は眩く輝いていた。
フォルサ、ティオロ、アメリは、これに良く似た聖魔剣をリーミアが使っていたので、同じ物だと錯覚してしまった。
「光の魔法も使えるのでしょう?」
サリサがリーミアに向かって言う。
「はい、上位の魔法も使えます」
そう言うと、リーミアは目を閉じて、少し呼吸を整えてから「聖光」と、魔法を唱えた。
その瞬間ー
ピカーッと
会議室の部屋の中が眩い光に包まれる。
「ウワッ!ま……眩しい!」
まるで、陽の光の様に発光する物が、その場に現れた様な感じで周囲の目を眩ませた。
「わ……分かった。もう良い、聖魔剣を閉まってくれ!」
メオスの言葉を聞き、リーミアは聖魔剣の魔法を止めて剣を鞘に納めた。
眩い輝きを目にして周囲は一時期沈黙する。その中、シュラムが何気なく口を開いた。
「これだけの魔力があるなら、単体で魔の森の魔物を一掃出来るんじゃない?」
その言葉にメオスも「そうだな」と、頷いた。
それを聞いたサリサがリーミアに変わって彼等の前に出た。
「光の魔法は見せる程度なら複数同時に唱えても問題は無いけど……。上位の魔法を森全体に放つとなると……術者の負担もかなり大きいわよ。過去にリムア姫が……たった2回の魔法で消滅してしまったのも、それだけ肉体的にもリスクが大きいかったからよ。仮に彼女が魔の森の前で浄化の魔法を使えば、多分……大半の魔物は消滅出来るかも知れ無いけど……、それ以降の戦闘は難しくなるわよ。貴方達が責任を持って護衛役を務めてくれると言うなら話は別だけど……」
サリサの言葉に対してシュラムとメオスは何も言い返せなかった。
リーミアもサリサの言葉を聞き、先日……聖魔剣を手にした日の出来事を思い出した。
その日……1日で上位の魔法を含む光の魔法を数回使った日の夜……宿泊施設で寝る前に聖魔剣を鞘から抜こうとした時、聖魔剣が鞘から抜け出せなかった。
ガチッと、固められた様に、剣が抜け出せなくなっていた時だった。聖魔剣の声が脳内に直接聞こえて来た。
『疲労が溜まっている状態で、無闇に剣を抜き取るな……。我が剣は、其方の体力と魔力によって造られるのだ。万全の状態でのみ扱う事に努めよ』
そうセルティスがリーミアに語りかけて来た事を思い出した。
「魔の森の前で、魔物を消滅させてしまって、魔術師の館に全員突入した後、聖魔剣を奪還したら、転移石で逃げるやり方は駄目ですか?」
ティオロが意見を述べた。リーミアはティオロが転移石を何時の間にか知っていた事に少し驚いた。
「良い作戦だけど……ちょっと、難しいかも知れ無いね」
アルファリオが少し首を横に振りながら答える。
「それは……一体?」
「魔の森は、その周辺一帯に特殊な結界が張られていて、魔物が外に出られない様になっているのだよ。だから……転移石を使っての移動も難しいのだよ」
「そうだったのですか……」
ティオロは残念そうに答える。
「盟主はどう思いますか?」
突然のアルムからの言葉に、ハッと我に返ったリーミアが顔を上げて、周りを見ると皆の顔が自分の方に一点集中している事に気付く。
「え……そうね……正直に申し上げると、魔の森に入って……いきなり全ての魔物に対して浄化の魔法で消滅させると……それ以降、私は何も出来なくなり、皆のお荷物になってしまうわね。何よりも、魔術師の館の構造も解らないから……。相手が待ち受けていると言う事は、つまり……館には何か仕掛けがある筈。ここは一旦光皇で、力を制限して魔術師の館までの道を切り開き、皆で魔術師の館まで行き、聖魔剣奪還したあと、浄化の魔法で魔の森の魔物達を一掃するのが得策かと思うわ」
リーミアの言葉に周囲の反応も納得した表情を示していた。
「盟主の作戦に対して意見のある方はいるかね?」
アルファリオの発言に対して、手を上げる人は居なかった。
「では……魔の森突入作戦は、盟主の光の魔法を唱えた後、全員で突入する作戦で決行します」
「あ……あと、1つだけ良いですか?」
突然、リーミアが何か思い出した様に手を上げる。
「何か……?」
「聖魔剣のことですが……私はテリオンの剣とは契約で結ばれています。近くに聖魔剣の反応を感じることが出来れば、引き寄せる事も可能です」
「なるほど……魔剣士が聖魔剣を持って館の外に出ていれば、引き寄せる事も可能なのですね」
それを聞いていたティオロは、リーミアと最初会った時、彼女が市場の中、自分を追い掛けて来て、何時の間にか聖魔剣を奪い返したのも、引き寄せたんだな……と改めて知った。
「まあ、魔術師の館に入ったら、全員で魔剣士を探せば良いだけの事だ」
アーレスが腕を組みながら言う。
「では、本日の作戦会議は終了します。参加者の皆様は、明後日早朝、宿舎前に集合してください」
そう言うと、全員解散して会議室を後にした。
リーミアは、ティオロを連れてレネラやマイリアのいる場所まで向かった。
「ねえ、魔の森を攻略したら彼を光花のグループに入隊させても良いかしら?」
「え、良いの?」
ティオロは突然のリーミアのスカウトに驚き焦った。
レネラはティオロとリーミアを見つめると、少し間を置いてから……
「却下します」
と、あっさりと返事をする。
「え……どうしてなの?」
レネラの突然の返事にリーミアは驚く。
「盟主が彼を入隊させたいのは、他の人の様な実力や人選を見てからの入隊では無く、盟主個人としての私情からですよね……?光花も少しずつ人が増えて来て、市場でも老舗のグループに追い付こうとしてる中、彼を入隊させるよりも……副盟主の様な人材を集める方が得策だと私は思います。まあ……彼が、最近入隊したアデルやレティウよりも称号が同じなら、話は別ですが……」
それを聞いたリーミアは、ふと……アデルとレティウの称号を、まだ聞いて居なかったのを思い出す。自分が不在の間に入隊した彼等は、いきなりリーミアに絡んで来て、そのまま腕比べして、それ以降、特に絡んで来なかったので、リーミアは彼等の事を何も聞いて居なかった。
「そう言えば、彼等の称号は何色なの?」
「あの2人は、盟主と同じ銀色です」
「そうだったの……」
それを聞いたリーミアはティオロが、まだ青色だったのを思い出した。
「ちょっと残念……」
そう言いながらリーミアはティオロと一緒に宿舎の外へと出て行く。
それを見ていたマイリアがレネラに向かって「ちょっと厳し過ぎたのでは?」と、声を掛ける。
「いえ、これで良いのよ。彼と一緒だと盟主自身、自分の使命感に疎くなってしまうわ。それよりも彼とは少し距離を置いて、王位継承権を得られるまで付き進んで欲しいわ。その後でも恋愛は出来るからね……」
「王位に即位した後では、彼との関係は望めないのでは?」
「役職とは就けれるでしょう?側近とか……近衛兵とかにね」
「そうね……」
少し呆れた表情でマイリアはレネラを見ていた。意外に盟主の事を考えていたのだと改めて気付かされる。その一方で、自分の立ち位置を、それ程深刻に考えてい無いように思える盟主の後ろ姿を眺めた。
「もう少し、自分の事を真剣に考えて欲しいわね」
「そうね……でも、まあ……あんな性格だから、皆も付き添ってくれているのだと思えるわ……」
レネラは少し微笑みながら言う。
アルファリオの質問に対して、アーレスが手を上げた。
「この地図上で、魔剣士が待ち受けて居そうだと思う場所は何処だろう?」
その問いに対してアルファリオは「ふむ……」と、腕を組んで少し考え込んだ。
「一番の可能性として考えられる場所は、この魔術師の館だと思えるね」
アルファリオは、地図で森に覆われた一番奥に、ポツンと小さく家の形をした場所を指した。
「遥か昔……孤高の魔術を極めようと、森の奥底に住んだ魔術師が、自身の魔術の限界に挑んだ挙げ句、誤って呪いの魔術を解放してしまい、それが魔の森の始まりだと伝えられている……」
それを聞いた参加者達は、この恐ろしい森に挑んで、無事帰れるのか……と言う不安に煽られた。
「魔の森は他に人間が住み着いた場所は無いから、もし……魔剣士が根城として、盟主が来るのを待っていると考えると、この魔術師の館辺りで待つのが一番最適かと考えられるね」
なるほど……とリーミアは頷きながら地図を眺めた。
「他に何か聞きたい事はあるかね?」
彼の問いに対して手を上げる人の姿が無いのを確認すると……
「では……今回の会議は、これで終了しましょうか」
アルファリオが会議を終わらせようとした時、シュラムとメオスは……納得出来ない様な表情で居た。
「君達は、まだ……今回の作戦が腑に落ち無い様子だね」
アーレスがメオス達に向かって言う。
「たった14名だけですよ!そんな数で、数千匹も居る森の中に行くなんて、普通に考えたら自殺行為じゃないですか!」
「確かに……でも、数千匹居ても、多分……大丈夫だと思うよ」
「何故ですか?」
「こっちには、光の聖魔剣があるからね……」
「それで勝てるのですか?そんなに聖魔剣は凄いのですか?」
「そうだね……まあ、実際にどれだけの威力があるのか、少し見せてもらおうか?」
そう言ってアーレスは、会議室からティオロと一緒に出ようとするリーミアに声を掛ける。
「リーミアちゃん、ちょっと聖魔剣を見せて貰えるかね?」
「あ、はい!」
そう返事をしてリーミアが会議室のテーブルの上に聖魔剣を置いた。
「これが……聖魔剣……」
メオスが触れようとした瞬間だった。
「あ、触ると危険です!」
そう、リーミアが言った瞬間だった。メオスは気付くのが遅く。剣に触れた瞬間、バチッと電撃の様な衝撃を受けて、後退してしまった。
「ヒエエ……」
「選ばれた者でしか、これは触れられません……」
そう言いながら、リーミアは聖魔剣を鞘から抜き出す。
「オオ……」
まだ会議室に残っていた、光花のメンバー達と、臨時で集まった男性達は初めて見る魔法剣に驚きの表情を示した。
短剣の鞘から、比較出来無い程の長剣が現れる。しかも……研ぎ澄まされた様に剣は眩く輝いていた。
フォルサ、ティオロ、アメリは、これに良く似た聖魔剣をリーミアが使っていたので、同じ物だと錯覚してしまった。
「光の魔法も使えるのでしょう?」
サリサがリーミアに向かって言う。
「はい、上位の魔法も使えます」
そう言うと、リーミアは目を閉じて、少し呼吸を整えてから「聖光」と、魔法を唱えた。
その瞬間ー
ピカーッと
会議室の部屋の中が眩い光に包まれる。
「ウワッ!ま……眩しい!」
まるで、陽の光の様に発光する物が、その場に現れた様な感じで周囲の目を眩ませた。
「わ……分かった。もう良い、聖魔剣を閉まってくれ!」
メオスの言葉を聞き、リーミアは聖魔剣の魔法を止めて剣を鞘に納めた。
眩い輝きを目にして周囲は一時期沈黙する。その中、シュラムが何気なく口を開いた。
「これだけの魔力があるなら、単体で魔の森の魔物を一掃出来るんじゃない?」
その言葉にメオスも「そうだな」と、頷いた。
それを聞いたサリサがリーミアに変わって彼等の前に出た。
「光の魔法は見せる程度なら複数同時に唱えても問題は無いけど……。上位の魔法を森全体に放つとなると……術者の負担もかなり大きいわよ。過去にリムア姫が……たった2回の魔法で消滅してしまったのも、それだけ肉体的にもリスクが大きいかったからよ。仮に彼女が魔の森の前で浄化の魔法を使えば、多分……大半の魔物は消滅出来るかも知れ無いけど……、それ以降の戦闘は難しくなるわよ。貴方達が責任を持って護衛役を務めてくれると言うなら話は別だけど……」
サリサの言葉に対してシュラムとメオスは何も言い返せなかった。
リーミアもサリサの言葉を聞き、先日……聖魔剣を手にした日の出来事を思い出した。
その日……1日で上位の魔法を含む光の魔法を数回使った日の夜……宿泊施設で寝る前に聖魔剣を鞘から抜こうとした時、聖魔剣が鞘から抜け出せなかった。
ガチッと、固められた様に、剣が抜け出せなくなっていた時だった。聖魔剣の声が脳内に直接聞こえて来た。
『疲労が溜まっている状態で、無闇に剣を抜き取るな……。我が剣は、其方の体力と魔力によって造られるのだ。万全の状態でのみ扱う事に努めよ』
そうセルティスがリーミアに語りかけて来た事を思い出した。
「魔の森の前で、魔物を消滅させてしまって、魔術師の館に全員突入した後、聖魔剣を奪還したら、転移石で逃げるやり方は駄目ですか?」
ティオロが意見を述べた。リーミアはティオロが転移石を何時の間にか知っていた事に少し驚いた。
「良い作戦だけど……ちょっと、難しいかも知れ無いね」
アルファリオが少し首を横に振りながら答える。
「それは……一体?」
「魔の森は、その周辺一帯に特殊な結界が張られていて、魔物が外に出られない様になっているのだよ。だから……転移石を使っての移動も難しいのだよ」
「そうだったのですか……」
ティオロは残念そうに答える。
「盟主はどう思いますか?」
突然のアルムからの言葉に、ハッと我に返ったリーミアが顔を上げて、周りを見ると皆の顔が自分の方に一点集中している事に気付く。
「え……そうね……正直に申し上げると、魔の森に入って……いきなり全ての魔物に対して浄化の魔法で消滅させると……それ以降、私は何も出来なくなり、皆のお荷物になってしまうわね。何よりも、魔術師の館の構造も解らないから……。相手が待ち受けていると言う事は、つまり……館には何か仕掛けがある筈。ここは一旦光皇で、力を制限して魔術師の館までの道を切り開き、皆で魔術師の館まで行き、聖魔剣奪還したあと、浄化の魔法で魔の森の魔物達を一掃するのが得策かと思うわ」
リーミアの言葉に周囲の反応も納得した表情を示していた。
「盟主の作戦に対して意見のある方はいるかね?」
アルファリオの発言に対して、手を上げる人は居なかった。
「では……魔の森突入作戦は、盟主の光の魔法を唱えた後、全員で突入する作戦で決行します」
「あ……あと、1つだけ良いですか?」
突然、リーミアが何か思い出した様に手を上げる。
「何か……?」
「聖魔剣のことですが……私はテリオンの剣とは契約で結ばれています。近くに聖魔剣の反応を感じることが出来れば、引き寄せる事も可能です」
「なるほど……魔剣士が聖魔剣を持って館の外に出ていれば、引き寄せる事も可能なのですね」
それを聞いていたティオロは、リーミアと最初会った時、彼女が市場の中、自分を追い掛けて来て、何時の間にか聖魔剣を奪い返したのも、引き寄せたんだな……と改めて知った。
「まあ、魔術師の館に入ったら、全員で魔剣士を探せば良いだけの事だ」
アーレスが腕を組みながら言う。
「では、本日の作戦会議は終了します。参加者の皆様は、明後日早朝、宿舎前に集合してください」
そう言うと、全員解散して会議室を後にした。
リーミアは、ティオロを連れてレネラやマイリアのいる場所まで向かった。
「ねえ、魔の森を攻略したら彼を光花のグループに入隊させても良いかしら?」
「え、良いの?」
ティオロは突然のリーミアのスカウトに驚き焦った。
レネラはティオロとリーミアを見つめると、少し間を置いてから……
「却下します」
と、あっさりと返事をする。
「え……どうしてなの?」
レネラの突然の返事にリーミアは驚く。
「盟主が彼を入隊させたいのは、他の人の様な実力や人選を見てからの入隊では無く、盟主個人としての私情からですよね……?光花も少しずつ人が増えて来て、市場でも老舗のグループに追い付こうとしてる中、彼を入隊させるよりも……副盟主の様な人材を集める方が得策だと私は思います。まあ……彼が、最近入隊したアデルやレティウよりも称号が同じなら、話は別ですが……」
それを聞いたリーミアは、ふと……アデルとレティウの称号を、まだ聞いて居なかったのを思い出す。自分が不在の間に入隊した彼等は、いきなりリーミアに絡んで来て、そのまま腕比べして、それ以降、特に絡んで来なかったので、リーミアは彼等の事を何も聞いて居なかった。
「そう言えば、彼等の称号は何色なの?」
「あの2人は、盟主と同じ銀色です」
「そうだったの……」
それを聞いたリーミアはティオロが、まだ青色だったのを思い出した。
「ちょっと残念……」
そう言いながらリーミアはティオロと一緒に宿舎の外へと出て行く。
それを見ていたマイリアがレネラに向かって「ちょっと厳し過ぎたのでは?」と、声を掛ける。
「いえ、これで良いのよ。彼と一緒だと盟主自身、自分の使命感に疎くなってしまうわ。それよりも彼とは少し距離を置いて、王位継承権を得られるまで付き進んで欲しいわ。その後でも恋愛は出来るからね……」
「王位に即位した後では、彼との関係は望めないのでは?」
「役職とは就けれるでしょう?側近とか……近衛兵とかにね」
「そうね……」
少し呆れた表情でマイリアはレネラを見ていた。意外に盟主の事を考えていたのだと改めて気付かされる。その一方で、自分の立ち位置を、それ程深刻に考えてい無いように思える盟主の後ろ姿を眺めた。
「もう少し、自分の事を真剣に考えて欲しいわね」
「そうね……でも、まあ……あんな性格だから、皆も付き添ってくれているのだと思えるわ……」
レネラは少し微笑みながら言う。
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