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魔の森、攻略!
反逆者、転生少女
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シュウーッ……
転移石を使って、王都の市場まで帰還したリーミア達は、転移した場所が王都の外側の城壁周辺だった事に驚いた。
「あらぁ……?市場の中央辺りに来る様にしたのに……何でこんな外れなのかしら?」
女性神官は不思議そうな表情で言う。
「まあ……戻れたし、取り敢えず中に行きましょう」
「それはそうだけど……」
リーミアの言葉に対して、少し気になる女性神官は何やら納得のいかない表情だった。
城壁付近まで辿り着くと、男性神官が、城壁周辺に手を差し伸べて何かを感じ取る。
「なるほど……結界が強化されているね」
その言葉に女性神官は「やっぱり!」と、男性神官に対して返事をする。
「どうしたの?」
少し先を歩いていたリーミアが振り返って、神官達に話し掛ける。
「王都周辺の城壁一帯に強固な結界が張られたんですよ。だから……僕達は、市場の中央では無く、城壁の外側に転移されたんです」
「そうだったの……」
リーミアは少し納得した表情で答える。
「でも……こんな事、今までで無かったわよね」
「そうだね、市場や城などで、何か事が起きたとしか予想が付か無いな……」
「何か事って……?」
リーミアは首を傾げながら言う。
「例えば……魔物が市場に現れた……とか?」
男性神官が言うと、リーミアは「ええ!」と、大声びながら震え出す。
「まあ、例えば……の話ですよ。実際は、市場に戻って皆から話を聞かなければ分から無いです」
と……彼は愛想笑いしながら話す。
「そ……そうですね」
リーミアも一緒に愛想笑いしながら答えた。
彼等は城壁の門を潜り抜けて、市場へと歩いて行く。
「そう言えば……何故、墓所に向かうのは、歩きだったの……?」
「聖魔剣と言うのは、強力な魔法剣でもあり、その所有者を見極める術が施されているのです。それを扱うに相応しい者かどうか……を試す為に、祠に来るまで魔術を用い無かった……等、試しているのです。実際……リムア姫も歩いて、祠まで行ってテリオンの剣を手にしたそうです。安易な気持ちでは、決して聖魔剣は手にでき無い……と言う意味でもあります」
「そうなのね……」
リーミアは自分の腰に携えた短剣を改めて眺める。
彼等が話しをしながら歩いていると、何処からか怒声が聞こえて来た。
「お前、そこにあるのは一体何だ!」
彼等は驚いて、市場の裏側にある場所に目を向けると、王国騎士団が民家の住人に対して、怒りをぶちまけていた。
「ねえ……あれは一体何をしているの?」
リーミアは不思議な表情をしながら神官達に向かって囁く。
「何やら危険な物を所持していた用ですね、あまり関わらない方が良いですよ。王国騎士団に目を付けられると、色々と厄介ですから……」
「ねえ、行きましょう」
そう言って、彼等はその場から離れて行こうとした時だった。
「あ……あれ?リーミア様?」
振り返ると、自分達と一緒に行動していたリーミアの姿が見えなくなっていた。
「まさか!」
彼等が戻って見ると、民家のある方へと彼女は向かって行った。
「り……リーミア様!」
神官達は慌てふためきながら叫ぶ、彼等は王国騎士団に手を出すと、厄介な事になるのを知っていたので、下手に近付けなかった。
「お取り込み中、すみません……」
「何だ……貴様は?」
甲冑を身に纏った騎士が、民家の男性の胸ぐらを掴んでいるのを見て、リーミアはそっと……騎士団の手を掴んだ。
「この方が、何か悪い事でもしたのでしょうか?」
「不審者を連れて来いと言う命令だ。コイツは以前から怪しかったから、調べて見たら……やはり物騒な物を沢山収集していた。だから……コイツをこれから王宮の牢獄へとぶち込むんだ。邪魔するな!」
「お……おやめください。私達は生活が貧しく、お金を稼ぐために主人は、色んな物を集めて働いているのに……彼が居なくなると私達は……」
女性の側には、まだ幼い子供達が居た。
「そんな事知るものか!恨むんだったら、妙な物を集めるコイツを恨むんだな!」
その時だった。リーミアは騎士団の腕を掴み上げる。
「な……何、貴様……!」
「彼等の話しをしっかり聞いたらどうですか?」
「き……貴様、我らの邪魔をすると、どうなるのか知っているのか!」
「さあね、どうなるのかしら?」
「我等、王国騎士団に楯突くとな……!」
彼女は、グイッと騎士団を片手で投げ飛ばした。
「グアッ……!」
騎士団が倒れている隙に、彼女は民家の夫婦に近付き、彼等の手に何か渡す。
「え……?」
夫婦達は、リーミアから何か受け取った。その直後だった。騎士団は起き上がると、「こやつめー……」と、逆上しながらピーと、笛を吹いた。
すると、笛の音を聞いた付近に居た騎馬隊の騎士団がドドド……と馬蹄を響かせて駆け寄って来た。
「あの少女は、我等に楯突く反逆者だ!」
投げ飛ばされた騎士団が言うと、他の騎士団は馬から降りて、リーミアを取り囲む様に集まり、全員が彼女に向けて槍を突き出した。
転移石を使って、王都の市場まで帰還したリーミア達は、転移した場所が王都の外側の城壁周辺だった事に驚いた。
「あらぁ……?市場の中央辺りに来る様にしたのに……何でこんな外れなのかしら?」
女性神官は不思議そうな表情で言う。
「まあ……戻れたし、取り敢えず中に行きましょう」
「それはそうだけど……」
リーミアの言葉に対して、少し気になる女性神官は何やら納得のいかない表情だった。
城壁付近まで辿り着くと、男性神官が、城壁周辺に手を差し伸べて何かを感じ取る。
「なるほど……結界が強化されているね」
その言葉に女性神官は「やっぱり!」と、男性神官に対して返事をする。
「どうしたの?」
少し先を歩いていたリーミアが振り返って、神官達に話し掛ける。
「王都周辺の城壁一帯に強固な結界が張られたんですよ。だから……僕達は、市場の中央では無く、城壁の外側に転移されたんです」
「そうだったの……」
リーミアは少し納得した表情で答える。
「でも……こんな事、今までで無かったわよね」
「そうだね、市場や城などで、何か事が起きたとしか予想が付か無いな……」
「何か事って……?」
リーミアは首を傾げながら言う。
「例えば……魔物が市場に現れた……とか?」
男性神官が言うと、リーミアは「ええ!」と、大声びながら震え出す。
「まあ、例えば……の話ですよ。実際は、市場に戻って皆から話を聞かなければ分から無いです」
と……彼は愛想笑いしながら話す。
「そ……そうですね」
リーミアも一緒に愛想笑いしながら答えた。
彼等は城壁の門を潜り抜けて、市場へと歩いて行く。
「そう言えば……何故、墓所に向かうのは、歩きだったの……?」
「聖魔剣と言うのは、強力な魔法剣でもあり、その所有者を見極める術が施されているのです。それを扱うに相応しい者かどうか……を試す為に、祠に来るまで魔術を用い無かった……等、試しているのです。実際……リムア姫も歩いて、祠まで行ってテリオンの剣を手にしたそうです。安易な気持ちでは、決して聖魔剣は手にでき無い……と言う意味でもあります」
「そうなのね……」
リーミアは自分の腰に携えた短剣を改めて眺める。
彼等が話しをしながら歩いていると、何処からか怒声が聞こえて来た。
「お前、そこにあるのは一体何だ!」
彼等は驚いて、市場の裏側にある場所に目を向けると、王国騎士団が民家の住人に対して、怒りをぶちまけていた。
「ねえ……あれは一体何をしているの?」
リーミアは不思議な表情をしながら神官達に向かって囁く。
「何やら危険な物を所持していた用ですね、あまり関わらない方が良いですよ。王国騎士団に目を付けられると、色々と厄介ですから……」
「ねえ、行きましょう」
そう言って、彼等はその場から離れて行こうとした時だった。
「あ……あれ?リーミア様?」
振り返ると、自分達と一緒に行動していたリーミアの姿が見えなくなっていた。
「まさか!」
彼等が戻って見ると、民家のある方へと彼女は向かって行った。
「り……リーミア様!」
神官達は慌てふためきながら叫ぶ、彼等は王国騎士団に手を出すと、厄介な事になるのを知っていたので、下手に近付けなかった。
「お取り込み中、すみません……」
「何だ……貴様は?」
甲冑を身に纏った騎士が、民家の男性の胸ぐらを掴んでいるのを見て、リーミアはそっと……騎士団の手を掴んだ。
「この方が、何か悪い事でもしたのでしょうか?」
「不審者を連れて来いと言う命令だ。コイツは以前から怪しかったから、調べて見たら……やはり物騒な物を沢山収集していた。だから……コイツをこれから王宮の牢獄へとぶち込むんだ。邪魔するな!」
「お……おやめください。私達は生活が貧しく、お金を稼ぐために主人は、色んな物を集めて働いているのに……彼が居なくなると私達は……」
女性の側には、まだ幼い子供達が居た。
「そんな事知るものか!恨むんだったら、妙な物を集めるコイツを恨むんだな!」
その時だった。リーミアは騎士団の腕を掴み上げる。
「な……何、貴様……!」
「彼等の話しをしっかり聞いたらどうですか?」
「き……貴様、我らの邪魔をすると、どうなるのか知っているのか!」
「さあね、どうなるのかしら?」
「我等、王国騎士団に楯突くとな……!」
彼女は、グイッと騎士団を片手で投げ飛ばした。
「グアッ……!」
騎士団が倒れている隙に、彼女は民家の夫婦に近付き、彼等の手に何か渡す。
「え……?」
夫婦達は、リーミアから何か受け取った。その直後だった。騎士団は起き上がると、「こやつめー……」と、逆上しながらピーと、笛を吹いた。
すると、笛の音を聞いた付近に居た騎馬隊の騎士団がドドド……と馬蹄を響かせて駆け寄って来た。
「あの少女は、我等に楯突く反逆者だ!」
投げ飛ばされた騎士団が言うと、他の騎士団は馬から降りて、リーミアを取り囲む様に集まり、全員が彼女に向けて槍を突き出した。
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