上 下
67 / 184
光の聖魔剣

会議の後……

しおりを挟む
「どうだった?盟主代理の最初の会議の評価は?」

「良く出来たと思います」

「ありがとう」

 彼は少し緊張していたらしく、「はあ……」と、大きく息をする。

「早く盟主が戻って来て欲しいよ、そうすれば……こんな事しなくて済むから」

「一癖二癖ある個性派揃いのメンバーですからね。名誉や肩書きよりも実力者に対して平伏す人材ばかりのメンバーだと、扱いにも苦労するでしょう?」

「まあね、ある意味……猛獣使いになった様な気分だよ。まあ、盟主自身が……じゃじゃ馬見たいなものだから。不揃いでデコボコだらけだけど……その分、一致団結したら相当な実力が発揮されるだろう」

 彼は嬉しそうな表情で言う。

「それにしても……予想外だったな」

 彼の言葉にマイリアは「え?」と、振り返ってアルファリオを見た。

「何がですか?」

「僕は……てっきり最後の1人はケイレム君か、僕のチームだったロディオ君だと思って居たんだ」

「へえ……そうなのですか?」

「彼には申し訳ないけど……ナレフ君は称号は上だけど、実力的には少し劣る面が見られる。それに、グループの中では今一つパッとしない存在なんだよね」

「まあ……言われてみれば……」

 マイリアも頷きなが答える。

「今回の人選、彼は辞退するのだろうと僕は思ってたんだ」

「なるほど……」

 アルファリオは会話を終えると、羊皮紙に参加者の名前を記入する為に、羽ペンでサラッと筆を走らせた。

 会議が終えたメンバー達は、広間へと降りて来た。

 その時、門番をしていた神官が管理人のレネラの元へと駆け付けて来た。

「え……そうなの?」

 レネラは、神官から何か話を聞いている様子で、彼女は外へと飛び出して行く。

 その一部始終を見て居たナレフと、他のメンバーが不思議そうな表情をしていた。

「何があったんだろうね?」

「変な入隊希望者が来たんじゃないの?先日も酒の匂いをプンプンさせた人が来たらしくて、レネラが門前払いさせたらしいよ。光花って結構金があるらしい……て噂だからね」

「それは言えてる」

 アルムが珍しく皆の会話に入った。

「一般のグループ宿舎なら毎月の皆からの出費は銀貨30枚は出すのが相場だよ。でも……銀貨10枚で済まされるなんて、他じゃ考えられないからね……。それに、武器防具だって、盟主にお願いすれば、購入して貰えるんだろ?野良狩りでギリギリの生活している人に取っては、まさに楽園だと思われても仕方ないよ」

 彼等は、それを聞いて、以前来たと言われるロティスと言う、男性が金銭目当てだったと気付く、彼が盟主との対話で脱退したのが幸いだったが……それでも盟主は彼を辞めさせるつもりは無かったらしい……と、レネラから皆は聞いていた。以降……盟主は、来れば誰でも入隊を認めてしまうのを、レネラとマイリアが人選した者だけを盟主に合わせる様にさせたのを。彼等は知っていた。

 事実、アルファリオが入隊するまでに、数名の入隊希望者が居た。しかし……レネラやマイリアの判断で門前払いとなった。その為……光花は少数精鋭と言う風潮が1人歩きしてしまった。市場では、光花のグループが発足した、数日後……他のギルド集会所で結成されたグループがあり、そのグループのメンバーは30名以上であるのに対して、光花はまだ10数名だった。

 その光花のメンバーが魔獣討伐に参加すると前線で活躍する事から、相当な実力が求められるのだろう……と、言う噂が広まっていた。

「誰か新しい人が来ても、副盟主だと、そう簡単に入隊は認められそうに無いんじゃない?」

 ナレフがアルムに向かって言う。

「そうだね、僕の元リーダーは、結構色んな事を聞きまくるからね」

 そう話していると、レネラが慌てた様子でナレフの方へと走って来た。

「ちょっと、貴方……今、外に貴方の義妹がいるわよ!」

「え……?」

 ナレフが呆気に問わられて返事をした瞬間だった。小柄でフード付きの白マントを被った者が、ピョンと子ウサギの様に、彼の体に抱き着いて来た。

「お兄ちゃん!」

「はあ?」

 周囲が呆気に取られながら声を揃えて驚いた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」 公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。 血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉

Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」  華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。  彼女の名はサブリーナ。  エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。  そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。  然もである。  公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。    一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。  趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。  そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。 「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。  ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。  拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。    

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

処理中です...