18 / 18
楽しい日々はいつまでも
しおりを挟む
ルビィが目を覚ましたのは次の日のお昼になってからだった。
昨日はあれだけ荒れていた天気は、今や嘘のようにカラッと晴れている。
だが外の地面は濡れているので、昨日は雨が降ったんだと物語っていた。
昨日のうちにルビィに何が起こっていたのか俺が知っている限りの情報はルリに教えた。
そして、いつルビィが目を覚ましてもいいように俺とルリは交代交代で看病し、腹が減っていると思うのですぐに食べられるような物も作り置きしている。
「んん……」
軟膏の補充をするために釜を使って錬金をしていると、ルビィの艶かしい声が微かに聞こえた。
「つ、ツバサお兄ちゃん。ルビィちゃんが目を覚ましました!」
家中に響き渡るほどルリは大声を出して俺にルビィが目を覚ましたことを伝える。
それほど嬉しかったのだろう。
「そんなに大きいとルビィの頭に響くぞ」
「す、すいません……」
嬉しいのは俺も同じだが、そんだけデカい声を出されるとビックリするし、まだ眠たい可能性もある。
俺は人差し指を自分の口元に立てて注意する。
「こ、ここは……それに──」
「腹減ってないか?」
ルビィは上半身だけ起き上がり、どうして自分が家に居るのか驚いている様子だ。
話は後からでも聞けるので、俺は作り置きしてあったお菓子などをルビィに手渡す。
錬金術で作った栄養満点で口に入れるとホロホロとすぐに溶ける自慢のクッキーだ。
「ありがと……はむっ」
余程腹が減っていたのか皿ごとがっつきそうなくらい勢いよく食べていた。
一度に五枚以上は口に放り込んでいたので、いくらすぐ溶けるクッキーと言えど……。
「ゴホッ……ゴホッ」
「ほら、水だ」
ルビィの行動は予測出来ていたのでコップに入った水を渡すと、これまた勢いよく飲み干した。
「ぷはっー! わ、私……」
オッサンみたいに息をしたかと思うと、今度はシリアスを感じさせる声になる。
何故か俺と自分の手元を交互に見ていた。
もしかしたら、俺に聞かれて欲しくないことなのか。
「さて、軟膏を入れる竹でも探して──」
「待って! ツバサにも聞いてもらいたい話があるの」
どうやら俺にも聞いて欲しいからそんな素振りを見せたらしい。
☆
怪我人をテーブルにある椅子まで歩かせるのは気が引けたので、俺とルリはテーブルにある椅子をベッドまで持ってきてベッドの横に座った。
「まず、助けてくれてありがと……ツバサが助けてくれなきゃ今頃私は……」
「気にすんな。それよりあの時は意識があったんだな」
縦に一度頷く。
「朦朧とする意識の中でツバサの声と私を助けようと必死な顔をしてたのは分かったわ」
改めて必死な顔と言われるとちょっと恥ずかしい。
「本当にもうダメかと思った……いきなりあんな大雨が降ってくるし二人に内緒で作ってた船はバラバラになっちゃうし……」
大声を上げて泣き始めてしまう。
俺は女の涙に弱いようで、どうしたらいいかこまねいていると。
「ルビィちゃん……」
ルリはベッドに座り、ルビィを優しく抱きしめていた。
「ひっく……わ、私ね。あの時、ルリのお母さんを見てたの……いつもとは別の場所で漁をしてて、どんどん流されて行ってた。だけど私じゃ何も出来なかったし、大人の人に言っても「すぐ戻ってくるわよ」なんて言われて誰も助けてくれなかった……私もそうなるんじゃないか、って怖くて……」
あの時とは数年前に起こった激しい雨風のことだろう。
ルビィは当時、流されるルリの母親を見ていたと告白する。
ルリは一度も聞いたことがなかったので目を丸くした。
俺も聞いたことがなかったし、当時の人たちの気持ちも理解出来るし、ルビィの気持ちも理解出来る。
「そ、そんなことがあったんですね。あの頃は私も小さかったですし、み、みんな自分の命の方が大切ですからね」
ルリも俺と同じことを思ったのか、ルビィに優しく諭していた。
「無理にでも私が助けに行っていれば──」
「それでルビィちゃんが居なくなったら困りました! わ、私の大親友であるルビィちゃんが居なくなったら辛いです」
一度は声を荒らげて大きな声で喋るルリだったが、自分でも声が大きいことに気付いたのか、ボリュームを落とし、いつものたどたどしい喋りでルリにとってルビィは大親友であることを伝えていた。
そして、さらにルリは話し始めた。
「じ、実は私がここに残りたいと言っているのは思い出なんかもそうなんですが、お、お母さんがいつか帰ってくるかもしれない、と思っていたからなんです」
それは昨日俺がルビィを探しに行く前に教えてくれたことだった。
てっきりおばあさんとの思い出なんかが残っている大事な場所、と思っていたからかルビィは鳩が豆鉄砲を食らった顔をしている。
そうとは知らず、さっきまでルリの母親の話をしてしまったんだ、ルビィは驚きを隠せない。
「で、でもお母さんは流されてしまったんですね。ルビィちゃんのお陰で踏ん切りがつきました。る、ルビィちゃん、つ、ツバサお兄ちゃん……私、いつかは島を出て他の場所をみんなで一緒に見て回りたいです!」
だけど昨日と違い、ルリもこの島を出て色んな所を見て回りたいと言い出した。
でも島を出たとしても"みんなで一緒に"は変わらないようだ。
俺とルビィは目を合わせて笑い合う。
どうやらこれからの当面の目標が決まってしまった。
☆
ルビィが水難事故に遭って目が覚めてからちょうど一ヶ月が過ぎた。
目立った後遺症もなく、今日も元気に島中を歩き回っている。
気付けばアハ体験のようにルビィの胸はゆっくり、またゆっくりと凹み、今じゃ元通りになっていた。
本人曰く「巨乳はもう懲り懲り」だそう。
失敗から生まれた男の夢と言っても過言ではない副産物に俺は少しばかり未練が残るが、本人が貧乳でいいなら無理に大きくする必要はない。
だが反対にルリが一度は大きくなりたいと言い出し、錬金術に手を出そうとしたが俺とルビィは全力で止めた。
失敗したら何が起こるかわからないからな。
「これは使えるんじゃないかしらー!」
「お、おっきいです。つ、ツバサお兄ちゃん!」
先に向かっていったルビィが俺たちに手を振りながら大声で話し掛け、ルリは俺の裾を掴んで驚く。
ルリのセリフだけを切り取って聞くと変な解釈をされそうだが、俺たちは今二人が前に住んでいた集落へとやってきた。
ルビィがここにある廃材で前回船を作ったらしい。
なんでも一人用だから最低限の資材で作ったせいで耐久性はほとんどなかったのだとか。
そのせいですぐに大破してしまい、残念な結果になっていた。
今回は三人用。作るのも三人でだ。
廃材の他に金属片がいくつか見つかったので錬金術を使って、もっと丈夫な船が作れそう。
「ツバサお兄ちゃん、この島に来てどうですか?」
「今更改まって聞かれるとなぁ……楽しい?」
この一ヶ月の間、ルリのたどたどしさは少しだけ解消された。
「ど、どうして疑問形なんですか」
だが時折、たどたどしくなるのは性なのだろう、俺が毎朝息子と格闘するようにな。
「ちょっと、二人とも何サボってるのよ! 早く来なさい!」
呼んでいるのに中々来ない俺たちに痺れを切らしたのか、ルビィは再三大声で俺たちを呼ぶ。
「はーい!」
「今行くー!」
しばらくはまだこの島での生活は続きそうだ。
昨日はあれだけ荒れていた天気は、今や嘘のようにカラッと晴れている。
だが外の地面は濡れているので、昨日は雨が降ったんだと物語っていた。
昨日のうちにルビィに何が起こっていたのか俺が知っている限りの情報はルリに教えた。
そして、いつルビィが目を覚ましてもいいように俺とルリは交代交代で看病し、腹が減っていると思うのですぐに食べられるような物も作り置きしている。
「んん……」
軟膏の補充をするために釜を使って錬金をしていると、ルビィの艶かしい声が微かに聞こえた。
「つ、ツバサお兄ちゃん。ルビィちゃんが目を覚ましました!」
家中に響き渡るほどルリは大声を出して俺にルビィが目を覚ましたことを伝える。
それほど嬉しかったのだろう。
「そんなに大きいとルビィの頭に響くぞ」
「す、すいません……」
嬉しいのは俺も同じだが、そんだけデカい声を出されるとビックリするし、まだ眠たい可能性もある。
俺は人差し指を自分の口元に立てて注意する。
「こ、ここは……それに──」
「腹減ってないか?」
ルビィは上半身だけ起き上がり、どうして自分が家に居るのか驚いている様子だ。
話は後からでも聞けるので、俺は作り置きしてあったお菓子などをルビィに手渡す。
錬金術で作った栄養満点で口に入れるとホロホロとすぐに溶ける自慢のクッキーだ。
「ありがと……はむっ」
余程腹が減っていたのか皿ごとがっつきそうなくらい勢いよく食べていた。
一度に五枚以上は口に放り込んでいたので、いくらすぐ溶けるクッキーと言えど……。
「ゴホッ……ゴホッ」
「ほら、水だ」
ルビィの行動は予測出来ていたのでコップに入った水を渡すと、これまた勢いよく飲み干した。
「ぷはっー! わ、私……」
オッサンみたいに息をしたかと思うと、今度はシリアスを感じさせる声になる。
何故か俺と自分の手元を交互に見ていた。
もしかしたら、俺に聞かれて欲しくないことなのか。
「さて、軟膏を入れる竹でも探して──」
「待って! ツバサにも聞いてもらいたい話があるの」
どうやら俺にも聞いて欲しいからそんな素振りを見せたらしい。
☆
怪我人をテーブルにある椅子まで歩かせるのは気が引けたので、俺とルリはテーブルにある椅子をベッドまで持ってきてベッドの横に座った。
「まず、助けてくれてありがと……ツバサが助けてくれなきゃ今頃私は……」
「気にすんな。それよりあの時は意識があったんだな」
縦に一度頷く。
「朦朧とする意識の中でツバサの声と私を助けようと必死な顔をしてたのは分かったわ」
改めて必死な顔と言われるとちょっと恥ずかしい。
「本当にもうダメかと思った……いきなりあんな大雨が降ってくるし二人に内緒で作ってた船はバラバラになっちゃうし……」
大声を上げて泣き始めてしまう。
俺は女の涙に弱いようで、どうしたらいいかこまねいていると。
「ルビィちゃん……」
ルリはベッドに座り、ルビィを優しく抱きしめていた。
「ひっく……わ、私ね。あの時、ルリのお母さんを見てたの……いつもとは別の場所で漁をしてて、どんどん流されて行ってた。だけど私じゃ何も出来なかったし、大人の人に言っても「すぐ戻ってくるわよ」なんて言われて誰も助けてくれなかった……私もそうなるんじゃないか、って怖くて……」
あの時とは数年前に起こった激しい雨風のことだろう。
ルビィは当時、流されるルリの母親を見ていたと告白する。
ルリは一度も聞いたことがなかったので目を丸くした。
俺も聞いたことがなかったし、当時の人たちの気持ちも理解出来るし、ルビィの気持ちも理解出来る。
「そ、そんなことがあったんですね。あの頃は私も小さかったですし、み、みんな自分の命の方が大切ですからね」
ルリも俺と同じことを思ったのか、ルビィに優しく諭していた。
「無理にでも私が助けに行っていれば──」
「それでルビィちゃんが居なくなったら困りました! わ、私の大親友であるルビィちゃんが居なくなったら辛いです」
一度は声を荒らげて大きな声で喋るルリだったが、自分でも声が大きいことに気付いたのか、ボリュームを落とし、いつものたどたどしい喋りでルリにとってルビィは大親友であることを伝えていた。
そして、さらにルリは話し始めた。
「じ、実は私がここに残りたいと言っているのは思い出なんかもそうなんですが、お、お母さんがいつか帰ってくるかもしれない、と思っていたからなんです」
それは昨日俺がルビィを探しに行く前に教えてくれたことだった。
てっきりおばあさんとの思い出なんかが残っている大事な場所、と思っていたからかルビィは鳩が豆鉄砲を食らった顔をしている。
そうとは知らず、さっきまでルリの母親の話をしてしまったんだ、ルビィは驚きを隠せない。
「で、でもお母さんは流されてしまったんですね。ルビィちゃんのお陰で踏ん切りがつきました。る、ルビィちゃん、つ、ツバサお兄ちゃん……私、いつかは島を出て他の場所をみんなで一緒に見て回りたいです!」
だけど昨日と違い、ルリもこの島を出て色んな所を見て回りたいと言い出した。
でも島を出たとしても"みんなで一緒に"は変わらないようだ。
俺とルビィは目を合わせて笑い合う。
どうやらこれからの当面の目標が決まってしまった。
☆
ルビィが水難事故に遭って目が覚めてからちょうど一ヶ月が過ぎた。
目立った後遺症もなく、今日も元気に島中を歩き回っている。
気付けばアハ体験のようにルビィの胸はゆっくり、またゆっくりと凹み、今じゃ元通りになっていた。
本人曰く「巨乳はもう懲り懲り」だそう。
失敗から生まれた男の夢と言っても過言ではない副産物に俺は少しばかり未練が残るが、本人が貧乳でいいなら無理に大きくする必要はない。
だが反対にルリが一度は大きくなりたいと言い出し、錬金術に手を出そうとしたが俺とルビィは全力で止めた。
失敗したら何が起こるかわからないからな。
「これは使えるんじゃないかしらー!」
「お、おっきいです。つ、ツバサお兄ちゃん!」
先に向かっていったルビィが俺たちに手を振りながら大声で話し掛け、ルリは俺の裾を掴んで驚く。
ルリのセリフだけを切り取って聞くと変な解釈をされそうだが、俺たちは今二人が前に住んでいた集落へとやってきた。
ルビィがここにある廃材で前回船を作ったらしい。
なんでも一人用だから最低限の資材で作ったせいで耐久性はほとんどなかったのだとか。
そのせいですぐに大破してしまい、残念な結果になっていた。
今回は三人用。作るのも三人でだ。
廃材の他に金属片がいくつか見つかったので錬金術を使って、もっと丈夫な船が作れそう。
「ツバサお兄ちゃん、この島に来てどうですか?」
「今更改まって聞かれるとなぁ……楽しい?」
この一ヶ月の間、ルリのたどたどしさは少しだけ解消された。
「ど、どうして疑問形なんですか」
だが時折、たどたどしくなるのは性なのだろう、俺が毎朝息子と格闘するようにな。
「ちょっと、二人とも何サボってるのよ! 早く来なさい!」
呼んでいるのに中々来ない俺たちに痺れを切らしたのか、ルビィは再三大声で俺たちを呼ぶ。
「はーい!」
「今行くー!」
しばらくはまだこの島での生活は続きそうだ。
0
お気に入りに追加
12
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
てんくろ。ー転生勇者の黒歴史ー
仁渓
ファンタジー
マルコの特殊能力は転生前の勇者(元女子高校生)の黒歴史を夢で知る力。
「知られたからには生かしておけんな」「ばらされたくなければ言うことを聞け」「すまん」
マルコは、ただ村人Aの振る舞いをしていただけなのに、なぜか王や重臣たちから高く評価されてしまい、色々とうまくいってしまう。
設定では、勇者を脅して顎でこき使う展開になるはずだったのに、作者が鬼畜キャラを苦手としていたため、なぜか話が変な方向に進んでしまったけれども、これはこれで面白くなったので、結果オーライでOK。
他サイトでも掲載しています。
25歳のオタク女子は、異世界でスローライフを送りたい
こばやん2号
ファンタジー
とある会社に勤める25歳のOL重御寺姫(じゅうおんじひめ)は、漫画やアニメが大好きなオタク女子である。
社員旅行の最中謎の光を発見した姫は、気付けば異世界に来てしまっていた。
頭の中で妄想していたことが現実に起こってしまったことに最初は戸惑う姫だったが、自身の知識と持ち前の性格でなんとか異世界を生きていこうと奮闘する。
オタク女子による異世界生活が今ここに始まる。
※この小説は【アルファポリス】及び【小説家になろう】の同時配信で投稿しています。
無人島ほのぼのサバイバル ~最強の高校生、S級美少女達と無人島に遭難したので本気出す~
絢乃
ファンタジー
【ストレスフリーの無人島生活】
修学旅行中の事故により、無人島での生活を余儀なくされる俺。
仲間はスクールカースト最上位の美少女3人組。
俺たちの漂着した無人島は決してイージーモードではない。
巨大なイノシシやワニなど、獰猛な動物がたくさん棲息している。
普通の人間なら勝つのはまず不可能だろう。
だが、俺は普通の人間とはほんの少しだけ違っていて――。
キノコを焼き、皮をなめし、魚を捌いて、土器を作る。
過酷なはずの大自然を満喫しながら、日本へ戻る方法を模索する。
美少女たちと楽しく生き抜く無人島サバイバル物語。
【いずれ配信要素あり】死んで覚える異世界探索~幾度倒れても目指す道は最強のみ~
天野 星屑
ファンタジー
*タイトルに配信とありますが、配信は少し後から要素として出てきます。
序盤はそんなことはなく、ただの冒険のお話です。
異世界【レイノルフ】に繋がるゲートが世界中に出現してから30年。
世界中の国々は、それを【フロンティア】と呼称し、資源や未知のアイテム、魔法やスキルなどの技術を求めて探索を始めた。
当初は国主導であったが、その規模から現在では資格さえあれば民間人でもゲートをくぐり、フロンティアに行くことが出来る。
サラリーマンが仕事終わりにちょっと行って資源を持ち帰ったり。
高校生が部活代わりに出かけてモンスターと戦ったり。
そしてフロンティアでの活動で生計を立てる者達もいる。
そんな彼らを、人々は【冒険者】と呼んだ。
【冒険者】は危険な職業だが、同時に得られるものも大きい。
モンスターとの戦いで命を落とすこともあるが、珍しいアイテムや有用な資源を持ち帰れば一気に巨万の富を得ることも難しくない。
そんな世界で。
ファンタジーに憧れるからこそ、フロンティアを意図して避けてきた男がいた。
『俺がファンタジーの世界に踏み込んだら、楽しくて歯止めが効かなくなって、命を使い潰してしまうだろうから』と。
そうして、普通に働いて、普通に老いて。
穏やかに死ぬ。
その予定は、皮肉にも、フロンティアから得られる資源によって務める会社が経営難になったことで、崩れ去った。
次は何の仕事をしようか。
そう悩む男は、再び目の前に現れた、フロンティアという『理想の地』に心惹かれ、冒険者の道を歩む。
ただ一人、己しか持たないスキルで狂気の道を約束された男は、ファンタジーを、かっこいい英雄譚を、夢見る異世界を愛する心の赴くままに、最強への道を歩み始めた。
これは、一人の男が、苦痛と死に彩られた狂気の道を笑顔で踏み越えて、最強に至る物語。
ついでに、最強を目指す男の行動で大きな影響を受ける、世界の激動の物語でもある。
異世界の無人島で暮らすことになりました
兎屋亀吉
ファンタジー
ブラック企業に勤める普通のサラリーマン奥元慎吾28歳独身はある日神を名乗る少女から異世界へ来ないかと誘われる。チートとまではいかないまでもいくつかのスキルもくれると言うし、家族もなく今の暮らしに未練もなかった慎吾は快諾した。かくして、貯金を全額おろし多少の物資を買い込んだ慎吾は異世界へと転移した。あれ、無人島とか聞いてないんだけど。
強制無人島生活
デンヒロ
ファンタジー
主人公の名前は高松 真。
修学旅行中に乗っていたクルーズ船が事故に遭い、
救命いかだで脱出するも無人島に漂着してしまう。
更に一緒に流れ着いた者たちに追放された挙げ句に取り残されてしまった。
だが、助けた女の子たちと共に無人島でスローライフな日々を過ごすことに……
果たして彼は無事に日本へ帰ることができるのか?
注意
この作品は作者のモチベーション維持のために少しずつ投稿します。
1話あたり300~1000文字くらいです。
ご了承のほどよろしくお願いします。
生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。
水定ユウ
ファンタジー
村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。
異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。
そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。
生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!
※とりあえず、一時完結いたしました。
今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。
その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
お気に入りに登録しました~