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最終章 エリザベト
8:グロ注意:お2人、大立ち回り編3
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ゴリねえとチイねえは目配せする。
その直後「オヒョー」との奇声と共に、ゴリねえが上段から激しくうちかかる。
それは一撃を受け止めるだけで、手がしびれるほどのもののはずであったが。
相手はその続けざまの打ち込みを全て受け止め、
――しかも負けておれじとばかり、その野太刀で打ちかかって来る。
今度はゴリねえが受ける番であった。
その一撃一撃は重く、とはいえ、ゴリねえも下がらず耐える。
下がろうものなら、相手の2撃、3撃はより踏み込んだものとなる。
また武器も相手の方が長ければ、
――下がらぬことこそ、
――完全とは言えぬまでも、相手の間合いをつぶすことになった。
ただ当然、やがては息が尽きる。
激しく続けざまに打ち込む以上、いうまでもなく、全てを無酸素の中でなすことになる。
他方、チイねえ。
こちらは一層苦戦しておったと言って良い。
その原因は大きくは、先の一戦を見られたことだった。
当然、相手は警戒する。
ただチイねえは、やはり下からの攻めに固執する。
何度か突っかかるも、
2度は、相手が腰を落としてから、突き出した剣先に自ら突っ込むことになりかけ、
1度は、相手が後方に跳びのきざま、
――つまり、チイねえは間合いを詰め切れぬままに
――上段からの一振りで、頭をかち割られそうになったのであった。
前者はすんでのところで止まるを得、後者は脇差しにて何とか防いだのであった。
2人はここで再び目配せする。
ゴリねえは再び「おひょー」との声を上げ、上段、右上段、左上段と多少、打ち込む角度は変えるも、いずれも上から激しく打ちかかる。
まさに力任せに押しつぶさんとする。
しかし敵もさるもの。
更にはゴリねえの攻撃が、ほぼ上からのものということもあり、やはり全てを防がれてしまう。
そして息が尽きたところで、反撃を食らう。
とはいえ、ゴリねえも防ぐを得る。
ほぼ互角であった。
チイねえはといえば。
こちらは先以上に更に苦戦となった。
先のやり取りにて、あわやとなった脳天への一撃に味を占めたのであろう。
明らかに、いく分、後ろに重心を置き、誘う如く上段の構えを取る。
チイねえはちっと舌打ちし、
(作者緊急注釈(笑)――ダジャレじゃないよ)
それでも下からの攻めに拘泥する。
ただ、その攻めは、明らかにこれまでよりおっかなびっくりしたものとならざるを得なかった。
無論、相手も武術の達人。
それを見逃すはずもない。
チイねえは突っ込んでは、上段からの剣を脳天に食らいかけ、かろうじて脇差しで防ぎ、後方に下がるを繰り返すのみ。
敵はその度ごとに上段から打ち込む角度・深さ・タイミングを変えて来る。
チイねえの方は自らの剣の間合いにさえ入り込めておらなかった。
これを繰り返しておっては、いつかは脳天を叩き割られる。
チイねえ。絶体絶命。
その直後「オヒョー」との奇声と共に、ゴリねえが上段から激しくうちかかる。
それは一撃を受け止めるだけで、手がしびれるほどのもののはずであったが。
相手はその続けざまの打ち込みを全て受け止め、
――しかも負けておれじとばかり、その野太刀で打ちかかって来る。
今度はゴリねえが受ける番であった。
その一撃一撃は重く、とはいえ、ゴリねえも下がらず耐える。
下がろうものなら、相手の2撃、3撃はより踏み込んだものとなる。
また武器も相手の方が長ければ、
――下がらぬことこそ、
――完全とは言えぬまでも、相手の間合いをつぶすことになった。
ただ当然、やがては息が尽きる。
激しく続けざまに打ち込む以上、いうまでもなく、全てを無酸素の中でなすことになる。
他方、チイねえ。
こちらは一層苦戦しておったと言って良い。
その原因は大きくは、先の一戦を見られたことだった。
当然、相手は警戒する。
ただチイねえは、やはり下からの攻めに固執する。
何度か突っかかるも、
2度は、相手が腰を落としてから、突き出した剣先に自ら突っ込むことになりかけ、
1度は、相手が後方に跳びのきざま、
――つまり、チイねえは間合いを詰め切れぬままに
――上段からの一振りで、頭をかち割られそうになったのであった。
前者はすんでのところで止まるを得、後者は脇差しにて何とか防いだのであった。
2人はここで再び目配せする。
ゴリねえは再び「おひょー」との声を上げ、上段、右上段、左上段と多少、打ち込む角度は変えるも、いずれも上から激しく打ちかかる。
まさに力任せに押しつぶさんとする。
しかし敵もさるもの。
更にはゴリねえの攻撃が、ほぼ上からのものということもあり、やはり全てを防がれてしまう。
そして息が尽きたところで、反撃を食らう。
とはいえ、ゴリねえも防ぐを得る。
ほぼ互角であった。
チイねえはといえば。
こちらは先以上に更に苦戦となった。
先のやり取りにて、あわやとなった脳天への一撃に味を占めたのであろう。
明らかに、いく分、後ろに重心を置き、誘う如く上段の構えを取る。
チイねえはちっと舌打ちし、
(作者緊急注釈(笑)――ダジャレじゃないよ)
それでも下からの攻めに拘泥する。
ただ、その攻めは、明らかにこれまでよりおっかなびっくりしたものとならざるを得なかった。
無論、相手も武術の達人。
それを見逃すはずもない。
チイねえは突っ込んでは、上段からの剣を脳天に食らいかけ、かろうじて脇差しで防ぎ、後方に下がるを繰り返すのみ。
敵はその度ごとに上段から打ち込む角度・深さ・タイミングを変えて来る。
チイねえの方は自らの剣の間合いにさえ入り込めておらなかった。
これを繰り返しておっては、いつかは脳天を叩き割られる。
チイねえ。絶体絶命。
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