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第3章 軍略家 新谷 百花(しんたに ももか)

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 そして、こちらの間諜(スパイ)がほぼ同時に、王府内の動きを伝えて来ておった。
 それにより、王太子の記しておること
――無論その『信じている』とのごとは除いて、
――が事実と確認できた。

 そして帰付者が王府の下を訪れたは11月3日。
 この時エリザベトのことを訴えたとし、訴状の発行された日付を見ると、11月6日。
 つまり、わずか3日である。
 尋常なことではなかった。
 十分なる調査は無論、裏を取るなどの最低限の調べさえ行ったとは想われなかった。

 しかも、訴えたのが自国の者なら、まだしも、敵国の者である。
 そして、その訴えられた相手が、王太子の婚約者たるエリザベト。
 こうもやすやすと信じることでは、あるまい。
 むしろ、訴えた者を、誣告ぶこくをなしておるのではないかと、疑ってが先であろう。
 それがまさに訴えのままに信じ、訴状を送りつけて来るとは。



 ところで、先日の私の進言は、『国軍の監視』をすすめるのみであったが、
――父上は『王府の監視と情報収集』も命じておったのだ。

 おかげで、この情報を元に私も考えることができる。
 さすが父上。
 まさに『敵を知り』の第一歩である。
 頼りになる御方。
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