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第21話 聞いてないんだけど6

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 内侍の方は私を部屋に案内すると、こちらでお待ちくださいと言い残して去った。

 部屋の奥まったところに大きな寝台がある。そのように言われた訳ではなかったが、そこに寝て待つことにした。

 ふと想ったのだ。

 帝のちょうが私に無いのは明らかだった。ならば、抱きたいとも想わないのではないか。

 私がしっかり待っていれば、仕方ない、抱いてやるかと想うかもしれないが。既に眠っていたら、どうだろう?  何だ。こいつ。勝手に眠りやがって。あるいは、起こすのは悪かろうと想うかもしれぬ。



 随分、待った気がする。そう想えるだけかもしれないけど。いずれにしろ、眠れる訳もない。扉の開く音がして、やがて、ゆらりとロウソクの灯りが揺れた。

 目をきつくつぶり、寝たふりをする。身が縮む。あきらめてくれるだろうか?

 ただ、不意に重みを感じた。

 私は腕で押し返す。帝の体を避けるようにして、自らの身を起こして叫ぶ。

「その気はありません」

 帝はしばし戸惑っておるようだった。

「その気は無いのです」

 やがて絞り出すような声が聞こえた。

娘娘にゃんにゃんがそうせよと命じたのか? もしくは、娘娘にゃんにゃんに守られていると想うゆえに、そのようなことができるのか?」

 腕の長さ程度しか離れておらぬ帝の顔――淡いロウソクの灯りが浮かび上がらせる――そこには歪んだ笑みが浮かんでおった。
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