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【延長戦】
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一番端にいた遼太さんの体が一瞬で無数の銃弾に貫かれ、その場で狂ったような踊りを踊ったかと思うと、血しぶきを上げてその場に倒れ込む。
俺は素早くその場を離れ、近くにいた衛視に当て身を食らわせ、銃を奪って撃ち殺す。
同様に真知子さんが衛視を殴り、銃を奪っているのが見えた。
ジュラルミンケースの中にあったのは賞金じゃない、アサルトライフルだ。
ここは表彰台なんかじゃない。俺たちのために用意された処刑台だった。
「古川さん!」
大きな丸い柱の陰に身を隠し、俺は古川さんを狙っていた衛視を撃ち殺した。
「こっちへ、早く!」
「あっ、あ、ありがとう」
巨体を揺らして駆け込んできた古川さんは、背中から血を流している。
俺がそれに気づくと、
「へ、平気だよ。そ、そ、それより、と、戸上君たちのほうが心配だ」
「ええ。この分だと、俺たちより先に処刑が執行されているかもしれません」
冷静に答えると、
「歩!おるか?!」
銃声の合間を縫って、啓作さんの大声が聞こえてきた。
「吉田は出ていきよった。早いこと後追わんと、逃げられてまうぞ!」
「分かってます。でも、」
こちらは八人に対して、十倍近くの戦力差がある。
しかも、こっちは素手で、向こうは銃やらアサルトライフルを所持しているのだ。
いくらこの日のために戦闘訓練を積んできたとはいえ、戦況が有利であるはずがなかった。
畜生、不意打ちするのはこっちのはずだったのに。
「ごめん。たた、た、多分、お、お俺のハッキングがばれてたんだよ」
ぜえぜえと荒い息をしながら古川博人が言う。
「何言ってるんですか。ハッキングは大成功ですよ、ここまで乗り込めた時点でね。いつバレてもいいって腹くくっ
て来たんですから」
言いながら弾幕を張っていたが、そろそろマガジンが尽きそうになってきた。
古川さんには手持ちの武器がない。このまま弾切れになれば、一気にこっちに攻め寄せてこられる。
「使いなさい!」
床を滑らせて銃を渡してくれたのは、真知子さんだった。
俺は素早くその場を離れ、近くにいた衛視に当て身を食らわせ、銃を奪って撃ち殺す。
同様に真知子さんが衛視を殴り、銃を奪っているのが見えた。
ジュラルミンケースの中にあったのは賞金じゃない、アサルトライフルだ。
ここは表彰台なんかじゃない。俺たちのために用意された処刑台だった。
「古川さん!」
大きな丸い柱の陰に身を隠し、俺は古川さんを狙っていた衛視を撃ち殺した。
「こっちへ、早く!」
「あっ、あ、ありがとう」
巨体を揺らして駆け込んできた古川さんは、背中から血を流している。
俺がそれに気づくと、
「へ、平気だよ。そ、そ、それより、と、戸上君たちのほうが心配だ」
「ええ。この分だと、俺たちより先に処刑が執行されているかもしれません」
冷静に答えると、
「歩!おるか?!」
銃声の合間を縫って、啓作さんの大声が聞こえてきた。
「吉田は出ていきよった。早いこと後追わんと、逃げられてまうぞ!」
「分かってます。でも、」
こちらは八人に対して、十倍近くの戦力差がある。
しかも、こっちは素手で、向こうは銃やらアサルトライフルを所持しているのだ。
いくらこの日のために戦闘訓練を積んできたとはいえ、戦況が有利であるはずがなかった。
畜生、不意打ちするのはこっちのはずだったのに。
「ごめん。たた、た、多分、お、お俺のハッキングがばれてたんだよ」
ぜえぜえと荒い息をしながら古川博人が言う。
「何言ってるんですか。ハッキングは大成功ですよ、ここまで乗り込めた時点でね。いつバレてもいいって腹くくっ
て来たんですから」
言いながら弾幕を張っていたが、そろそろマガジンが尽きそうになってきた。
古川さんには手持ちの武器がない。このまま弾切れになれば、一気にこっちに攻め寄せてこられる。
「使いなさい!」
床を滑らせて銃を渡してくれたのは、真知子さんだった。
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