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【延長戦】
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―ーここまでが、一般人が知っていることの全てだ。
最初の説明であったとおり、バニシングナイトの一部始終は動画配信サイト『サークルヴィジョン』で放映されている。
今じゃその映像も公式サイトからは削除されてるけど、探そうと思えば簡単にネットで探し出して視聴することができる。
本来だと、ここからはゲーム終了後の表彰式と、敗北者の処刑が行われる。
その映像については、『サークルヴィジョン』の特別有料チケットというものを購入しないと視聴できない仕組みになっている。
特別有料チケットの値段は百万円で、枚数には制限がある。
それでも毎年、販売とほぼ同時に売り切れるというのだから、世の中いかに残虐なショーを求めている人間が多いかってことだ。
ただし、今年のバニシングナイトについては、ゲームマスターによってゲーム終了がコールされると同時に映像が途切れている。
理由はシステムの不具合ってことになってるけど、もちろん本当はそうじゃない。
実際に何が起こったのか、本当のことは俺たちだけが知っている。
*************************
『人狼を全て処刑し、村には平和が戻りました。ゲーム終了。村人の勝利です』
部屋がパッと明るくなり、同時にドアから村人たちが戻ってきて、俺は席から立ち上がった。
既にすぐ目の前まで歩いてきていた片岡啓作が、こちらに握手を求めてくる。
「お疲れ」
「ありがとう」
短く言葉を交わし、俺は啓作の手をとって強く握りしめた。
「遅いよ。人狼見つけるのにどんだけ手間どってんだよ」
入ってくるなり憎まれ口をたたいたのは碓氷遼太で、その横であくびをしているのは小泉真知子。
「おめでとう。信じてたよ」
笑顔で手をたたいているのは桜庭のんだった。
俺はかぶりを振った。
「のんがいたから勝てたんだ」
「本当、そのとおりだと思うわ」
斎内紫帆がやってきて、後ろにいた古川博人の背を押す。
「この人、占い師だったのに黙ってたのよ。それで一日目の夜に死んじゃって。おかげで大変だったのよ?」
「すすすすいません、す、すいません」
と、ひたすら恐縮したように古川博人が謝っている。
最初の説明であったとおり、バニシングナイトの一部始終は動画配信サイト『サークルヴィジョン』で放映されている。
今じゃその映像も公式サイトからは削除されてるけど、探そうと思えば簡単にネットで探し出して視聴することができる。
本来だと、ここからはゲーム終了後の表彰式と、敗北者の処刑が行われる。
その映像については、『サークルヴィジョン』の特別有料チケットというものを購入しないと視聴できない仕組みになっている。
特別有料チケットの値段は百万円で、枚数には制限がある。
それでも毎年、販売とほぼ同時に売り切れるというのだから、世の中いかに残虐なショーを求めている人間が多いかってことだ。
ただし、今年のバニシングナイトについては、ゲームマスターによってゲーム終了がコールされると同時に映像が途切れている。
理由はシステムの不具合ってことになってるけど、もちろん本当はそうじゃない。
実際に何が起こったのか、本当のことは俺たちだけが知っている。
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『人狼を全て処刑し、村には平和が戻りました。ゲーム終了。村人の勝利です』
部屋がパッと明るくなり、同時にドアから村人たちが戻ってきて、俺は席から立ち上がった。
既にすぐ目の前まで歩いてきていた片岡啓作が、こちらに握手を求めてくる。
「お疲れ」
「ありがとう」
短く言葉を交わし、俺は啓作の手をとって強く握りしめた。
「遅いよ。人狼見つけるのにどんだけ手間どってんだよ」
入ってくるなり憎まれ口をたたいたのは碓氷遼太で、その横であくびをしているのは小泉真知子。
「おめでとう。信じてたよ」
笑顔で手をたたいているのは桜庭のんだった。
俺はかぶりを振った。
「のんがいたから勝てたんだ」
「本当、そのとおりだと思うわ」
斎内紫帆がやってきて、後ろにいた古川博人の背を押す。
「この人、占い師だったのに黙ってたのよ。それで一日目の夜に死んじゃって。おかげで大変だったのよ?」
「すすすすいません、す、すいません」
と、ひたすら恐縮したように古川博人が謝っている。
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