THE LAST WOLF

凪子

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【3日目】

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「片岡さん白」「佐藤和男、黒」

二人が同時に言ったため、野村忠司が「は?」と乱暴に聞き返した。

「誰が何だって?もう一回」

「だーかーら、片岡啓作が人間。白だよ、白」

と言ったのは巳継だった。

「で、もう一人のほうは?」

野村忠司に促され、戸上明典は机の上で両手を組んで言った。

「佐藤和男が人狼だ」

俺は佐藤和男のほうを見た。

人畜無害そうなおじさんが、「えっ」と息を飲んで顔を強張らせている。

「ははあ」

野村忠司は人の悪い笑みを浮かべ、

「こりゃ、戸上が真だな」

「なぜそう思われるんですか?」

尋ねたのは斎内紫帆だった。

「だってそうだろ?戸上がさっき出なかったのは、碓氷って奴が言ってたように初日は占えないから。
偽を泳がせておいて、昨晩の初占いで黒が出たからカミングアウトした。
戸上が人狼か狂人なら、こんな初期の段階での黒出しはリスクが高すぎる。占い結果が間違ってたら、自分が疑われることになるからな。かといって身内切りをするには早すぎるし、戸上が真で間違いないだろ」

「ひどいなあ、野村さん」

日高巳継がへらへらと笑った。

「俺のほうが先に出たのに、戸上さんを信じるの?」

「別に先に出たもん勝ちじゃねえだろ」

野村忠司はにべもなく言い切った。

「啓ちゃんはどう思う?」

桜庭のんにあだ名で呼ばれ、片岡啓作は「おっ」と嬉しそうに笑った。

「まあ今の段階でどっちがどうとは言えんな。白出しされたんはありがたいけど」

「人狼なの?あんた」

横合いからいきなり口を出したのは小泉真知子だった。

「ちゃうわ」

片岡啓作は切れ味よく手を振って応じる。
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