ＴＨＥ ＬＡＳＴ ＷＯＬＦ

【２日目】

25

「ほんま前置き長いわ、このゲーム。こちとら、早よ始めとうてしゃあないっちゅうのに。なあ？」

その男は隣に座っていた女性に笑いかけた。

女性はにっこり笑ったが、何も答えない。

「とりあえず挨拶しましょうか。よろしくお願いします」

と言ったのは、俺のちょうど真反対、正面に座っていた男性だった。

彼が頭を下げたので、他のメンバーも「よろしくお願いします」と言って、めいめいに頭を下げる。

腕組みしたまま黙っていたり、頭を下げない人もいた。

「誰から行きます？自己紹介」

と言ったのは、俺の席から右に二つ行った席の、制服を着た女の子だった。

「ほんなら、俺から行くわ」

関西弁の男がまたしても口を開き、席を立ち上がった。すると、

『ゲーム中は席を立たないでください』

ゲームマスターの声が言い、壁際に立っている衛視たちが銃を向ける。

ぎくりと背中が凍りついた。

けれども関西弁の男は大して気にした様子もなく、

「何や、窮屈きゅうくつやな。自己紹介くらい好きにさせてえな」

『ゲームマスターの指示に従ってください。これは警告です』

「はいはい」

と、関西弁の男は唇を尖らせる。