護国の鳥

凪子

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春の章

28

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「できれば姫とも長くおつき合いしたいな。苦しいなら抱っこしてやろうか」

「ほざけ」

ルートは吐き捨て、先頭集団のトップに立った。

「またまたあ、照れちゃって」

口調こそお茶目ではあったが、レッドはすぐさまルートの隣にぴたりとつける。

「大丈夫かい、フィン」

心配そうにユリシスは体の小さい同級生を見やる。

フィンはけろりとした顔で、

「何が?」

ユリシスは息を飲むと、やがて苦笑し、表情を引き締めた。

――どうやら、人の心配をしている場合じゃなさそうだ。

忘れていた、ここは過酷かこく熾烈しれつな生存競争の場。僕らはケージの中の実験動物。

ここにいる誰一人として、確かな明日を保証されてなどいないのだ。














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