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カラオケとナンパ
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さて無事放送同好会も発足したということで、その記念とお互いの実力調べを兼ねてと言う事で部員たちとオレの四人でカラオケに行くことになった。
いや正直オレは猛烈に感動している。
だってヲシの歌声がナマで聞けるんだぜ?
正直彼女のバーチャルライバー時代の歌声は、歌唱力云々よりも可愛い歌をあの舌足らずの可愛い声で歌い上げる事で成立してた所はあるが、いや、今から鍛えて歌唱力も身についたらライバーとして最強じゃね、と思う。
あともう一人の、後のライバー鐵ネコになるもう一人の部員、永遠の歌声も楽しみなんだよなあ。
しっかり聞いたことはないが、その大人びた歌声の歌ってみた動画が再生ランキングの上位に来ていた記憶がある。
「先生、なんか嬉しそうだね。
やっぱり美少女に囲まれてカラオケ行くから?」
とオレの横でニヤリとするのは同じく部員の綺穂。
「それもあるが、純粋にお前達の歌声が楽しみだ」
「えっ先生、るみはそんあ、期待しゃれる程歌うまきゅないれしゅよぉ」
「私もギリヘタウマって言われるレベルだあ」
いいんだよ、むしろそこが良い。
「まあカラオケは楽しんだもん勝ちだ。
遠慮せず普段の自分を解放したら良い」
「お、なんか先生っぽいこと言ってる」
綺穂が茶化すが、一応オレ今は先生なんだよ。
……しまった。
ちょっとトイレに用を足して戻って来る間に、部員たちがガラの悪そうな奴らにナンパされていた。
「しぇ、しぇんしぇーっ!」
そう言ってオレを見つけるなり、勢いよく抱きついてくる瑠美。
あーごめんな、怖かったよな。
「な、何だお前は」
「オレはこいつらの部活の顧問、つまり先生だが何かな?」
「せ、先生だあ?ハッタリも大概に……」
「お前達、B学院の生徒だよな」
「何故わかっ……」
と言いかけた男の口を、もう一人の連れが塞ぐ。
「おい適当な事言ってビビらせようとしたって」
「しかも吹奏楽部の……ふむ、トランペットとサックスのパートね」
オレの言葉に、男達は当てずっぽうでないことを察したのか狼狽の表情が見て取れる。
「B学院の吹奏楽部って言ったら、全国大会にも出場したり甲子園で野球部の応援にも出向く実力者の集まりだよなあ。
そんな奴らが不祥事起こしたら問題じゃないか?
確か、あそこの生活指導の先生は……」
「おい逃げるぞ、こいつ何かマジヤバい」
「いや、しかし」
「まあ大人しく帰ってくれるなら、このまま無かった事にしてやるぞ、なあ中田」
「誰だよ中田って、俺は黒崎だ」
「おいバカ!」
「あ」
バカな黒崎は、まんまとオレの誘導に引っかかったようだ。
「お、覚えてやがれっ!」
と捨て台詞を吐き男達は去っていった。
さて、種明かしといこうか。
オレはスキルで相手の素性を知ることが可能だが、今回はそんなものを使っていない。
全ては前職のカウンセリングで培った観察眼による推理の賜物だ。
まずはB学院の生徒だと確信した理由。
他の学校がブレザーであるのに対して、ここは昔ながらの詰襟学生服だ。
特に新学期始まってからは制服着用の行事が目白押しで、あの服着ると首筋と手首に跡が残るんだよな。
そして吹奏楽部だと推理したのは指のタコ。吹奏楽部の演奏者は指を酷使するから楽器によって独特のタコが出来て分かりやすいのだ。
まあ演奏に慣れてくると指が硬くなってめだたなくなるので、奴らはろくに練習もしてない人数合わせの予備要員って所だろうな。
いや正直オレは猛烈に感動している。
だってヲシの歌声がナマで聞けるんだぜ?
正直彼女のバーチャルライバー時代の歌声は、歌唱力云々よりも可愛い歌をあの舌足らずの可愛い声で歌い上げる事で成立してた所はあるが、いや、今から鍛えて歌唱力も身についたらライバーとして最強じゃね、と思う。
あともう一人の、後のライバー鐵ネコになるもう一人の部員、永遠の歌声も楽しみなんだよなあ。
しっかり聞いたことはないが、その大人びた歌声の歌ってみた動画が再生ランキングの上位に来ていた記憶がある。
「先生、なんか嬉しそうだね。
やっぱり美少女に囲まれてカラオケ行くから?」
とオレの横でニヤリとするのは同じく部員の綺穂。
「それもあるが、純粋にお前達の歌声が楽しみだ」
「えっ先生、るみはそんあ、期待しゃれる程歌うまきゅないれしゅよぉ」
「私もギリヘタウマって言われるレベルだあ」
いいんだよ、むしろそこが良い。
「まあカラオケは楽しんだもん勝ちだ。
遠慮せず普段の自分を解放したら良い」
「お、なんか先生っぽいこと言ってる」
綺穂が茶化すが、一応オレ今は先生なんだよ。
……しまった。
ちょっとトイレに用を足して戻って来る間に、部員たちがガラの悪そうな奴らにナンパされていた。
「しぇ、しぇんしぇーっ!」
そう言ってオレを見つけるなり、勢いよく抱きついてくる瑠美。
あーごめんな、怖かったよな。
「な、何だお前は」
「オレはこいつらの部活の顧問、つまり先生だが何かな?」
「せ、先生だあ?ハッタリも大概に……」
「お前達、B学院の生徒だよな」
「何故わかっ……」
と言いかけた男の口を、もう一人の連れが塞ぐ。
「おい適当な事言ってビビらせようとしたって」
「しかも吹奏楽部の……ふむ、トランペットとサックスのパートね」
オレの言葉に、男達は当てずっぽうでないことを察したのか狼狽の表情が見て取れる。
「B学院の吹奏楽部って言ったら、全国大会にも出場したり甲子園で野球部の応援にも出向く実力者の集まりだよなあ。
そんな奴らが不祥事起こしたら問題じゃないか?
確か、あそこの生活指導の先生は……」
「おい逃げるぞ、こいつ何かマジヤバい」
「いや、しかし」
「まあ大人しく帰ってくれるなら、このまま無かった事にしてやるぞ、なあ中田」
「誰だよ中田って、俺は黒崎だ」
「おいバカ!」
「あ」
バカな黒崎は、まんまとオレの誘導に引っかかったようだ。
「お、覚えてやがれっ!」
と捨て台詞を吐き男達は去っていった。
さて、種明かしといこうか。
オレはスキルで相手の素性を知ることが可能だが、今回はそんなものを使っていない。
全ては前職のカウンセリングで培った観察眼による推理の賜物だ。
まずはB学院の生徒だと確信した理由。
他の学校がブレザーであるのに対して、ここは昔ながらの詰襟学生服だ。
特に新学期始まってからは制服着用の行事が目白押しで、あの服着ると首筋と手首に跡が残るんだよな。
そして吹奏楽部だと推理したのは指のタコ。吹奏楽部の演奏者は指を酷使するから楽器によって独特のタコが出来て分かりやすいのだ。
まあ演奏に慣れてくると指が硬くなってめだたなくなるので、奴らはろくに練習もしてない人数合わせの予備要員って所だろうな。
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