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転機と能天気
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勇気を出して自己紹介をした瑠美。
しかし前世では直後に皆に笑われて、それからも時々馬鹿にされて学校に行くのを嫌悪して彼女が引きこもりになった経緯がある。
しかし、この世界にはオレがいる。
絶対そんな状況にはさせないし、そのための事前の根回しもした。
さて特徴的な自己紹介に、クラス一同が驚いてシーンとなる中。
「か……」
教室にいた女生徒の一人が口を開く。
「可愛いっ!何それ方言なの!?」
「え?あにょ……」
女生徒のその態度に、今度は瑠美が驚く番だ。
「先生、彼女は私の席の隣って事で良いんだよね?」
「あ、ああそうだな神手。よろしく頼む」
神出は瑠美に駆け寄ると、その手を引いて席まで誘導した。
「と言う事で皆も驚いたかもしれんが、仲良くしてくれると嬉しい」
とオレが一応口にすると。
「するする!
私は神手 綺穂。よろしくねルミちゃん」
「あ、うん……」
神出は瑠美と友達になる気満々のようだ。
さて、もう気づいたかもしれないが神手はオレの用意した切り札で、ちょっと変わった悪癖を持つ。
実は彼女はこの学校の生徒だが、同じクラスではないどころか同学年ですらない先輩であった。
非常に奇妙な事に、彼女は他のクラスに時々出向いては、こっそりクラスの一員になりすます困ったちゃんであった。
普通に考えたらすぐバレそうだが、元々そこにいるクラスの似たような風貌の生徒と結託して、その生徒になりすますのが非常に巧みである。
故に生徒の間では「神出鬼没のキホ」として有名人であったが、逆に学校の先生からは全くバレていなかった。
それに味をしめて最近では、他の学校に登校してもいるらしい。
そして何を隠そう「舌垂らすが可愛い」という瑠美の才能を見出したのが他ならぬ彼女であった。
と言っても同じ高校でありながら当時はあまり接点はなく、仲良くなったのは卒業後のバイト先であったらしいが。
そして二人が同じ学校の生徒である事を知ったオレは、一計を案じた。
ちょっとした脅しも含めて、彼女が色んなクラスを渡り歩いているのを他の先生には内緒にする代わりに、瑠美の転校初日の朝のホームルームに出席してほしい、と。
奇妙な提案であったが、二つ返事で神手は協力してくれて、そして今、オレの思惑通り仲良くなった。
初日初っ端の周囲の印象は本当に大事で、もしこれでオレが何もせずにいたらクラスの嘲笑を受け瑠美は心を折られていた事だろう。
ただまあ……一つ問題があるとすれば。
「で?
何でセンセはその転校生に、そこまで優しくするのさ」
協力を申し出た際に神手にそう尋ねられた時、オレは上手く答えられなかった。まさかオレが過去にタイムスリップして過去のヲシを応援したいからなんて言えないし、言っても信じて貰えないだろうし。
「……まあ、良いけどね」
そう言って神手はニヤニヤしながら承諾し、そして今もオレと目が合うとあの時と同じ表情を浮かべている。
あーこれ、絶対変な誤解されてるなあ。面倒くさいなあ。
とりあえず瑠美が楽しそうだし、まず良しとするか。
しかし前世では直後に皆に笑われて、それからも時々馬鹿にされて学校に行くのを嫌悪して彼女が引きこもりになった経緯がある。
しかし、この世界にはオレがいる。
絶対そんな状況にはさせないし、そのための事前の根回しもした。
さて特徴的な自己紹介に、クラス一同が驚いてシーンとなる中。
「か……」
教室にいた女生徒の一人が口を開く。
「可愛いっ!何それ方言なの!?」
「え?あにょ……」
女生徒のその態度に、今度は瑠美が驚く番だ。
「先生、彼女は私の席の隣って事で良いんだよね?」
「あ、ああそうだな神手。よろしく頼む」
神出は瑠美に駆け寄ると、その手を引いて席まで誘導した。
「と言う事で皆も驚いたかもしれんが、仲良くしてくれると嬉しい」
とオレが一応口にすると。
「するする!
私は神手 綺穂。よろしくねルミちゃん」
「あ、うん……」
神出は瑠美と友達になる気満々のようだ。
さて、もう気づいたかもしれないが神手はオレの用意した切り札で、ちょっと変わった悪癖を持つ。
実は彼女はこの学校の生徒だが、同じクラスではないどころか同学年ですらない先輩であった。
非常に奇妙な事に、彼女は他のクラスに時々出向いては、こっそりクラスの一員になりすます困ったちゃんであった。
普通に考えたらすぐバレそうだが、元々そこにいるクラスの似たような風貌の生徒と結託して、その生徒になりすますのが非常に巧みである。
故に生徒の間では「神出鬼没のキホ」として有名人であったが、逆に学校の先生からは全くバレていなかった。
それに味をしめて最近では、他の学校に登校してもいるらしい。
そして何を隠そう「舌垂らすが可愛い」という瑠美の才能を見出したのが他ならぬ彼女であった。
と言っても同じ高校でありながら当時はあまり接点はなく、仲良くなったのは卒業後のバイト先であったらしいが。
そして二人が同じ学校の生徒である事を知ったオレは、一計を案じた。
ちょっとした脅しも含めて、彼女が色んなクラスを渡り歩いているのを他の先生には内緒にする代わりに、瑠美の転校初日の朝のホームルームに出席してほしい、と。
奇妙な提案であったが、二つ返事で神手は協力してくれて、そして今、オレの思惑通り仲良くなった。
初日初っ端の周囲の印象は本当に大事で、もしこれでオレが何もせずにいたらクラスの嘲笑を受け瑠美は心を折られていた事だろう。
ただまあ……一つ問題があるとすれば。
「で?
何でセンセはその転校生に、そこまで優しくするのさ」
協力を申し出た際に神手にそう尋ねられた時、オレは上手く答えられなかった。まさかオレが過去にタイムスリップして過去のヲシを応援したいからなんて言えないし、言っても信じて貰えないだろうし。
「……まあ、良いけどね」
そう言って神手はニヤニヤしながら承諾し、そして今もオレと目が合うとあの時と同じ表情を浮かべている。
あーこれ、絶対変な誤解されてるなあ。面倒くさいなあ。
とりあえず瑠美が楽しそうだし、まず良しとするか。
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