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箱の底に残る物
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アルブスは色々な物を飲み込むようにまた1つ溜息をついた。
本当は言いたい事が山ほどあるだろう。
だがアルブスはまた優しく笑った。
「…儂が動く事もダメなのでございましょう?」
「はい…ごめんなさい。」
「いえ、良いのですよ。
ただお嬢様、儂はこの屋敷の執事長。
お嬢様は儂が仕える主人にございます。
こういう時は謝罪ではなくご命令の方が嬉しいですな。」
「命令ですか?」
「ええ。
それなら儂は逆らえませぬ。
お嬢様は儂の主人なのですから。」
この執事長はやはりおかしい。
急にやって来たキャロルを主人だと認めるなんて。
この家の家族だと認めるなんて。
それがどれほどキャロルにとって苦しく甘い物かアルブスは分かっているのだろうか。
キャロルは大きく息を吸った。
「…アルブス、私達を部屋に連れて行って下さい。
この事は他言無用。
そして何があっても普段通りに行動して下さい。
これは命令です。」
「仰せのままに、キャロルお嬢様。」
アルブスは優しく笑って床板を外したのだった。
遠くで使用人の足音が聞こえる。
キャロルはカバンから取り出した丸パンを齧る。
冷えて固く味気ないが文句は言えない。
「肖像画の裏が通路になってるとはね。
他の家もあるのかな?」
「王宮が1番見つからない様になってるとは思いますが、アルブス殿の言い方からすると貴族の屋敷にはどこにでもあるみたいですよね。」
2人はキャロルの部屋に繋がる通路で待機していた。
壁と肖像画の隙間から薄らと室内が覗ける様になっている。
事が起こるまではここに潜むしかない。
正直暇だ。
「まあもうすぐ夕食も終わる時間だろうしそんなに掛からないと思うよ。
そう言えば戻る時ってどうするんだい?」
「あまり良く分からないんですが帰りたいと願ったら預けて来た髪に伝わって巫女の魔力に引っ張られるらしいです。
詠唱とかもないみたいなのでどう発動するのかイマイチ理解出来なかったんですが。」
「まあ要は願えば良いって事かな?
でも本来魔術ってイメージと魔力量だけ何とかなれば詠唱なんてあってないような物だからね。
嘘ではないんじゃないかな。」
「確かにこの前の殿下と喧嘩した時私詠唱唱えてなかったです。
そんな暇なくて。」
「実は私もだよ。
至近距離だから唱えたりしてたら死ぬって分かってたからね。
結局イメージをより固める為に唱えるだけであって必要ないのかもね。」
本当は言いたい事が山ほどあるだろう。
だがアルブスはまた優しく笑った。
「…儂が動く事もダメなのでございましょう?」
「はい…ごめんなさい。」
「いえ、良いのですよ。
ただお嬢様、儂はこの屋敷の執事長。
お嬢様は儂が仕える主人にございます。
こういう時は謝罪ではなくご命令の方が嬉しいですな。」
「命令ですか?」
「ええ。
それなら儂は逆らえませぬ。
お嬢様は儂の主人なのですから。」
この執事長はやはりおかしい。
急にやって来たキャロルを主人だと認めるなんて。
この家の家族だと認めるなんて。
それがどれほどキャロルにとって苦しく甘い物かアルブスは分かっているのだろうか。
キャロルは大きく息を吸った。
「…アルブス、私達を部屋に連れて行って下さい。
この事は他言無用。
そして何があっても普段通りに行動して下さい。
これは命令です。」
「仰せのままに、キャロルお嬢様。」
アルブスは優しく笑って床板を外したのだった。
遠くで使用人の足音が聞こえる。
キャロルはカバンから取り出した丸パンを齧る。
冷えて固く味気ないが文句は言えない。
「肖像画の裏が通路になってるとはね。
他の家もあるのかな?」
「王宮が1番見つからない様になってるとは思いますが、アルブス殿の言い方からすると貴族の屋敷にはどこにでもあるみたいですよね。」
2人はキャロルの部屋に繋がる通路で待機していた。
壁と肖像画の隙間から薄らと室内が覗ける様になっている。
事が起こるまではここに潜むしかない。
正直暇だ。
「まあもうすぐ夕食も終わる時間だろうしそんなに掛からないと思うよ。
そう言えば戻る時ってどうするんだい?」
「あまり良く分からないんですが帰りたいと願ったら預けて来た髪に伝わって巫女の魔力に引っ張られるらしいです。
詠唱とかもないみたいなのでどう発動するのかイマイチ理解出来なかったんですが。」
「まあ要は願えば良いって事かな?
でも本来魔術ってイメージと魔力量だけ何とかなれば詠唱なんてあってないような物だからね。
嘘ではないんじゃないかな。」
「確かにこの前の殿下と喧嘩した時私詠唱唱えてなかったです。
そんな暇なくて。」
「実は私もだよ。
至近距離だから唱えたりしてたら死ぬって分かってたからね。
結局イメージをより固める為に唱えるだけであって必要ないのかもね。」
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