似非王子と欠陥令嬢

ちゃろっこ

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秘密とは分からないから秘密なのでありまして

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日が半分程沈み王都に明かりが灯される頃キャロルはポツリと呟いた。

「…おかしい。」

キャロルは先程読んでいた書物を急いで捲る。

目的のページに辿り着き文字を指で追いながらもう一度読む。

…やはりおかしい。

ありえない。

「…キャロルも気が付いたかい?」

ルシウスに声をかけられバッと顔を上げ大きく頷いた。

「…ありえないんです。」

キャロルが指で1文を指差す。

指先が震えるのは興奮か困惑なのかは分からない。

キャロルが指差した文章を見てルシウスも頷いた。

「『他者から奪った魔力を得られるのはまだ核の出来上がっていない15歳未満の子供のみである。』
…キャロルの母君では奪った魔力を得る事は決して出来ないんだ。」

「…知らなかったんでしょうか?」

「禁術を使う位だ。
知っていたはずだよ。
…だからキャロルの魔力欲しさにというのは母君には当てはまらないんだ。」

キャロルは頭が真っ白になる。

今までずっと母親は魔力を求めてキャロルに禁術をかけたのだと聞かされてきたのだ。

それが間違いだったとしたなら。

一体母親は得た魔力をどうするつもりだったのか。

ただ奪うだけが目的だったとでも言うのだろうか。

「…あの当時キャロルの家に15歳未満は2人の兄君達だけ。
ただ2人共キャロル程でなくても一般的には高い魔力の保持者だ。
しかもワインスト家は代々文官の家系だ。
母君のご実家も領地経営が主。
魔力量が重視される事はない。
禁忌を犯してまでキャロルから魔力を移す理由がないって事だ。」

「…じゃあ一体何故?」

混乱を隠せずキャロルは問いかける。

ルシウスはペンを指先でくるりと回すとキャロルの目をじっと見た。

「…ここからは何の確証もないんだけどね。
私はずっと引っ掛かっている事があるんだ。」

「引っ掛かっている事ですか?」

ルシウスは頷くと右手で頬杖を付き天井を見上げる。

「…国王になるには最初に生まれた男児が継承権第1位となる。
ただ長子でも継承権を持てない場合があるんだよ。
それは何か分かるかい?」

「危険な思想の持ち主とか著しく体が弱いとかですか?」

「体が弱いのは関係ないけれど、思想については正解だよ。
体が弱いとか知能不足は傀儡の王として宰相や第2王子が実権を握れば良いってだけで継承権には影響はしない。
それよりももっと重要視されている事があるんだ。」

「…それは?」 
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