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カオスソルベ編

第10話「消えるのは雪斗!?復活のソルベ!」②

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 ミルフィーユが気が付くとそこは暗闇に包まれた空間で、足場の一つも見当たらない場所だった。変身は既に解けて千葉一悟に戻っており、目の前にはピンクの宝石の付いたブレイブスプーンが浮いている。

「そうだ…俺達、巨大なカオスイーツに吸い込まれて…」

 意識が遠のく前の事を思い出した一悟は、辺りを見回す。プディングも変身が解け、米沢よねざわみるくの姿に戻っており、彼女の近くには黄色の宝石が付いたブレイブスプーンが浮いている。

「みるくっ!!!!!」

 唐突な幼馴染の言葉に、みるくはハッと起き上がる。

「いっくん!!!ここは一体…」

「恐らく…ティラミスが生成したカオスイーツの中だ…」

「それじゃあ、ライスとラテ達は…」

「突風の途中で弾き飛ばされた…あの時、俺もお前もカオスソルベの腕を腕をつかんでいただろ?だけど、ライスは俺の腕に捕まろうとした途端に弾き飛ばされた。ラテもココアも、恐らくは…

「そんな…」



 段々と視界が開けてくる…2人の目の前には、黒いもやに拘束されている雪斗とカオスソルベが現れる。カオスソルベはどことなく苦しそうだ。







「制限速度40キロオーバー!はい、免許証出して!」

 サン・ジェルマン学園中等部正門前で、通報を受けて来ていた一悟の父が赤い大型バイクに乗ったライダーを止めていた。

「なにやってんだよ!!!」

「名前は「首藤和真」…ね。ご職業は?」

 刑事に免許証を見せたライダーは、赤いフルフェイスのヘルメットを外す。ヘルメットから放たれた刹那、炎のような赤髪がなびき、どことなくある人物に似ているような顔立ちの、見た目30代の青年がその素顔をさらけ出す。



首藤和真しゅとうかずま、41歳!勇者やってます!!!」



 その瞬間、マカロンと警察関係者が盛大にコケた。

「職業は「自称・勇者」…と。」

「冗談です。本業は調理師でーす♪」

 再びマカロン達がずっこけた。

「そもそも、この学校は「関係者以外立ち入り禁止」!建造物侵入の現行犯!!!」

 そう言いながら一悟の父は、「首藤」と名乗るライダーに手錠をかけようとするが…



「待ってください、刑事さん!この方はこの学校のマルチメディア部の外部顧問。よって、学校関係者です。」



「おや…そうでしたか。それで、あなたは?」

 突然の養護教諭の物言いに、刑事達は驚いた。

「養護の仁賀保にかほと申します。速度違反でしたら後程本人に違反者講習を受けさせますので、それ以外はどうか見逃してあげてください。」

「ま、まぁ…今回だけですよ?とにかく、30日間免許停止!!!後日通知が来ますんで、指定された日の講習には絶対に出るように!それでは、本官達はこれで失礼します!!!」

 一悟の父はそう言い残すと、パトカーに乗って学校をあとにした。

「いやー…悪いねぇ、「杏子きょうこちゃん」?」

「勘違いするな!セーラ…いや、私の勇者様のイメージに関わることだからな!」

 そう言いながら、仁賀保先生はマカロンと首藤を敷地内へ案内する。



 案内しながら、仁賀保先生の姿は僧侶アンニンへと変わっていく。解けるアップスタイルに、黄色を基調とした修道帽、いかにも高官職と言わんばかりのドレス姿…この姿こそ、アンニンの僧侶としての本来の姿だ。そして、彼女はスマートフォンである人物に電話をかける。

「…私だ。お前に頼みたいことがあるんだが…」







 グラウンドに取り残されたライス、ラテ、ココアはカオスイーツに攻撃を仕掛けるが、全く歯が立たない。

「たかが精霊、たかがスイーツ界の住人…そんな者がこの悪事が目立つジャーナリストだったカオスイーツに勝てるとでも?」

 ラテの幻影を打ち破り、ココアの攻撃も軽くあしらい、ライスの爆弾をも身体の空洞の中へ吸収してしまう…





「それなら、これはどうかしら?」



 突然サントノーレの声がして、突然ティラミスの足元とカオスイーツの足元に銃弾が撃ち込まれる。



「バンバンッ!!!」



「そ、その声は…」

「はぁい♪オグルさん。さっきはドリル頭のダームに素敵な言葉を浴びせてくれて、ありがとう。あのドリル頭、嗅覚がおかしいのよねー…」

 突然、ライス達とカオスイーツの間に割って入るかのように、サントノーレが現れた。

「さ、サントノーレ!!!」

「マジパティがいない中、ここまで時間稼ぎできたのは流石よ!」

 サントノーレの言葉に気が付いたココアはサントノーレを見るや否や…

「わぁ~お☆縞パン!!!ココア様、みなぎってきたー!!!!」

 別の意味で元気を取り戻したが、ラテは今にでもブチ切れそうだ。

「あら…元気になったのね?それじゃあ、さらに元気になってもらおうかしら?」

 サントノーレがスカートの裾をちらっとたくし上げたと同時に、ココアは嬉しそうな顔をして気絶したのだった。



「さぁ、下がってなさい!!!今、あなた達ができることは、マジパティ達を信じること!それだけよ!!!」



 サントノーレがそう言うと、ライス達の前にアンニン、ムッシュ・エクレール、マカロン、そして真紅の甲冑を身にまとった赤い髪の青年が並ぶ。

「マカロン様…そのお姿は…」

「今日だけ、アイツのお兄ちゃんっ!!!そして今日だけ、妹を泣かせたお前の敵っ!!!」

 そう叫ぶ主に対し、ティラミスは苦虫をかみつぶしたような表情で、小さなカオスイーツの群れを繰り出した。



「出でよ、カオスジャンク達!!!!!」
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