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何とかを探して三千里とはよく言ったものだ

もう既に終わったこと。だと思ってた

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重々しくなってしまった雰囲気の中、ライオンの人はゆっくりと語り出した。







……。








やつはどこだ!!」

探し出せ!!等との怒号が轟くその空間。

何故こんなことになったのか。私は1人の人物を思い描いていた。

猫族の中唯一黒の毛皮を持つ女人、その者はナギと言った。



この世界はひとつの大陸しかなく、昔は弱肉強食等という概念がいねんもあったそうだが、

魔法というものが生まれてしばし、この大陸全体がなにかの影響なのか一定を過ぎると歳を取らなくなるという不思議な空間へと変貌へんぼうを遂げたのだが。


そのつまらない空間へ迷い込んだ花と言うべきか。気さくでどんな動物からも好まれていた。その見た目の安らぎに私も惹かれかけたものだ。








その凪が禁忌である空間を通り抜け別世界へ渡るまでは。



「何故だ…!凪…!」

「クレオール隊長!こちらには居りません!!……やはり既に遅かったのでは……?」


「なんとしてでも探し出すように。誤ってそんなことになりでもしたら余計な火種も着けられかねん……!!」

「し、しかし!あと残るは禁忌の扉のみ……!!いくら隊長と言えど、長老の許可無く開ければ最悪死刑…「黙れ!!」……!…かしこまりました。緊急事態につき、急ぎ編成致します…!」



立場上直ぐに指示できるよう持ち場を離れられぬ己を恨む。


まずい。まずいまずいまずい。
非常に不味い。




この世界の生物は歳をとらぬ他厄介なことがもうひとつ。

それは、“魔素で足りるが為に腹が空かない”事だ。


生き物というものは腹が減ることで生存本能へつながり、同じくそれを感じ
ることで強くなり、警戒心も蓄える。


だがどうだろう。

この大陸の中ではそれが必要もなく、知性のみが必要になる。もちろん犯罪などはあるが比較的方だと思う。

そんな者が仮にほかの大陸に向かうとしよう。

当然魔素はこの大陸にしか無い為、とてつもなく不利な状況に陥るだけにはとどまらず、
温厚に育ったその喉元に牙を立てられるのは想像に難くない。




つまりそういうことなのだ。

この国は闘争心については弱小である。
戦争になど一度なってしまえば弱者になど簡単に成り下がる。





凪がしたのは、その火種にもなり得る、何処ともしれぬ世界への接続なのだ。

どうしてそんなことが成し得るのか全ては分かりえない。しかし、時として出来てしまうことがあるのだ。

禁忌の空間とされている由縁にもなる。







……。








…。







「これが、あの忌まわしい1日。魔女の夜と呼ばれた出来事でもあり、黒を持つ者が忌み嫌われる理由だ。」

そんな…、事で。
それだけの事だった。

(けれど確かに、平和であったところに争い事が起きるのを忌み嫌うのはわかる。)

平和で平凡だった私の日常は瞬く間、ほんのつかの間の出来事で崩れ去った。

(それと、同じ事なの…かな。)

けれど、腑に落ちない事はある。

「何故、私にそれを言おうと思ったのですか。」

「匂いが…。近い匂いが貴殿からしたからだ。完全なる私の私情だな。」

私の問いに、ライオン、もといクレオールはそう答えた。

「あの忌まわしい出来事は、あれで終わりだと思ったのだがな。そこに貴殿が現れた。」
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