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1章 私が彼に出会うまで。
え?
しおりを挟む東京に上京してまもなく、私に一通の着信が届いた。
予想もしてない内容だったけれど、私は何の気なしにそれをとってしまったんだよね。
「……え?祖母が?」
それは、あまりにも突然の知らせで、東京の住居を飛び出して、田舎へトンボ帰りするきっかけにもなった出来事である。
元々私には物心着いた頃に両親など居なくて、その頃から、祖母が私にとっての母だった。
女手1つで私を成人まで育ててくれて、本当に感謝をしてるんだ。東京に来た今回だって、大手を振って見送ってくれて。
そんな祖母が、空へ旅立ってしまったという報せだった
どうしてなんて言葉なんて出なかった。何も考えられないモヤのかかった頭で。
私は戻った。祖母と暮らした家へ。
もともと親類などはなく、祖母と私だけだったので、亡くなってすぐ見つけられなかったそうで、短くても、1日後の発見になったらしい。
布団で静かに横たわっていたんだそうだ。
一日とは言えど、たった一人でいたのはどんなに寂しかったことだろう。
幸い、腐敗などはしていなくて、きれいなままだったのが救いと思えばいいのか。
なんにせよ。私は天涯孤独となってしまった。
眠った祖母を見て、なんだか今更ながら怖くなって泣いてしまった。
だって親類など居なくて、両親もいないのだ。
唯一見た祖母の白い顔は、胸が握り潰される気分だった。
(祖母は昔から地元の人たちとは必要以上は距離を取っていて、私はそれが不思議だった。)
遺書は例外なくあって
要約すると、家を譲ることと、遺産は少しだけど使ってねと書いてあった。
10日ほどして通夜が終わり、譲り受けた我が家で暮らすべく、住んでわずかの東京の賃貸を引き払った。
数時刻後。
1面緑と茶色の景色を見て私は故郷へ戻ったのだと実感したのだった。、
テクテクという軽快な足取りで、辺りを練り歩く。
歩いている時、よく昔祖母に手を引かれ、散歩をしていたなと思い出しながら。
田舎なこともあってかなかなかに自然界が強い地域で、よく野良の猪や、熊、はたまた人馴れしていない野犬などが注意されている。
とはいっても、林に近づかなければほとんどの危険は回避されるのだけれど、子供等は、念の為 親と一緒にいる、という事がこの村では風習になりつつあった。
それだったので村中あちこちに私と祖母の記憶が落ちている。
(あそこの沢で魚を覗き込んでは夢中になりすぎて落ちそうになったな)
とか
(あの辺のシロツメクサのなる原っぱで花かんむりを祖母にプレゼントしたっけ、)
とか。
まだまだ四十九日は続いているし、やることも沢山ある。
それでも、今だけは、とセンチになりながらも、思い出の中の祖母と語り合いながら私は家に向かったのだった。
✩°。⋆⸜(*˙꒳˙* )⸝✩.*˚✩.*˚✩.*˚
段々とこの村の背景が見えてきたなぁー。
ちなみに思い出の中で大半が祖母に怒られているヒロインちゃんでした。
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