満智子の愉しみ

菅野鵜野

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渇望

飢餓

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 ロマンスグレーの車に乗って、私は海を見渡せる海岸沿いのカフェに落ち着いた。

 湘南の海岸線。
 遠いと思っていたけれど、車に乗っていたらあっという間だった。平日だからかしら。
 彼はポルシェのカイエンは、渋滞知らずでここまで私達を運んでくれた。

 車を汚すといけないからと、私は急いで自宅でシャワーを浴びて、服を変えた。
 深いVネックのタイトなニットワンピース。センターに際どいところまでスリットが入っていて、車高の高い車に乗る時なんて、新しいパンティが見えてしまうかもしれないわ。

 海に向かって並んでコーヒーを飲みながら、彼の指はずっと私の丘を撫でていてくれた。まるで私が放って置かれることに耐えられないかのように。

「ここにはよく、妻と来たんですよ」
「まあ」
「仕事で忙しくて、年に一度、こんな時間が取れるかどうかでして……」
 私と一緒ね。
「奥様、お仕事は? 」
「していましたよ。カルチャーで生け花を教えていました。しかしね……退屈させてしまったんでしょうね。気がついたらホストに逆上せ上がってしまって……」
 ツプリ、と彼の指が私の蜜壺の中壁を突いた。私はもう、海に向かって下品に足を開いて、もぞもそと腰を動かしていた。
「SEX依存症になりましてね。離婚するまで、ひっきりなしに男と関係していたんです」
 
 それが言いたかったのね……。
 確かに私はここのところ、この泉が空になることを恐れるかのように、次々と殿方のお魔羅を飲み込んでいた。
 でも、気持ちがいいのとは裏腹に、帰宅した後の喪失感たらなかった。

「ご主人と、きちんと話をされた方がいい。このままでは、いつか破滅しますよ」
「そうですわね……」
 思わぬ事になる……歯止めが効かなくなり始めた時、ふとそんなことを考えなくはなかったけど。
「ご忠告、有難うございます。心に留めておきますわ」
 この方とも、もうこれきりにしなくては……。

 私は幾ばくかのガソリン代とお茶代をテーブルに置いて、その場を後にした。

 一人になって、海岸線をぼんやりと歩きながら、少しオレンジ色に色づき始めた水平線の向こうを眺めていた。

 砂浜に下りて、張り出している岩場を回り込むようにして波打ち際に立った。

 主人と、話……ね。あの人はきっと、出張先で若い子と楽しくやっているでしょうね。
 いいのよ、こっちはこっちてちゃんと楽しんでいるんだから……。

 ワンピースのスリットに海風が入り込んできて、ふわりとワンピースを捲り上げた。
「お姉さん、エロいね」
 この辺の子かしら。茶髪で如何にもチャラそうな若い二人組。大学生かしら。
 一人が無遠慮に私の後ろから抱きついてきて、スリットの中に手を差し込んできて私の丘を撫で回し、もう一人は前から襟元を広げて私の乳を揉み始めた。

 面白くないわね……。

 下手くそ。
 大人の嗜みとは程遠いわ。
「離しなさいな」
 私は二人の手をそれぞれピシャリと叩いた。

 驚いたように二人は私の顔を覗き込み、下卑た笑顔で睨め回してきた。
「何だ、ババァじゃん」
「ホントだ、男に飢えたババアだ」

 ババァ……そうね、あなた達からしたら、そうかもしれないわね。

 私は、前に立つ男の子の膨らんだ股間を撫でた。
 パンパンに腫れ上がったそれは、ジーンズのファスナーを下ろしただけで仕掛けの玩具のように飛び出してきた。
「まだ、腰を使っちゃダメよ」
 驚く男の子をよそに、私は涎を垂らすそれで泉の縁をなぞった。
「あ、ねぇ……」
「ダメよ。若い子はすぐしたがるんだから」
 パンティの股布で先穂を挟んでやり、腰を艶めかしく揺らしながら、後ろの子のお魔羅も私の後ろの割れ目の縁に当てがってやる。
 白目を剥きながら、男の子達も腰を揺らし始めた。
「ねぇ、もうむり……」
「だったら、お行儀よくおっしゃいな。お姉さま、一合お願いします、と」
 お姉さま……そう言って、男の子は一度に私の泉と菊門とに入ってきた。
「突くのはダメよ、一緒に踊りましょ」
 3人でゆらゆら揺れながら、私はオレンジ色に染まる水面を見ていた。
「すげぇ……」
「同級生のとどっちが良い? 」
「お、お姉さん……生暖かくてヌルヌルして、絡みついてすげぇよ」
「う、後ろも、す、すげぇ……きっつ……やべえよ」
 菊門も、最近開発されることが多くなってたから、悪くはないわ。
「お利口ね。少しずつ、奥へいらっしゃい」
 ああ、中で壁越しにお魔羅とお魔羅が擦れるわ。
 いいわ。テクニックは下の下だけど、それなりに、いい……。
「ほ、ほら……あ、んん、お、お乳がお留守よ」
 そう言うと、後ろの子が激しく揉みしだき、前の子がしゃぶりついてきた。

 先を転がすくらいのこと、できないのかしら。
 不器用なのか、頭の中身が軽いのか……。
 
 次第に男の子達は本能に逆らえなくなってきて、もう病気にでもなったように腰を振りだした。

 私も滅茶苦茶に体を振り乱しながら、空に向かって声をあげた。
「いいわ、いいわよ……ほら、そこよ、下手ね……そう、下から突いて、突くの……あんっ、あふぅ……もっとよ、だらしないわね……あんっ、お突き!」
 
 男の子達は、ただ私の穴を使う。私は、男の子達のお魔羅を使う。
「擦れるわ……もっと腰を回して……よろしくてよ……あ、はぅ……いいっ、いいのっ!」
 ギブ・アンド・テイク……ズンズン、ぐちゃぐちゃと突かれながらも、私は全然スイッチが入らなかった。
 
 ただの肉壺な私……空っぽで。

「おしまい」
 男の子達が達しそうなの頃を見計らって、私は体を離した。
 息を乱しながら、男の子達が泣きそうな顔で、行き場を失ったお魔羅を押さえた。
「マジかよぉ、中出ししたかったのに」
「それはね、本当にこの子と赤ちゃんを育てたいと思う子にしてあげなさい。志もないのに妊娠させたら、人生狂うわよ」
「じゃ、しゃぶってよ、淫乱女」
「行儀の悪いこと……私はそれはしない。ルールなのよ、大人の嗜みの」
 頭の悪そうな顔をして首を傾げる二人をよそに、私はさっさと砂浜を後にした。

 私の愉しみ……ここのところ、そのルールも快感も、音を立てて崩れ始めている。

 もやもやする体を引き摺ったまま、私は汚れたパンティを砂浜に脱ぎ捨てた。
 潮風に泉の滴りを乾かしながら駅を目指し、電車に乗った……。
 
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