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1. 地獄の女陰
2.女医
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お菊の3人目の許婚者が死んだ時、辰蔵は、父の命で名医と評判の女医者・お艶の元にお菊を連れてきたのであった。
診察など嫌だと首を振るお菊であったが、優しげなお艶の美しい佇まいに、緊張を解いたようであった。
辰蔵が控えの間でやきもきしながら待っていると、やがてお艶が診察室から出てきた。
「驚きました」
「先生、もしやお菊の身に何か……」
「ええ……」
お艶は辰蔵に向き合うように座し、言葉を選ぶように逡巡して見せた。
「何でも仰ってください。妹に幸せになって欲しいのです」
「左様ですね……申し上げます。俗に、吉原の太夫にも、名器と呼ばれる女性がいることはご存知かと思います」
「あ、え、はい」
「お菊様の女陰もその類の形ではあるのです、確かに。かと言って、殿方を干乾しにしてしまうようなものは特段見当たりません。ただ、お乳が……今はとても小振りで可愛らしいのですが、どうも殿方と契ると大きくなるようでして、おそらく殿方の『気』を吸い上げる何某かの体質ではないかと」
彦次郎の一件以来、お菊は外も歩かず、じっと部屋にこもっていた。
と、縁側に猫が迷い込み、お菊の膝の上にちょこんと乗った。
「まぁ、かわいい三毛猫……」
すると、猫を探していたのか、勝手口から男が1人、無断で立ち入ってきた。
「誰」
お菊の誰何に、男は笑顔を見せて頭を下げた。
中年の侍。落ち着いた物腰で、着流し姿も清潔感があることから、浪人ではないのかもしれない。
「娘御、これはご無礼を致した。拙者、旗本町野家用人、村上玄蕃と申す。主人が可愛がっている猫を追い、ついご無礼を」
辰蔵よりは大分年上だが、笑顔はとても爽やかで清々しい。
猫がお菊の膝の上が気に入った様子に、玄蕃は一緒に散歩に出ないかとお菊を誘った。
「でも……」
「今日は天気が良い。部屋の中にこもっていては気が詰まろう。これも何かのご縁、猫と共に散歩に行かぬか」
神田明神の境内で甘酒を啜り、お菊はいつしか玄蕃と共に森の中にいた。
「玄蕃様は、お内儀は」
「先年、亡くしまして……この子は妻が可愛がっておりましてね。共に墓参りに行った帰りに、御宅へと逃げ込んでしまって……思いがけず、楽しき時を過ごすことができました」
「……私も、このように気が晴れたのは久しぶりにございます」
前を歩くお菊のうなじが朱に染まる。
玄蕃は後ろからお菊を抱きしめた。
「何を」
「短い時間でしたが、あなたと過ごし、あなたの真っ直ぐで清らかな心根に打たれました。これからも……会って頂けるでしょうか」
腕の中で、お菊が猫のような甘え声を出した。
匂い袋とは違う、お菊の芳香が耳の後ろから立ち上る。
玄蕃の手は既に、前合わせの奥へと滑り込んでいた。
「可愛い方だ。震えておられるか」
「あの……私は、あ、あ、あの……」
猫が、するりとお菊の腕の中から逃げ出した。
松の大木に両手を付かせ、玄蕃はお菊を後ろから抱いた。
捲り上げた着物の中から現れた、白く豊かな尻に抗う事はできず、玄蕃はお菊の中で既に2度も放っていた。
「ああ、嘘だ……こんなに、こんなに私が絞られてしまうとは……素晴らしい、素晴らしい名器をお持ちだ」
「いやです、玄蕃様……あ、んん……」
背中に覆いかぶさるようにして、肩越しに振り仰ぐお菊の唇を丹念に吸い上げ、玄蕃は前合わせを大きくくつろげた。先ほどとは質感の違う、大きくたわわに膨らむ乳房がそこにはあった。
玄蕃はそれを堪能すべく、お菊を振り向かせ、乳を口で吸いながら、お菊の片足を抱え込んで猛烈に腰を使った。
木が、ざわざわと音を立てて揺れる。
「あ、ああっ、も、もう……玄蕃様、ああ、気を、気をやってしまう……いいっ、ああっ」
可愛い声で囀り、お菊は再び玄蕃の精を吸い取ったのであった。
その逢瀬からというもの、お菊は再び可憐な笑顔を取り戻し、乳母を置き去りにして出かけるようになった。
「また、男ですかね」
「いや、貰ってくれる男を見つけられるのなら、多少は遊んでも良い」
「お父っつぁん、お菊にこれ以上悪い噂がたったら……」
「儂は、お菊がずっと1人身で生きていく方が余程案じられるのだよ」
嫁に行くばかりが幸せではないだろうに……多少なりとも、お菊の嫁入りに商売の益を見出そうとしている父を、辰蔵は冷ややかに見つめた。
玄蕃の部屋での逢瀬は、やがて同僚たちの知るところとなった。
今日も、横たわる玄蕃の上に馬乗りになり、しっとりと水気のある肌を玄蕃の肌に当てて音を立てながら、お菊は気持ちよさそうに腰を前後に揺すっていた。
下から両手でお菊の乳房を玄蕃が持ち上げるように揉みしだくと、お菊が体をくねらせて甘い吐息を吐いた。
「おおう、今日も具合が良いぞ、お菊……あぁ、もそっと、好きに動いてみよ」
「あい、こ、こう……あ、良い塩梅……あん、ああっ、玄蕃様っ」
玄蕃との閨に溺れていたお菊は、夢中で腰をいやらしく振り続け、高みを目指した。
「おい、玄蕃! その女から離れよ!! 」
突然、玄蕃の同輩がおっとり刀で駆け込むなり、玄蕃の体からお菊を突き飛ばした。
「な、何をするか蔵人」
蔵人と呼ばれた男は、玄蕃より少し若く見えた。
「その女、万屋のお菊であろう。男の性を吸い付くし、腎虚にして死に至らしめると噂の淫売だ。おまえ、このところ急に痩せたぞ、わからぬのか」
「落ち着け蔵人、お菊はそのような娘ではない。気立ての良い真っ直ぐな娘なのだ」
「男の腰の上で大声で喘いで腰を使う良い娘など、聞いたことないわ。離れよ、この疫病神め!! 」
蔵人が刀を向けた先で、お菊はガタガタと震えていた。そんな姿は、今しがた吉原の女郎も真っ青な閨を見せていた女と同一人物とは思えなかった。
「死ね!! 」
蔵人が振り下ろそうとした刀を、玄蕃が跳ね返した。
「何故、庇う」
「この娘は何も悪くない。斬るなら……俺を斬れ、蔵人」
玄蕃は優しく宥めるように、蔵人を抱きしめた。
涙で濡れる蔵人の頰に、玄蕃が唇を這わせ、やがて2人は濃厚に口吸いをした。
「玄蕃様……」
先程までお菊を愛していた玄蕃の男根が、今度は蔵人を求めて屹立しているのをお菊は見逃さなかった。
すっかり日が落ちた道をとぼとぼと歩いていると、遠くからお菊を呼ぶ声がした。
「あ、兄さん」
辰蔵だ。心配で探しに出てきたのだ。
「お菊!! こんな時間まで一体……」
「兄さん、兄さん……」
辰蔵の顔を見て子供のように泣き出したお菊を、辰蔵は黙って抱きしめた。
数日後玄蕃は、蔵人と、互いの手首をしっかりと腰紐で縛った姿で、川から引き上げられた。
検視の結果、玄蕃は既に腎臓を患っており、将来を悲観しての無理心中であった。
診察など嫌だと首を振るお菊であったが、優しげなお艶の美しい佇まいに、緊張を解いたようであった。
辰蔵が控えの間でやきもきしながら待っていると、やがてお艶が診察室から出てきた。
「驚きました」
「先生、もしやお菊の身に何か……」
「ええ……」
お艶は辰蔵に向き合うように座し、言葉を選ぶように逡巡して見せた。
「何でも仰ってください。妹に幸せになって欲しいのです」
「左様ですね……申し上げます。俗に、吉原の太夫にも、名器と呼ばれる女性がいることはご存知かと思います」
「あ、え、はい」
「お菊様の女陰もその類の形ではあるのです、確かに。かと言って、殿方を干乾しにしてしまうようなものは特段見当たりません。ただ、お乳が……今はとても小振りで可愛らしいのですが、どうも殿方と契ると大きくなるようでして、おそらく殿方の『気』を吸い上げる何某かの体質ではないかと」
彦次郎の一件以来、お菊は外も歩かず、じっと部屋にこもっていた。
と、縁側に猫が迷い込み、お菊の膝の上にちょこんと乗った。
「まぁ、かわいい三毛猫……」
すると、猫を探していたのか、勝手口から男が1人、無断で立ち入ってきた。
「誰」
お菊の誰何に、男は笑顔を見せて頭を下げた。
中年の侍。落ち着いた物腰で、着流し姿も清潔感があることから、浪人ではないのかもしれない。
「娘御、これはご無礼を致した。拙者、旗本町野家用人、村上玄蕃と申す。主人が可愛がっている猫を追い、ついご無礼を」
辰蔵よりは大分年上だが、笑顔はとても爽やかで清々しい。
猫がお菊の膝の上が気に入った様子に、玄蕃は一緒に散歩に出ないかとお菊を誘った。
「でも……」
「今日は天気が良い。部屋の中にこもっていては気が詰まろう。これも何かのご縁、猫と共に散歩に行かぬか」
神田明神の境内で甘酒を啜り、お菊はいつしか玄蕃と共に森の中にいた。
「玄蕃様は、お内儀は」
「先年、亡くしまして……この子は妻が可愛がっておりましてね。共に墓参りに行った帰りに、御宅へと逃げ込んでしまって……思いがけず、楽しき時を過ごすことができました」
「……私も、このように気が晴れたのは久しぶりにございます」
前を歩くお菊のうなじが朱に染まる。
玄蕃は後ろからお菊を抱きしめた。
「何を」
「短い時間でしたが、あなたと過ごし、あなたの真っ直ぐで清らかな心根に打たれました。これからも……会って頂けるでしょうか」
腕の中で、お菊が猫のような甘え声を出した。
匂い袋とは違う、お菊の芳香が耳の後ろから立ち上る。
玄蕃の手は既に、前合わせの奥へと滑り込んでいた。
「可愛い方だ。震えておられるか」
「あの……私は、あ、あ、あの……」
猫が、するりとお菊の腕の中から逃げ出した。
松の大木に両手を付かせ、玄蕃はお菊を後ろから抱いた。
捲り上げた着物の中から現れた、白く豊かな尻に抗う事はできず、玄蕃はお菊の中で既に2度も放っていた。
「ああ、嘘だ……こんなに、こんなに私が絞られてしまうとは……素晴らしい、素晴らしい名器をお持ちだ」
「いやです、玄蕃様……あ、んん……」
背中に覆いかぶさるようにして、肩越しに振り仰ぐお菊の唇を丹念に吸い上げ、玄蕃は前合わせを大きくくつろげた。先ほどとは質感の違う、大きくたわわに膨らむ乳房がそこにはあった。
玄蕃はそれを堪能すべく、お菊を振り向かせ、乳を口で吸いながら、お菊の片足を抱え込んで猛烈に腰を使った。
木が、ざわざわと音を立てて揺れる。
「あ、ああっ、も、もう……玄蕃様、ああ、気を、気をやってしまう……いいっ、ああっ」
可愛い声で囀り、お菊は再び玄蕃の精を吸い取ったのであった。
その逢瀬からというもの、お菊は再び可憐な笑顔を取り戻し、乳母を置き去りにして出かけるようになった。
「また、男ですかね」
「いや、貰ってくれる男を見つけられるのなら、多少は遊んでも良い」
「お父っつぁん、お菊にこれ以上悪い噂がたったら……」
「儂は、お菊がずっと1人身で生きていく方が余程案じられるのだよ」
嫁に行くばかりが幸せではないだろうに……多少なりとも、お菊の嫁入りに商売の益を見出そうとしている父を、辰蔵は冷ややかに見つめた。
玄蕃の部屋での逢瀬は、やがて同僚たちの知るところとなった。
今日も、横たわる玄蕃の上に馬乗りになり、しっとりと水気のある肌を玄蕃の肌に当てて音を立てながら、お菊は気持ちよさそうに腰を前後に揺すっていた。
下から両手でお菊の乳房を玄蕃が持ち上げるように揉みしだくと、お菊が体をくねらせて甘い吐息を吐いた。
「おおう、今日も具合が良いぞ、お菊……あぁ、もそっと、好きに動いてみよ」
「あい、こ、こう……あ、良い塩梅……あん、ああっ、玄蕃様っ」
玄蕃との閨に溺れていたお菊は、夢中で腰をいやらしく振り続け、高みを目指した。
「おい、玄蕃! その女から離れよ!! 」
突然、玄蕃の同輩がおっとり刀で駆け込むなり、玄蕃の体からお菊を突き飛ばした。
「な、何をするか蔵人」
蔵人と呼ばれた男は、玄蕃より少し若く見えた。
「その女、万屋のお菊であろう。男の性を吸い付くし、腎虚にして死に至らしめると噂の淫売だ。おまえ、このところ急に痩せたぞ、わからぬのか」
「落ち着け蔵人、お菊はそのような娘ではない。気立ての良い真っ直ぐな娘なのだ」
「男の腰の上で大声で喘いで腰を使う良い娘など、聞いたことないわ。離れよ、この疫病神め!! 」
蔵人が刀を向けた先で、お菊はガタガタと震えていた。そんな姿は、今しがた吉原の女郎も真っ青な閨を見せていた女と同一人物とは思えなかった。
「死ね!! 」
蔵人が振り下ろそうとした刀を、玄蕃が跳ね返した。
「何故、庇う」
「この娘は何も悪くない。斬るなら……俺を斬れ、蔵人」
玄蕃は優しく宥めるように、蔵人を抱きしめた。
涙で濡れる蔵人の頰に、玄蕃が唇を這わせ、やがて2人は濃厚に口吸いをした。
「玄蕃様……」
先程までお菊を愛していた玄蕃の男根が、今度は蔵人を求めて屹立しているのをお菊は見逃さなかった。
すっかり日が落ちた道をとぼとぼと歩いていると、遠くからお菊を呼ぶ声がした。
「あ、兄さん」
辰蔵だ。心配で探しに出てきたのだ。
「お菊!! こんな時間まで一体……」
「兄さん、兄さん……」
辰蔵の顔を見て子供のように泣き出したお菊を、辰蔵は黙って抱きしめた。
数日後玄蕃は、蔵人と、互いの手首をしっかりと腰紐で縛った姿で、川から引き上げられた。
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