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しおりを挟む保護者Side——
商業ギルドマスターは虚を突かれたかのように目を点にして、頭を上げる。
「商業ギルドを束ねる者が一商人に迷惑を掛けたからと、そう謝るものではない。罪ある者を拘束し、情報を引き出し、現況を叩く。それが上の者の役目であろう。」
「は…?」
「まぁ。儂個人から言わせてもらえば、情報の精査が甘い。管理が雑過ぎる。商人同士の情報網を使えば良かったのではないか?」
「むぅ。返す言葉もない。助言、感謝する。」
「それに儂は娘が悲しんでいるからやっただけだ。もし娘が商業ギルドを訪ねるときはよろしく頼む。」
「ああ。」
護衛を引き連れて店を後にしたガエウスは護衛の勧めを聞きながら屋台で焼き物を土産に別邸へ帰路についた。
店で時間を多く消費したせいもあり、別邸に着いた頃には陽が暮れて暗くなり始めた頃だった。
立ち直ったユキを中心にしたテーブルで、屋台で買い漁った焼き物でお腹を満たす。
食後はガエウスが王城では見れない物や、組織図を教えていると、アスタナとメノアは王城と違い、諌める立場の侍従がいないことで夜更かしをしてしまうのだった。
ユキとクェサリオと朝食を済ませたガエウスは居眠りしているアスタナとメノアを見張るように言い付けると、応接室に向かった。
扉を開けると、そこには城下を散策していた暗部の代表者と、護衛に扮している中から代表で来た暗部と、昨日の商業ギルドマスターと、燻んだ色のローブで首から下を隠した女性が座っていた。
「遅くなった。土産話をしていたら夜更かししてしまってな。今、寝かせてきたところだ。」
「「………。」」
「大丈夫であります。」
「問題ないわ。」
「では話をしようか。」
「「はっ。」」
「良いでしょう。」
「ええ。」
各々それぞれの返答をすると、誰から話すべきかガエウスを前に身を寄せ合った。
「まず暗部から聞こうか。城下はどうだった?」
「はっ。ご指示通り回った結果、以前より新興の商会が立ち上がっており、悪巧みをしているのが数カ所見つかりました。既に手を付け始めた商会には手厚い処理を行いました。闇市場にも大きな打撃を与えましたので、当分の間は人材不足で開かれることはないと断言できます。未だ計画のみに徹している商会に関してですが、現状は放置しております。」
商業ギルドマスターは暗部の言葉に驚愕する。
「なっ。」
ローブの女性は感心したような、呆れたような曖昧な顔をしている。
「そうか。どこでもある話だ。新興の商会は商いができる場所を手広くしようとするのが多いからな。」
「どこにでもいるさね。特に王都に出店することができた商会はな。」
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