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保護者Side——

アスケナ一行に付いていた護衛兼暗部は目線をガエウスに合わせられず、周囲の暗部は困惑する。
黙り続ける暗部に痺れを切らしたガエウスがテーブルに置かれていたナイフを手に取り、有り余る力の限りを尽くして、床へ投げ放つ。
通常では刺さる程度だが、ガエウスの放ったナイフは床に罅を入れて少し揺れた。

「…何があったか、報告せよ。」

「はっ。散策中、詐欺に遭いまして。」

「ほう。儂の城下で不正を行う者がいるのか。相手は誰がした。」

「アスケナ王子が声を掛けられたので、そのままアスケナ王子が話を進めました。その店は女店主が営んでおり、周囲の者と親しげだった点から長く住んでいると思われます。」

「ふむ。」

ガエウスの中で、アスケナの評価株が少し落ちる。

「店では織られた布地を売られていたのですが、布に関してはアスケナ王子が話すあまり買うまで確認できませんでした。布地は劣化の激しい粗悪品でありました。銅貨八枚というアレにとっては高価な価格でありましたが、アスケナ王子が交渉した手前で断ることも憚れ、購入いたしました。」

「それで?」

ガエウスの中で、アスケナの評価株が急激に落ちる。

「はい。危機を脱するために市場から離れた場所で、話す場としました。いつの間にか布地を手にしていたユキ王女殿下が嫌ったため、話すことになりました。頭に血の上ったアスケナ王子を諭し、問題点を指摘し、最終的にユキ王女殿下の意向を聞いたことで止まりました。」

「………」

ガエウスにとって絶対値から変わらないため、ユキの株は変動しない。
逆に上がり続けていて、上限が分からない。

「家路では噂を聞きつけた市場の商人から様々な安売りを断りながら帰還いたしました。その商人たちの勢いで、ユキ王女殿下は早くも脱力気味でしたので急ぎました。以上です。」

ガエウスの座っていた椅子にバキッと罅が入るなり、ホルカーが話し始める。

「陛下。調査が必要かと愚行します。豪商という手前、下手に介入するのは得策ではありません。暗部を動かして敵に回した者を炙り出し、騎士団による調査の名目で罪をあげれば良いかと。」

「だがな。」

「今行動を起こせば相手に逃げられるだけでなく、ユキ王女殿下の願いが叶えられませんよ?良いのですか?」

「むう。わかった…。だが、圧力は開けさせてもらおう。儂は今、豪商だからな。」

ガエウスは含みのある笑みを浮かべて画策する。
それを見ていた暗部は敵認定された相手を憐れんだ。
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